9.久しぶりのヤマハ試弾記・・ベーゼンドルファーもありました
カワイ名古屋ショップは、しばしば冷やかしていて、SK−6を試弾させてもらったりしていたのですが、ヤマハミュージック名古屋の方は、楽譜コーナーは時々立ち寄っていたものの、中二階の鍵盤楽器フロアには長らくご無沙汰をしていました。もしかしたらこの時以来だったかもしれませんが、予備知識ゼロで左側の階段を上がって覗いてみると記憶にある風景と大きく違って、展示品も以前より種類が豊富でした。
AvantGrand N1
最初に店員さんにお願いして弾かせてもらったのが、正面に見えた「ハイブリッドピアノ」のアバンドグランドシリーズの新製品N1です。かつてのグランタッチシリーズの後継機種ですが、実に良く出来ています。リンク先の画像で分かるとおり、そっけない電子ピアノ的形状で、どんな部屋に置いても(かつてのグランタッチなら引き起こしたかもしれないような)違和感は少ないでしょう。背が低いので奥行きが大きく見えましたが、実際には62cmと普通のアップライトピアノ並みに納まっています。といっても特にスリムな電子ピアノで奥行き30cm切れるようなものよりは少々嵩張ります。
早速弾いてみましたが、タッチに違和感が全くありません。浅くも深くも重くも軽くも無く(自宅のピアノよりほんの少し浅いかな、とは思いましたが)世にあるグランドピアノのタッチのばらつきのほぼ中央付近でしょう。余分な引っかかり感が全くありません。あえて言うと記憶にあるヤマハのグランドピアノよりは自宅のカワイのピアノに近いように思いましたが、とにかく極普通のグランドピアノのタッチです。グランタッチは軽すぎる上に何か引っ掛かりがあったように記憶していますし、自宅にあるカワイのHE-10は所詮アップライトのタッチなので比較になりません。
かつてのヤマハのアップライトアクションの電子ピアノで同時発音数32というのは問題ではないかと思っていたのですが、さすがにAvantGrandシリーズでは256音に改善されています。HE-10の同時発音数64音でも音がふっと消える場面をたまに体験できるのですが、256音あれば連弾でガンガンやっても恐らく問題にならないでしょう。
ペダルにも違和感が全くありません。踏み応えに違和感がないのは勿論、最初からのハーフペダルとか半分消しとかの響きも、私の検知能力ではアコースティックピアノとの違いが分かりませんでした。ソフトペダルとソステヌートペダルは・・・私が普段から踏んでいないので試弾の際にも踏み損ねておりコメント不能ですが、もとより検知能力が低いので判別できなかったでしょう。その他、試しませんでしたが録音機能とか音色選択とかは遊べるようです。あとは非平均率(純正率とかベルクマイスターとか)への調律変えが出来れば完璧だったのですが、その機能は無いようです。
AvantGrandシリーズには、この上にN2,N3があって、これら上位機種には鍵盤に振動を伝えるメカニズムがあるのが大きな違いだということですが、そこまでの機能はなくても十分ではないか、と思います。その他、スピーカーの取り付け方の違いによる響きの違い、形状の違い(N2はN1に近い形、N3はグランタッチ風の形状ですがグランタッチよりは自然な形のような気がしました)がありますが、価格差も大きいので、N1で十二分(これでも高価ですが)と私は思いますし、対応してくれた店員さんも同意見のようでした。自宅のピアノを毎日ほぼ好きなように弾けている今の私には必要ないのですが、そうでなかったら直ぐにでも欲しいところでした。いろいろな理由で自宅にグランドピアノを置くわけにはいかない全ての人に候補にしていただきたい楽器だと思います。
DUP-22B
N1の裏側にアップライトアクションのこの機種が展示されていたので少しだけ触ってみましたが、アップライトアクションではN1とは比較にならない、と判断しました。かつてのアップライトアクションの電子ピアノより随分高価で希望小売価格でほぼ50万、今からこれを買うのなら、もう20万円(この差も小さいとは言えませんが)奮発して、N1まで頑張っていただきたい、と強く思った次第です。
ベーゼンドルファー Model 200
売り場をさらに進むと、グランドピアノが幾つもありましたが、目を引いたのはガラス張りの区画の中のベーゼンドルファー2台でした。以前にはそんな区画は無かったはず・・そういえばヤマハがベーゼンドルファーを買収したんだっけ・・という浦島太郎状態ですが、早速試弾を希望したところ、「ベーゼンドルファーを試弾いただくには住所お名前を記入してのアンケートへの回答をお願いすることになりますが、よろしいでしょうか」とのこと。勿論アンケート回答をOKして、Model
170 と Model 200 が並んでいる中から大きい方の200を弾かせてもらいました。
ベーゼンドルファーを弾くのは初めてではないのですが、余り一定した記憶がありません。今回も今回で、高音のきらびやかな輝きにびっくりしてしまいました。ベーゼンドルファーは木の響き、という先入観に比べると金属的な響きです。素晴らしい美音なのですが、もしかしたら長く使うと鼻につくかもしれない、と思うくらいの輝きです。それに比べると、中音以下は普通に奇麗な響きでした。N1に引き続きスクリアービンのソナタ4番を全曲弾いたのですが、私ごときの素人の強打であれば余裕で受け止めてくれました。ガラスの区画は栄のカワイの試弾コーナーより床面積天井高とも大きく、音があふれる感じは大分マシです。タッチはこちらもごく普通と思ってしまいました。素晴らしい楽器だとは思いましたが、ほぼ1000万円の価格は普段使いにするには論外とも思っています。(以上11.12.28の出来事、12.01.09更新)