愛知県碧南市 ファイナル特別企画は『レッドパス』と『橋本奈央子』のステージ
<ファイナル特別企画として催されたステージ。集客を求める「来てください!」の声も観客は僅か15人の寂しさ。第一部はサックスとシンセサイザーという編成の『レッドパス』の演奏。盛りあげようにもあまりに少ない観客に表情は硬くなる> 最後の日となる8月17日にはファイナル特別企画として催しが予定されていた。 私がウォータースライダーを懐かしんでいるとパラパラとした拍手が西の方角から聞こえてきた。 「只今ステージにて…来てくださいッー」と女性が必死に場内に呼びかける。 管理練前の特設ステージでは午後5時より、サックスとシンセサイザーで編成する『レッドパス』の演奏が始まっていた。 煌びやかな衣装を纏った女性二人組の演奏者が必死にステージを沸かせようとするが、用意された観客席はがら空き。観客15人のうち、三分の一ほどは同じ服を着込んだ設営スタッフという有様だった。 演奏は素晴らしいものだったが、如何せん、人が少なすぎた。
<第2部は名古屋を中心に活躍するシャンソン歌手『橋本奈央子』さんのステージ。ファンであるお婆ちゃんのリズムと『橋本奈央子』さんの歌唱力により盛り上がりを見せる観客席。終了時刻の午後6時、女性司会の謝辞と共にユーリズミックスの曲。いよいよマンモスプールも見納めとなる> ステージは2部構成になっていて、次は『橋本奈央子』さんによるシャンソンショー。 演奏が始まると、それまで静かに座っていたお婆ちゃんがリズムを取り始めた。 有名な曲を歌う場面では少ない観客もかかわらず、盛り上がりをみせる。 この『橋本奈央子』さんは名古屋を中心に活躍し、本家フランスの有名アーティストとも共演する、その世界では名の知れた存在。淋しい観客数に実に申し訳ない思いがする。 終了予定時刻の午後6時を迎える頃に司会の女性がマンモスプール30年の歴史に感謝の意を伝え、重なるように『Eurythmics』の代表曲「There Must Be an Angel 」が場内に流れた。 間奏にあるハーモニカの音が閑散とするプールに響き渡り哀愁を漂わせる。 プールスタッフもどこか溜息ある表情。空はマンモスプールの命が尽きるかのように薄暗くなっていく。
マンモスプールの入場料は平成15年(2003)夏の時点では「大人520円 小人210円」であった。 碧南市民ならば「広報へきなん」に添付される”タダ券”をかき集めてプールへと通った思い出があることだろう。 さてもう一つ入場料を払わずに済む方法があったことを覚えているだろうか? 「碧南スタンプ」である。 市内の商店街で買い物をすると金額に応じて、男の子の描かれた切手大の紙片が貰えた。それを台紙に貼り、決められた枚数に達すれば入場券として使えるというもの。 だがこれがなかなか貯まらないのだ。子供の利用する文房具店や駄菓子屋は参加していなかった。 大浜で育った私には、洋品店「岡田屋」で体操着を買う際に貰える程度しか手に入らなかった。 そこで子供達の連帯である。各自持ち寄り、広報のタダ券を享受出来ない末っ子たちのために碧南スタンプを差し出して助け合った。
< text • photo by heboto >