2006年の読書メモ
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日本経済に関する7年間の疑問 生活人新書 [著者]村上龍 [定価]740円+税 [読了日]12/25
 【概要】バブル崩壊後、「失われた10年」といわれる90年代を経て、経済の変化が日本社会のパラダイムを変えつつ
   ある。インターネットの急速な普及、雇用環境の劇的な変化、デフレ、人口減少等、かつて想像もできなかった事態
   は、組織を、個人を、そしてメディアをどう変えていったのか。メールマガジン「JMM」の週刊リポートをテーマ別に再
   編集した作品。激動の7年を外部からの視点で振り返る。
 【寸評】作家としてのみならず、TV「カンブリア宮殿」でも名司会を行っている著者。彼の頭の回転の良さには「カンブ
   リア宮殿」を観ていても脱帽する。本作品はここ最近の激動の日本経済の7年を外部からの視点で振り返った内容。
   但し、期待して読んだが、メールのQ&Aを集約しているため、何となく読み辛かったかな・・・

Gファイル 長嶋茂雄と黒衣の参謀 文藝春秋 [著者]武田頼政 [定価]1,905円+税 [読了日]12/2
 【概要】長嶋監督の裏には、マスコミはおろかチーム内ですら限られた人間しか知らなかった、ある一人の参謀がいた。
   「GCIA」なる情報機関を創設し、真の長嶋政権を実現しようとした男・河田弘道。読売ジャイアンツという巨大組織の
   一大改革に挑んだ4年間の記録がここにある・・・
 【寸評】ここ4年ですっかり低迷し、華やかさも何もなくなってしまった巨人。本書は94年〜97年の巨人の長嶋監督を影
   で支えた河田氏の存在・彼の動きから、巨人の内部、長嶋監督、堀内コーチ、渡辺オーナー、フロントの素性等を糾
   弾している。何か腐敗した実態をみるようで、興味を抱きながらも幻滅させられたなあ・・・巨人の腐敗は昔から始まっ
   ていたのだ。いつか立て直す事ができるのだろうか?

会社を変える人の「味方のつくり方」 日経ビジネス文庫 [著者]柴田昌治
   [定価]667円+税 [読了日]11/19
 【概要】自分が何か提案した時に「だれかが必ず受け止めてくれる」という安心感が持てる組織こそ、潜在力を120%発
   揮する活力溢れる会社だ。そんな組織には必ず、上司や同僚、部下などまわりを巻き込み信頼できる「味方」にして
   いくリーダーがいる。彼らの「味方力」は変革を実行していくうえで不可欠の基礎力になる。風土改革のプロが組織の
   中の中堅世代を応援する、ビジネス人生、残り40000時間の生き方を示す。
 【寸評】私の年代を対象に書かれた内容で非常に心に響く。この時期をいい加減に過ごすと後々に憂き目をみる、とい
   う事は実際、痛感しているところ・・・いかに前向きに自分らしく、信頼を得て成果を上げていくか・・・なかなか視野の
   広がらない自分が歯がゆい。しかし、進まねばね・・・。読んでいて有益な事を語られているのだが、神妙になった。

手紙  文春文庫 [著者]東野圭吾 [定価]590円+税 [読了日]11/9
 【概要】強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届く…。しかし、進学、
   恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる苛酷な現実。
   人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。犯罪加害者の家族を真正面から描き切った作品。
 【寸評】以前から注目していた作品だが、映画を鑑賞した後に読む事になった。そのせいか、文章が読みやすいのか、
   自分にしてはかなり早いペースで読破できた。映画とは設定が変えてある箇所はあるが、大筋は同じだ。犯罪の
   重さ、加害者の身内、被害者の身内と与える影響は大きい・・・最近のいじめ問題、不可解な事件が多い中、皆、
   真剣に考えていかねばならない、と思わせられる。

