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危急存亡の秋(ききゅうそんぼうのとき)

意味:切迫した危機のたとえ。存続するか滅亡するかの重大な瀬戸際。「秋」は収穫期の意から、大切なとき。

蜀の皇帝劉備(りゅうび)は息を引き取る前に、宰相の諸葛亮(しょかつりょう)に後継者の劉禅(りゅうぜん)を補佐してくれるように言い残した。四年後、諸葛亮は蜀軍を率いて、魏を討つべく漢中(かんちゅう)に兵を進めた。その出陣にあたって、上奏文を劉禅に奉った。

先帝は着手された事業が、まだ半分も済まないうちに、道半ばでご崩御なさりました。今、天下は三分され、わが益州(えきしゅう)は疲れ衰えております。まさに、存立するか滅びるかさし迫った大事なとき(危急存亡の秋)でございます。しかし、そばにお仕えする臣下は内政を怠ることなく、忠義の士は外で我が身をなげうって戦っております。これも先帝の手厚い礼遇を思い起こして、陛下の御身に報いようと思うからでございます。どうぞ、陛下におかれては、広く耳をお傾けになり、先帝の残された美徳を輝かせ、志ある士たちの意気を広め、盛んにしてください。決してむやみにご自分を卑下したり、道義をはずれたたとえを引いて、忠臣たちの諫める道をふさぐことのないよう願います。

【出師表】


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