新生「トボトボ歩く碧南市」の決意表明 「思想」ではなく「愛」ある碧南市を目指して
<コードネームは「ヘボト」。最下層から「トボトボ歩く碧南市」最高権力者へ。指導者「M教師」の元で理想社会実現を夢見るも挫折。暗黒の10年の後、称名寺「微笑みの六地蔵」に啓示を受けて仏教に深く帰依、碧南市復興を誓約。女優『松嶋菜々子』さんと『小進庵』の海老天丼を愛する> 「トボトボ歩く碧南市」運営のおける全ての権限を有する男。コードネームは「ヘボト」。 ピッピー文化の産物としてこの世に生を授かり、碧南における共産革命の指導者「M教師」の元で思想教育を受け熱意に燃える。 しかし、1989年の独「ベルリンの壁」崩壊に端を発する社会主義の敗北と、なによりロシアの政治思想家「クロポトキン」の提唱する”相互扶助”よりもイギリスの博物学者「ダーウィン」の唱える”生存競争”が正しかった事を自身の体験で悟り、失意の日々を過ごす。 暗黒の10年を経て漸く傷も癒えた頃、懐かしさに訪れた大浜「称名寺」にて、微笑みある”六地蔵”から啓示を受け、碧南市復興を誓約する。 初期には「トボトボ歩く碧南市」創始者の一人という地位にはあったが、実質その身分は資産階級に属する他3名の創始者に搾取される最下層の労働者であった。 彼には現在3人の影武者がいるとされ、またその正体は「トボトボ歩く碧南市」最高機密であり漏洩することはない。 女優『松嶋菜々子』さんに恋い焦がれ、称名寺門前『小進庵』の”海老天丼”を愛する…といった噂が伝わるのみである。
<闘争による2年以上の活動停止は「トボトボ歩く碧南市」存続の危機に。新体制で臨む「トボトボ歩く碧南市」を支えるは碧南市だけでなく世界中で活躍する「agent」達。市井に溶け込み碧南市発展の為の情報収集活動を担う彼ら。最高権力者ヘボトでさえ驚く巨大諜報機関が現実に!?> 碧南を想う男子が集まり「トボトボ歩く碧南市」の歴史は始まった。しばらくは順調に進んでいたが、創始者同士の権力闘争と思い描く未来像の相違から「トボトボ歩く碧南市」は存続の危機に見舞われる。 2年以上をも費やした遺恨を省み、「トボトボ歩く碧南市」は組織体制を刷新することで生き残りを掛けた。 「顔も知らない同志が碧南市を想う心で繋がる」体制。メールという文明の利器を介し、碧南市内外で起こる出来事や情報を逐次伝えてくる彼ら。 碧南市に対する思いの丈を熱く文脈に滲ませる彼ら。「トボトボ歩く碧南市」最高権力者を自認するヘボトは単なる媒介者に過ぎず、主体は碧南市のみ成らず世界中で諜報活動を行い、碧南市の明るい未来を夢見る彼らである。 碧南の「Central Intelligence Agency」たる彼らの活動は、ごく自然に市井の人として溶け込み、決してその素性が露呈される事はない。 街を見渡してみる。好々爺たる老人の内ポケットには”PDA”を忍ばせる、コードネームは「アンディー」か? 女子高生の集団、馬鹿笑いしながらも一人だけ冷めた目をする彼女は? お婆ちゃんの素早いタッチタイピングを見てしまった。 冴えない中年を演じる万年係長はもしや…。ヘボトでさえ想像だにしなかった巨大諜報機関が碧南市に誕生しているのかも知れない。
私、ヘボトを含む「トボトボ歩く碧南市」創始者の4名には共通項がある。碧南の教育界でも有名な「M教師」に教えを受けたことである。 共産革命に陶酔する「M教師」は、自ら信ずる思想をまだ自己を確立できない子供達へと植え付ける教育を実践した。 私が大人になって衝撃を受けた映画がある。カンボジアの大虐殺を扱った「The Killing Fields」(米国1984年・監督ローランド・ジョフィ)である。 映画にある子供達の描写は、私達の受けた授業に重なるものを感じた。だが今でも「M教師」は私の師であり、その思想以外は自信を持って「碧南の誇れる人物」と断言できる。 私はかつて壮大で理想なる夢を見た。今あるのは現実を生きること。かといって国粋主義に走るつもりもない。 目指すは平穏なる「思想のない生活」。日本国憲法第19条「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」を心の拠り所とし、”思想無いことの思想”が守られることを信じる。私は飄々と碧南市社会を生きる「やじろべえ」となるのだ。
< text • photo by heboto >