格差病社会 -日本人の心理構造- 大和書房 [著者]加藤諦三 [定価]1,500円+税 [読了日]10/28
 【概要】日本を蝕む神経症的格差。人間は経済最優先では幸せになれない。「勝ち負け格差論」では根本は何も見え
   てこない! 日本の格差社会の問題と、対策としてのメンタルヘルスのあり方を考える。
 【寸評】現在、企業社会も成果主義が声高になり、非常に厳しく、差別化・格差を図り、勝ち抜くためには、という風潮が
   非常に強い。ビジネス社会の秀でた人の本は、抜きん出るにはかくあるべし!という事を訴えているが、著者は心理
   学者の視点で「格差意識」が神経をまいらせる、と警鐘している。現に日本は神経を病む人が非常に多く、他国に
   比べ、気持ちの持ち方にも問題があると指摘している。納得させられる内容だし、本当に自衛を図りながら、日々を
   懸命に生きていかねばならないな。

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 光文社
   [著者]城 繁幸 [定価]700円+税 [読了日]10/17
 【概要】現在の時代、汗水たらして働いても、若いときの苦労はけっして報われない。下手をしたら、一生下働きで終わ
   る可能性もあるのだ。「3年で3割辞める」新卒離職率、「心の病」を抱える30代社員の急増、ニート、フリーター問題.。
   若者の視点で、現在の若者をとりまく問題の核心に迫る。
 【寸評】私より7歳若い著者が富士通の人事で働いていた経験、現在の人事コンサルティングの仕事の視点から「年功
   序列」「若者、30代の社員」等について鋭く切り込んだ内容だ。最近の若い者は・・・という前に、若い者にツケを回す
   制度等、何とかしなければならない。成果主義、競争に勝ち抜く事もいいが、若い世代、子供達に明るい展望が開ける
   社会にしていかねばならない・・・

会社は誰のために 文藝春秋 [著者]丹羽宇一郎、御手洗富士夫 [定価]1,238円+税 [読了日]10/9
 【概要】会社とは、仕事とは、人生とは、そしてこの国の将来とは。改革力を身につける・組織はどうあるべきか・人づくり・
   トップのあるべき姿など、日本の「再生と成長」を体現する経営トップふたりが、そのすべてを語り尽す。
 【寸評】伊藤忠商事とキャノンのトップをつとめた2人が経営者の視点で有益な対談を行っている。なかなか幅広く、上か
   らの視点で物事を考えられない自分だが、多大な訓練が必要なんだろうな。厳しい道が続くなあ、と思う今日この頃
   です。

甲子園怪物列伝 草思社 [著者]小関順二 [定価]1,400円+税 [読了日]10/1
 【概要】圧倒的な力を見せつけた清原、松坂。不完全燃焼のまま大舞台を去った江川、イチロー、松井・・・。一瞬の光
    芒を放った球児たちの軌跡を追う。
 【寸評】高校野球も中学・高校時代の時は世代が近いゆえ、興味深く観ていて印象深いのは荒木、池田(水野、畠山)、
   PL(桑田、清原)だ。最近で松坂の熱投が印象的な以外は、関心をひかなかった、今年の夏の甲子園は決勝は見せ
   てくれたね。田中は楽天、斎藤は早大進学となったが、数年後にどんな姿を見せてくれるかな・・・本書は甲子園で輝
   きを放った選手達の輝きと現在を描いていて野球ファンには楽しく読める作品。   

 三谷幸喜のありふれた生活5 有頂天時代 朝日新聞社 [著者]三谷幸喜 [定価]1,100円+税
   [読了日]9/24
 【概要】古畑、新選組との淋しい別れ、三本目の映画を監督、大河ドラマで役者デビュー、人気脚本家は、あいかわらず
   超多忙。とびの大出血にパソコンのウイルス感染と、プライベートでも波瀾万丈な日々!交流のある俳優たちの横顔を
   描いた文章も収録した朝日新聞好評連載の第5弾。
 【寸評】映画「THE 有頂天ホテル」の製作裏話、大河ドラマ「功名が辻」への出演の思い等、2作品に愛着のある私にとって
   は興味深く楽しく読ませて頂いた。著者にとって、このコラムがこんなに続くとはと思っている模様。続くだけ、お付き合
   いさせて頂く予定。映画の次回作はいつかな?

