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1.天空の草原のナンサ DIE HOHLE DES GELBEN HUNDES (2005年独) <3.5>     
 [監督]ビャンバスレン・ダヴァー
  [出演]バットチュルーン一家(ナンサル、ウルジンドルジ、バヤンドラム・ダラムダッディ、ナンサルマー、バトバヤー)
  [時間]93分
 [内容]モンゴルの草原で羊の放牧をして生計を立てる一家。たくましい父親と優しい母親、6歳になる少女ナンサとそのか
   わいい妹と弟は、家族5人で仲良く平和な日々を送っていた。ある日、ナンサはお使いの途中でかわいい子犬と出会う。
   ナンサはその犬を“ツォーホル”と名付け連れ帰るが、父親はオオカミの仲間かも知れないといって飼う事を許してくれな
   かった。それでも、父親が羊の皮を売りに町に出かけたのをいい事に、こっそりツォーホルを飼い始めるナンサだった
   が…。
  [寸評]ビャンバスレン・ダヴァー監督による「らくだの涙」に続く再びモンゴル遊牧民一家の暮らしを綴ったドキュメント風の
   ドラマ。バットチュルーン一家の長女ナンサを中心に子犬との出会いやモンゴルの生活ぶりをほのぼのと綴った内容で
   3人姉弟の素振りは微笑ましい。あの雄大な美しい風景は大画面で観た方が良いのかも(本作品はミニシアター系か)。
   子犬との触れ合いには、もっとドラマティックな事があるかと思ったが、意外に淡々としたものだった。一人でいる弟の近
   くにいるハゲタカを追い払ったのは非常に大きな役割を果たしているのだが、犬を飼う事に反対だった父は、その様を
   遠方から感じたのかな?(最後は犬を認め、連れて行ったからね)遊牧民の家は、テントのように組立・解体ができ、思い
   立てば引越しをしていく事には驚いた。映画は異国の地の生活ぶりも教えてくれる。大きな感動はないが、観る価値の
   ある作品でしょう。

2.ある子供 L' ENFAN (2005年ベルギー/仏) <2.0>     
 [監督]ビジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック=ダルデンヌ
  [出演]ジェレミー・レニエ、デボラ・フランソワ、ジェレミー・スガール、ファブリツィオ・ロンジョーネ
  [時間]95分
 [内容]20歳の青年ブリュノは定職にも就かず、ひったくりなどでその日暮らしの日々を送っている。何をやるにしても行き
   当たりばったりで、思考回路はまるで子供のままだ。そんなブリュノは、18歳の恋人ソニアが自分の子供を産んだという
   のに父親としての自覚どころか関心さえ示そうとしないのだった。そしてある時、ブリュノは深い考えもなしにその子供を
   売り捌いてしまうのだった…。
  [寸評]「ロゼッタ」「息子のまなざし」などで知られるベルギーの実力派、ダルデンヌ兄弟が、カンヌ国際映画祭2度目のパ
   ルムドール大賞に輝いた社会派ドラマ。若年層の失業率が20%に達し確かな未来を見出せない若者が急増していると
   いうベルギーの社会情勢を背景に、大人になりきれないまま子供を産んでしまった若いカップルの運命を描いた内容。
   社会情勢の厳しさがあるものの、本作品の描写は非常に面白くない。何故、これがパルムドール大賞を取るのか、私に
   は理解できない。ひたすら最低な男を延々と描いており、どうせならとことん最低ぶりを極めるとか、善の心を学ぶとか
   脈絡があればいいのに、それもない。ベルギーだけでなく、日本でも、どこでも存在する話なのだが、観ていて気分が
   良い事はない(そうなる事を概ね分かっていながら、パルムドール大賞受賞につられてレンタルしたのは私だが・・・)。

