晏子の御(あんしのぎょ) |
意味:他人の権威によりかかって得意になること。 |
意気揚々(いきようよう) |
意味:大いに満足して得意なようす。ほこらしげに振る舞うさま。 |
晏子が斉の宰相をしていたとき、外出の際、彼の御者の妻が戸の隙間からこっそりと夫のようすをうかがっていた。
夫は宰相の御者なので、車の大きな傘の下で、四頭の馬に鞭を当てて、意気揚々として、はなはだ得意げであった。
家に戻ると、妻が離婚を申し出た。夫がそのわけをたずねると、妻が言った。
「晏子さまは身長六尺にも満たないのに、斉国の宰相で、その名は諸侯にまで聞こえておられます。
今日わたくしが、お出かけのようすを見ておりましたら、とても深いお考えをお持ちのようで、ずっとへりくだっていらっしゃいました。
ところが、あなたは八尺もの背丈があるのに、ひとさまの御者にすぎず、それなのに、とても満足しておられます。
ですから、わたくしはお暇をいただきたいと申しているのです」
それからは、夫は自制して謙虚にしていた。
晏子が不思議に思ってわけをたずねると、御者はありのままを答えた。
そこで、晏子は彼を推薦して大夫にした。
【史記・管晏列伝】
※六尺・・・一尺は約23センチで、140センチに満たない。
※大夫(たいふ)・・・官職名。周代から戦国時代までは国君の下に卿(けい)・大夫・士の三階級があった。大夫は世襲でき、領地もあった。