質問力 日経ビジネス人文庫 [著者]飯久保廣嗣 [定価]648円+税 [読了日]9/20
 【概要】「できる?できない?」「それは何?」・・・・。よく耳にする質問は、事態を混乱させるばかり。論理思考による
   優れた質問が、問題解決にどう役立つかを、身近な事例で詳しく解説し、質問力テストを加えてある。
 【寸評】会社でも優秀な人は鋭い質問を行う。凡々人の私にはしようと思ってもなかなかままならない。何か拠り所
   はないかと本書を紐解いたが、どうなんだろう?いかに本質を的を外さず、しっかりと捉えるかに尽きるのだが、
   要は日頃から一生懸命、物事を考えないといけないんだよな・・・

巨人軍タブー事件史 宝島社文庫 [著者]別冊宝島編集部編 [定価]619円+税 [読了日]9/16
 【概要】「巨人軍は強くあれ」という故・正力松太郎の巨人軍憲章のもと、壮大なフィクション劇を演じ続けてきたジャ
   イアンツの苦悩の歴史を検証した迫真のドキュメント。
 【寸評】2002年以降、優勝争いにも加われない程、低迷してしまった巨人軍。どこのチームも各々色々あるのだろ
   うが、幾つかの「裏」の姿を浮き彫りにした証言と記録を読むと、現在の事態もやむをえない感じもするね。それに
   しても「盟主」などという言葉も今は昔!這い上がっていく様を見せつけてほしいな・・・

世界の山ちゃん伝説〜思いつきを成功に変える25の法則 幻冬舎 
  [著者]世界の山ちゃん研究会 [定価]1,300円+税 [読了日]8/24
 【概要】「幻の手羽先」など手羽先メインの居酒屋チェーン店「世界の山ちゃん」。名古屋の小さな焼き鳥屋から出
   発して、25年経った今、東京、札幌、熊本までも進出し広く知れ渡るようになった。その成功の法則を紹介。
 【寸評】私は山ちゃんの大ファンである。とりこになってから、親しい仲間で名古屋で集まる際は、山ちゃんを利用
   する事が多いし、妻や子供とも行った事もある。そんな山ちゃんの歴史、戦略、商品グッズ等に語った本書は一
   ファンとしても楽しめた。また行きたいなあ・・・

ひるむな!上司 祥伝社黄金文庫 [著者]弘兼憲史 [定価]552円+税 [読了日]8/7
 【概要】「島耕作」シリーズの原作者の著者が、部下に信頼される上司の「共通点」とは・・・・という幾つかのポイ
   ントを熱く語ってくれる。   
 【寸評】会社の研修の真っ最中の時、隙間時間で一気に読んだ。部下のためにも、自分のためにも「ひるむな!」
   というメッセージ、しっかりと受け止めたいもの・・・(不惑の年になってしまっても、惑いまくりなのだが・・・)

<旭山動物園>革命 角川ONEテーマ21 [著者]小菅正夫 [定価]724円+税 [読了日]5/20
 【概要】何故、厳寒の動物園に日本中から人が集まるのか。上野動物園の入場者数を越えて日本一の動物園と
    いうステータスを得た旭山動物園の園長が語る汗と涙の凄まじい努力の裏話。
 【寸評】かねてから、私は旭山動物園に関心を持っている。子供達が小学校の間に何とか北海道旅行を企画し
    て旭山動物園に立ち寄りたいと思っている。かつては厳しい状況に追い込まれていた動物園が何故、これほ
    どまで素晴らしい動物園になったのか?会社生活・一般社会生活にも有益になる事が語られている。
    一生懸命生きる素晴らしい人達がいるものだ・・・

プロ野球 運命の出会い PHP文庫 [著者]近藤唯之 [定価]648円+税 [読了日]5/13
 【概要】それは必然だったか、それとも偶然か。男には人生が大きく変わる事になる、正に「運命の出会い」という
    べきものが存在する。40年以上も続いた三原VS水原の因縁対決、長嶋と王、仰木監督とイチロー等、男と男
    の出会いに纏わる熱いドラマを鮮やかに再現した20編。
 【寸評】著者の作品も好きで過去20冊程購入して読んでいる。歴史の事象等となぞらえて、野球選手の内面をリ
    アルに描写する語り口が好きである。野球も出会いの持つ意味は大きい。長嶋と王の両雄が並び立ったのも
    幾つかの流れが収束したものである事が印象的。人生も出会いの連続だ。私もまだまだこれから幾つかの
    出会いがあるかと思うが、大事にしていきたい。

