「預言者」 : 粗筋

この頁の拙訳になります。英日自動翻訳だとこんなものができます(←最近の自動翻訳は随分良くなっています。私が最初に作業した時にはもっと豪快でした)。一から自分で訳した方が良い位ですが、修正の方が気が楽なので、「そんなもの」をベースにしました。ので、引っ張られたところが多々あると思います。

Anabaptist=再洗礼派 とはルターの宗教改革の時代の過激派というか、カルト集団というか、です。この連中がドイツのミュンスターという町を1年半にわたり占拠して暴虐の限りを尽くした挙句、最後にはカトリック勢力の反攻により粉砕された事件(1534-1535)があり、このオペラはその事件を元にしたストーリーですが、史実とは大きく異なります。

登場人物 :
フィデス(Fides) : ジャンの母
ライデンのジャン(Jean de Leyden)
ベルテ(Berthe) : ジャンの恋人
オーベルタール伯爵(d'Oberthal Le Comte)
3人のアナバプティスト(Anabaptists)
   Zacharie
   Jonas
   Mathisen (この3人の表記は原文のままにしています)
小作人、子供、兵士

 

プレリュード

場面はオランダのドルトレヒトの郊外。舞台の右側に跳ね橋と塔の付いた堅固な城がある。これはオーベルタール伯爵の城である。左にこの城が領有する農場と製粉所がある。同じ側にムギ袋、作業台、ベンチ、等がある。

カーテンが上がると舞台は空である。短いオーケストラのプレリュードが聞こえる。プレリュードの間に羊飼いが現れ、リードパイプで目覚めの合図(プレリュードではクラリネットソロ) を鳴らす。舞台裏の羊飼いが応える(舞台裏のクラリネット)。クラリネットはこだまのように響き合う。

そして、コテッジのドアが開き、小作人は背中に小麦粉の大袋を、粉引き職人は用具などを持って出て来る。

マイヤベーアは長い序曲を書いたが、近年まで失われたと思われていた(アルカン編のピアノ版があることから序曲の存在は知られていた)。 プレリュードからそのまま第1幕のコーラスに続く。

 

第1幕

快晴のオーベルタール伯爵の城外で、小作人と粉引き職人が彼らの幸福を歌う。 "La brise est muette . . . . " (風がそよぎ、日はおだやか。。。)

小作人の1人、若いベルテには、特に喜ぶ理由がある。" Mon coeur s'elance et palpite " (私の心は弾み、動悸を打つ。。。最愛の人にまた会える。)  彼女は恋人ジャンを歌う。ジャンの母フィデスがライデンからベルテを迎えに来た。しかしベルテは農奴であり、オーベルタール伯爵の承諾なしに行くことはできない。ベルテはフィデスが遠くから来るのを見る。彼女に会いにベルテは走り、彼女の腕を取り、そして彼女を穏やかに案内する。フィデスは旅行で疲労していて歩くのもやっとである。彼女は舞台の前に来てベルテを抱擁し、祝福し、ジャンからの婚約指輪を彼女の指に嵌める。フィデスがすぐ去ろうと不安がるが "Partons! Partons! Partons! "hatons-nous Hatons-nous (行きましょう!行きましょう!行きましょう!急いで、急いで) 、ベルテは彼女がオーベルタール伯爵の承諾なしで去ることができないことを彼女に話す。フィデスは城の方のベルテを引張り始める。

3人のアナバプティスト-- Zacharie、Jonas、Mathisen-- が階段の上に現われる。3人は陰気なラテン語の祈り、”Ad nos, ad nos salutarem undam, iterum venite, miseri! Ad nos, ad nos venite, populi!" を歌い始める。

コーラスは、"Ecoutons le ciel 。。。" (彼らから天の声を聞け!)と応える。3人は近くのウエストファーレンの反乱のリーダーであり、領主に対する小作人の反乱を扇動するために来たのだった。3人はそれぞれ反乱を説き、そしてまたラテンのリフレインを合唱する。Mathisen は一団に演説する " Esclaves et vassaux . . . Levez-vous, levez-vous, levez-vous!" ("奴隷と農奴よ、あまりにも長く跪く者共よ、立ち上がれ!立ち上がれ!立ち上がれ!") 。小作人の一人が進み出て、3人に質問する。アナバプティスト達は彼らの今の主人が奴隷になると約束し、小作人の多くは戦争と反乱で異教徒を死に至らしめるまでアナバプティスト達に従うことを決断する。彼らは聖書の預言者の言葉 " Les nations verront ta gloire . . . "(国家に栄光あれ!、天の法は永遠なれ!)に神を思い起こす。小作人は干し草フォークを振り回し、戦いの準備ができている軍隊のように整列する。

