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朝令暮改(ちょうれいぼかい)

意味:朝に出した法令を夕方にはもう改めること。方針などが絶えず改まって定まらぬこと。

漢の時代、太子の家令であった鼂錯(ちょうそ)は文帝に農業の重要性を奏上した。

いま、五人家族の農家だとすれば、家族の中で二人は労役に服さねばなりません。 耕せる土地は百畝ほどで、百畝の収穫は百石足らず。 春に耕し、夏に草を取り、秋に刈り取り、冬に貯蔵します。 薪を伐採し、役所の修理をし、賦役も課されます。 春の砂嵐、夏の暑さ、秋の長雨、冬の寒さを避けることもできず、四季を通して一日の休みもありません。

また、おのおのの付き合いもございます。 弔問や見舞いに行き、その合間を縫って、親のおらぬ子の世話をし、幼な子を養わねばなりません。

このようにまめまめしい苦労を重ねているのに、さらに洪水ひでりといった災害に見舞われ、 苛政暴政に虐げられ、時を定めず租税が課され、朝に出された法令が夕方には改められてしまいます。

持てる者は市価の半値で売り、持たぬ者は倍の利息で金を借り、ついには畑や家、子や孫を売って借金を返すありさまでございます。

ところが、商人といったら大きな者は買い占めて値上がりを待ち、何倍もの利益を得ています。 小さな者も店を構えたり、街を売り歩いたりして、珍しい物を片手にもうけております。 一日中大きな街に出かけ、お上の急な需要に乗じて、売値を倍にもつり上げます。

だから、このような商人は男は耕作もせず、女は絹も織らぬというのに、美しい着物を着て、上等の米や肉を食っております。 農民のような苦労はせずに、農民の数千倍もの収入があります。

彼らは金があるために、王侯貴族と交際ができ、力は官吏の権勢を上回り、金を使って、互いに押しのけ合っています。

遠くまで遊びに出かけ、車の覆いは遙か彼方からでも見え、立派な車に乗って、それをよく肥えた馬が引いています。 絹の靴を履いて、薄絹をなびかせております。

これはつまり、商人が農民を併呑しているからであり、農民が流民となっている理由でございます。

【漢書・食貨志】


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