タイトルを見て驚いた方がいるかもしれません。
樽見鉄道は鉄道自体は健在です。
しかし、その魅力の大部分を担っていた者たちがついに消えてしまいました。
そう、全国でも数少なくなった私鉄の貨物列車、客車列車、そして2軸レールバスが一気に消えたのです。
これで岐阜に行く理由が無くなってしまったと言っても過言ではありません。
そこで、せめてものお別れに乗車してきました。
1月15日の早朝、JRの特快に乗って大垣に向かいました。
そう、その日に運転されたハイモ180型レールバスのさよなら列車に乗るためです。
ハイモ180型は、富士重工で作られた「LE-Car」シリーズのプロトタイプと言える車両です。
名鉄の非電化支線区間で走っていたレールバス、キハ10系とほとんど同じ設計です。
ただ「ライト&エコノミー」の名前が示すように、バス部品流用の軽量車体であったため、耐久性に劣るのも否めませんでした。
そして、現在残っている「LE-Car」シリーズは、くりはら田園鉄道の元名鉄車と、紀州鉄道の元北条鉄道フラワ1985型だけになってしまいました。
私は、まず大垣から樽見までの全路線を乗りとおし、そして本巣まで同じ車両で折り返すと言う行路で乗車しました。
それではここで、車内外の特徴的な部分を紹介しましょう。
まず左写真は、この系列のシステム上の大きな特徴である「空気バネ式1軸台車」です。
つまり、今までの2軸車とは違って1軸ずつカーブに追随して回転できる、と言うことです。
右写真は乗降ドアの上についている「戸締め表示ランプ」ですが、バス部品のためかとても特徴的な形をしていますね。
車内の特徴としては、まず異例の中央運転台方式と言うのが挙げられます。
通常は向かって左側にあるのですが、一枚ガラスの前面窓と両脇のドアのためにこういう造りになったのでしょう。
ちなみに、運転士さんは進行方向左側からしか出入りできないため、少し不便そうでした。
また、車内はスーパーロングシートとなってしまっているのが残念な点です。
せっかくいい景色のところを走るのに、台無しです。
(昔はハイモ180−101と言う同形式のクロスシート車が居たのに…)
ちなみに、私は往復共に先頭を陣取る事に成功しました!\(⌒▽⌒)/
そして、先頭の景色を楽しみながら樽見についたとき、サプライズイベントがありました!
なんと、ちょうどその日は最新型の試運転があり、樽見で顔合わせが撮れると言うのです!!
そして、私達は幸運にも一日限りの光景を堪能することが出来たのです!
本巣で一通り撮影を済ませた私は、フリーきっぷの有効利用のため、織部駅に行くことにしました。
その駅はつい最近出来た新駅で、脇には「道の駅」も作られていました。
そこで食事を済ませた後、本来の目的地である「住友セメント本巣工場に向かいました。
工場に向かうにはこの駅が一番近いのです。
この駅はもしかしたらアニメファンにも人気の駅になるかもしれません。
(アニメ・「おねがいツインズ」の織部 椿さんのファンの方に…)
駅を出て5分もたたないうちに工場が見えてきました。
工場出口の踏切まで行き、「動かないかな〜」と考えながら雰囲気に浸っていました。
すると、その日2度目の奇跡が起こったのです!
なんと、おもむろに踏切警報機がちょっと変わった警報音を奏ではじめ、青いDLが姿を現したのです!
それも黒いタキ1900型セメントタンク車を引き連れて!!
居ても立っても居られず、疲れを忘れて線路端を走り回って写真を撮ってしまいました。
目の前をステップに作業員さんを乗せて行き来する可愛いDLの姿を見て、本当に廃止が悲しくなりました。
これからの時代は環境に配慮すべき時代だと言うのに…。
なぜ住友大阪セメントはこんなにも先見の明が無いのでしょうか。ハァ〜ア(ため息)
入れ替えが一段落した後、専用線の線路沿いに本巣まで歩き、再び撮影をしてから帰途に着きました。
2月2日、まだ夜も開けきらないうちに家を発ち、始発の普通列車で7時20分ぐらいに大垣に着きました。
そう、平日しか走らない樽鉄の14系に乗るためです。
そして、期待に満ち溢れた私の前に、国鉄色のDEに牽かれた14系が現れました!
早朝だと言うのにテンションが上がりっぱなしでした。
日常的利用者である高校生にはどう見えたのでしょうか。(笑)
機回しを完了させた列車はついに動き始めました。
発車時の衝撃が少しあるものの、本当に静かで快適な旅路でした。
車両から見るシルエットも、本当に懐かしい感じがしました。
「ピュゥ―――…」
少しかすれた汽笛が、映画「鉄道員」の汽笛にオーバーラップして心に響き渡りました。
車内には青いモケットの簡易リクライニングシートが並んでいます。
雑誌でしか読んだことの無かった昔の特急列車の車内にタイムスリップしたような感覚でした。
本巣まで乗った後、一時間後の列車で折り返し、横屋で降りました。
そして、樽見鉄道沿線で一番の「お立ち台」である鉄橋の袂の築堤に登って貨物を待ち受けました。
そこには他の2人のレールファンも陣取って、さながら撮影会のようでした。
ちなみに、2006年2月ごろのトップページの写真は、この後の折り返しを対岸で撮ったものです。
撮影を終えた後、東大垣まで歩くことにした私は、とても珍しい物を発見しました!
おのずから東海道本線に沿って歩いていったのですが、東海道線の築堤下にレンガアーチ架道橋が大量に現存していたのです。
左側はおそらく日本で最小クラスと思われるメガネ橋です。
道路と用水路の兼用となっています。
右側は「ねじりまんぽ式」と呼ばれるもので、日本全国でも有数の貴重品です。
線路に対して斜めに交差する物を乗り越えるために編み出されたつみ方です。
樽見鉄道に行かれた際はこの区間でのハイキングをお薦めします。
東海道本線の旧鉄橋を流用した歩行者専用の鉄橋も渡れますし、何より東海道本線の歴史の重みを感じられます。
歴史の重みに浸りながら、ようやく今回最後の訪問駅、東大垣につきました。
左写真の角度で見ると、どこと無く四国の下灘駅に似ていますね。
駅舎は、本巣駅とよく似た感じです。(ただし、無人駅だったり入り口の位置が違ったりする)
そして、この駅舎を周囲からも眺めて堪能していたときに、すごい物に気付きました。
なんと、使われなくなったタブレットの機械が駅舎内に集められていたのです!
最後にこんなすごい物に出会えるとは思いませんでした。
これで今回の訪問はおしまいです。
それにしても、こんなにも一気に魅力を失ってしまった樽見鉄道がかわいそうになってきました…。
今度、駅を制覇しに来るときに、何を楽しみにすればいいのでしょうか…。
環境に優しい鉄道貨物が一刻も早く脚光を浴びてほしいです。
そして、これ以上消えないで…。