野球はベースボールを超えたのか 筑摩書房 [著者]ロバート・ホワイティング
   [定価]730円+税 [読了日]5/4
 【概要】ファーム、トレーニング、年棒・・・。アメリカを目指す野球選手の実情が見えてくる!選手がもっとのびの
   びとプレーができ、ファンも楽しめる方法を大胆に提案。
 【寸評】著者の新刊はハードカバーのボリュームのあるものが多いが、珍しく新書版で登場。著者と翻訳の松井み
   どりさんのコンビの文章は読みやすい。2004年・2005年のプロ野球の動きをとらえ、現状の問題点・今後の改革
   に向けた提言を行っている。相変わらず良い所を突いている。

10年後の日本 文春新書 [著者]『日本の論点』編集部編 [定価]730円+税 [読了日]5/4
 【概要】消費税2桁化、団塊世代の大量定年、学力衰退、500万人のフリーター、年金崩壊・・・『日本の論点』編
    集部が豊富なデータを駆使し、47項目の社会問題を取り上げ、その未来を解説。
 【寸評】本当に10年後の世の中はどうなっているのだろう。子供達が成長した時に過ごしやすい世の中であって
    ほしいね。”バブル入社組の暗転””北の脅威”等、悲観的・憂鬱になる事が多いなあ・・・

盾 シールドSHIELD 幻冬舎 [著者]村上 龍 [定価]1,500円+税 [読了日]5/2
 【概要】仲良しだったコジマとキジマ、愛犬と野原を駆けめぐった少年の日々。やがて二人は別の道を歩むよう
    になるが、決して忘れない言葉があった。幼い頃、森に住む老人に聞いた「盾、シールドが必要だ」という謎の
    言葉が意味するものとは・・・
 【寸評】NHKのTV放送で本作品が取り上げられていた事から急に関心を持ち、購入してG.W休みに読んだ(字が
    大きく絵本形式ゆえ早く読める)。タイプが違うものの通ずる所があり、仲良しだった2人は次第に疎遠になり
    別々の人生を歩むようになる。その結果・・・という興味深い内容である。自分はどんな盾を持っているか?と
    各自で考える良い契機になると思う。

突破力 PHPビジネス新書 [著者]堀 紘一 [定価]800円+税 [読了日]5/1
 【概要】自らも一会社員としてキャリアをスタートさせながら、様々な「突破力」を使って壁を乗り越えてきた著者
   が、実体験から導き出された本音の「問題解決法」を説く。
 【寸評】著者の作品も結構好きでよく読む。本書は20〜30代のビジネス等に関する幾つかの悩みに著者が答え
   ながら有益なエッセンスが語られている。本当に悩みがついてまわる中、印象に残った言葉は”止まらずに歩
   き続けよ。歩いてでも前に進み続けていれば、必ずチャンスはある”。ともかく速度はともかく、前に進まない
   とね。

即戦力の磨き方 PHPビジネス新書 [著者]大前研一 [定価]800円+税 [読了日]4/24
 【概要】ビジネスの現場はいまや下克上の時代。力がなければ生き残れないし、能力の差で所得の格差は開く
   一方。求められるのは、現場で活かせる即戦力である。「語学力」「財務力」「問題解決力」の三種の神器に加
   えて、「勉強法」や「会議術」も身につけたい。
 【寸評】著者の本を読んで危機感を感じるのは毎度のごとくだが、相応な努力に欠けていて、無い無い尽くしの
    私にとって、本当に悩ましくなる事が書かれている。会社生活を過ごすにも、これまでの時より今後約20年
    程生き抜けるか、人生を充実できるかも今後の努力と強い志によるのだろう・・・

クセ者 元木大介自伝 双葉社 [著者]元木大介 [定価]1,400円+税 [読了日]4/22
 【概要】「クセ者」として15年間ジャイアンツでプレーした元木大介が波乱に満ちた野球人生を振り返る!
 【寸評】元木選手はセンス抜群でありながらスーパーサブ的な役割を果たしてきた。個人的には結構好きだった
   が、もっと活躍できたのではないかと思う。週刊誌上では「清原一派の一掃」という不本意な書かれ方をして
   いる。清原選手の事にも深く触れているし、長嶋監督、原監督、松井、上原、斎藤、槙原、桑田等とのエピソ
   −ドも綴られていて巨人ファンには楽しめ、すぐに読破できる。


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