3.ファイナル・デスティネーション FINAL DESTINATION (2000年米) <3.5>     
 [監督]ジェームズ・ウォン
  [出演]デヴォン・サワ、アリ・ラーター、カー・スミス、クリステン・クローク、ダニエル・ローバック
  [時間]97分
 [内容]クラスメートや教師達とパリへの修学旅行に心ときめかせていたアレックスは、離陸寸前の飛行機の中で夢を見る。
    ”飛行機が離陸するものの、すぐに大爆発をしてしまう…”。これから飛行機が実際に離陸する直前で、あまりの恐怖に
    アレックスは“この飛行機は爆発する!”と叫びパニックに陥る。結局、アレックスとその混乱に巻き込まれた6人を残し
    て飛行機は離陸するが、本当に爆発してしまうのだ…。運良く生き残った7人だったが、やがて彼らは次々に怪死を遂
    げていく…。
  [寸評]本作品は職場の同僚のN君の紹介で知った。この後、「デッドコースター」、「ファイナル・デッドコースター」へと続く、
    3部作(各作独立した話)の第1作目。ホラー系が好きな妻とレンタルDVDで鑑賞。アレックスの見た予知夢が正夢とな
    り、死神に取り付かれて、関係者が次々に怪死をとげていく・・・。犯人の姿は見えず、迫りくる恐怖の描写の仕方はな
    かなか見応えがある。ストーリーもシンプルで、実際には”ありえない”ような話であるが、殺され方も口がぽかんと開
    いてしまうような唖然とさせるシーンが多い。子供に見せるには非常に過激だが、短時間にまとめられていて、テンポ
    も良く、最後まで目は離せない。ホラー系が好きな人には、観る価値のある作品かと思うし、苦手な私でも第2作目・3
    作目を観てようと思わせられる。

4.クラッシュ CRASH (2004年米) <4.0>     
 [監督]ポール・ハギス
  [出演]サンドラ・ブロック、ドン・チードル、マット・デイロン、ジェニファー・エスポジート、ウィリアム・フィクトナー
  [時間]112分
 [内容]クリスマスを前に冷え込む、ロサンゼルスの早朝。黒人の刑事グラハムは、相棒で恋人のリアと事件現場に向か
    う途中、中国系の女性が運転する車に追突される。相手の運転手と言い争うリアをおいて、ある青年が殺されたという
    現場を訪れたグラハムは・・・。
  [寸評]「ミリオンダラー・ベイビー」の脚本で注目を集めたポール・ハギスが脚本に加えて自ら製作と監督も務めたヒュー
    マン群像サスペンス。昨年のアカデミー最優秀作品賞の作品(予想外の獲得という雰囲気だった)ゆえ、観ようと思い
    ながら、ズルズルと時が経ち、ようやくレンタルDVDで鑑賞。次々と引き起こされる“衝突”の連鎖によって運命を狂わ
    されていく人々の姿を人種差別・摩擦等を浮き彫りにして描いた内容。冒頭から最後迄、多くの登場人物が絡み合い、
    一回観ただけでは理解しきれないのではないか。観終わった後、前半の場面を再度観直してしまった。それでも理解
    しきれない所はある。ポール・ハギスだけあって上手く製作されていると思う。人種の問題をさりげなく提示し、まだ
    まだ根深いものがある事を示している。サンドラ・ブロックの激怒するシーンとあの襲撃(?)シーンが印象的だ。

5.モンスター・ハウス MONSTER HOUSE (2006年米) <3.0>     
 [監督]ギル・キーナン
  [出演]<声の出演>日本語版:高山みなみ、宮里駿、泉谷しげる、石原さとみ、玄田哲章
  [時間]90分
 [内容]12歳の少年DJの家の向かいには、怪しげな古い家が建っていた。そこに一人で住むネバークラッカーは、近づ
    く子どもたちをいつも大変な剣幕で怒り追い払う。ところがハロウィン前日、ネバークラッカーは心臓発作で倒れ、その
    家は無人に。その家の不気味な気配に怯えるDJは、親友のチャウダーに助けを求める。やがて、チャウダーがその
    家のチャイムを鳴らすと、なんと家が口を開けて彼らに襲いかかってきた。辛うじて逃げた2人だったが、翌日、今度
    は知らずに近づいた少女ジェニーが襲われそうになり、2人が助ける。3人は警察に通報するが、大人達はまるで相手
    にしてくれない…。
  [寸評]スティーヴン・スピルバーグとロバート・ゼメキスが製作総指揮を務めたCGアニメーション、という事で関心を持ち、
    妻子と一緒に劇場で鑑賞。名探偵コナン役の高山みなみさんが日本語版の声で登場しており、一姫はすぐに気付い
    た。古い一軒の屋敷が人を飲み込む生きている家だと気づいた子供達が、自分たちだけでその恐ろしい屋敷に立ち
    向かうホラー・コメディ。絵があまり好きになれなかった事と、子供向の作品(?)でありながら、ベビーシッターが男を
    連れ込んだり、スリをしたり、教育上よくない箇所もあるし、幽霊屋敷の正体のオチはイマヒトツだったなあ・・・妻子が
    満足してくれていたから、今回は大甘の評価です。   

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