突然オーベルタール伯爵が現われ、小作人を脅かす。オーベルタールは彼のワインを盗むのが常であったワイン係であった Jonas に気づく。アナバプティスト達を追い払うよう彼は兵士に命令する。内気で不安なベルテはジャンと結婚する許可を伯爵に頼むようフィデスになだめすかされる。しかし伯爵は彼女の美に打たれ、拒絶する。その場の皆がこの決定に憤りを表していると、伯爵は彼の兵士にベルテとフィデスの二人を逮捕させる。小作人は引き下がる。アナバプティスト達は背景で " Ad nos, ad nos salutarem undam . . . " と歌い、それから突然再び現れ、手を人々に伸ばして城を脅かすような仕草をする。カーテンが降りる。

第2幕

舞台はライデンの郊外のジャンと彼の母(フィデス)の宿屋。後ろのドアと開き窓から田舎の風景が見える。ワルツが舞台裏から聞こえる。

ジャンが水差しを持って右の部屋から入ってくる。彼は後ろの部のドアを開けに行く。彼にはワルツを楽しみつつ宿屋に向かう男女の小作人が見える。あるものはテーブルに坐り、あるものは " Valsons toujours . . . Et vive, vive, vive Jean!" (ワルツを踊ろう。。。ジャンが長生きしますように!)と歌う 。ジャンは恋人ベルテの到着を待つ。

3人のアナバプティスト達はジャンを見て、ミュンスターで崇拝されているダビデ王の像との類似に気づく "et qui fait tous les jours des miracles" ("そして常に奇跡を起こしている) 。彼らは彼についての小作人に質問する。小作人は彼がジャンで、大胆で、勇気があり、敬虔で、"il sait par couer toute la bible!" (彼は全聖書を暗記している!)と答える 。小作人が去ると、3人のアナバプティスト達はジャンを彼らの使徒に祭り上げることを考え始める。アナバプティスト達が近づくとジャンは呆然とし、彼が夢で二度見た不吉な予兆について話す。"J'etait debout, le peuple a mes pieds prostern . . . "(私は立っていて、人々は全て私の足元にひれ伏し、私の額は王冠に飾られ、彼らは「彼は選ばれしもの、救世主、神の息子!」と言った。しかし大理石には火の文字で「お前に災いあれ!」と書かれていた。そして私は血の川で運び去られた。)  (この部分の音楽は第4幕の聖なる行進及び子供のコーラスを先取りしている。) アナバプティスト達は預言としてこれを見、ジャンに彼らと行進するように言う。ジャンは断り、アナバプティスト達は去る。

ベルテが駆け込んできて、ジャンの腕に飛び込む。彼女はオーベルタールに追跡されていて、オーベルタールも入ってくる。ベルテは隠れる。オーベルタールは、彼の2人の捕虜が逃げた、ジャンがベルテをあきらめるか、さもなければ彼の母に殺す、とジャンに言う。彼は、"Prenez ma vie" (私の生命を取れ、しかし私の母には憐れみを持ってくれ!)と答える。ジャンは選択に躊躇する。兵士はフィデスを引き据え、彼女の頭上で斧を構える。ジャンは隠れ場所からベルテを引っ張り出し、兵士に引き渡す。兵士はフィデスを解放し、ベルテを連れ去る。ジャンは興奮し恥じて、手で顔を隠す。フィデスは泣きながらジャンに "Ta pauvre mere te fus plus chere que ta Berthe" (ああ! 私の息子に幸いあれ! お前にとって、お前の貧しい母の生命はお前の最愛のベルテより大事だった!)と語りかける 。

外の遠くで、アナバプティスト達の歌が聞こえる。今や復讐を望んでいるジャンは今度は彼らを呼び入れ、彼らの王として戴冠されて、オーベルタールに対する反乱を導くようになることを熱望する。アナバプティスト達は彼が神の選ばれた救世主で預言者であることジャンを確信させる。彼らは、彼が一旦受け入れるや「地上の結び付きはすべて永久に失われ」、二度と故郷も母も見ることができなくなる、とジャンに警告する。ジャンは躊躇するが、最後には確信して行く :復讐の必要性が圧倒した。彼らすべてが去り、カーテンが下りる。

第3幕

第1場

アナバプティストはウエストファーレンの森林にキャンプを張っている。凍結した池は地平線まで伸び、霧と雲でかすんでいる。池の片側は森林で、その反対側にアナバプティスト達のテントがある。日暮れが近く、遠くの行軍の音が聞こえ、それが近づいてくる。軍隊が囚人を引っ張りながら入って来て、リーダーは彼らの血に飢えた本性を明らかにする。コーラスは "Du sang! du sang! du sang! que Judas succombe!" (血! 血! 血! ユダヤ人を滅ぼせ! 彼らの墓の上で踊ろう! )。アナバプティストは敵の四散を喜び、疲れから坐って休む。池を横切って、馬に引かれた橇や荷を積んだ車、バスケットとミルク缶を持ったスケーターがキャンプ近くの岸にやってくる。疲労した兵士は若い女の子が踊る間に元気になる。長いバレエは続く: a) ワルツ、b)Pas de Redowa、 c) Quadrille、 d)  Gallop 。(このバレエは、アイススケートを模倣するローラースケートを使用した点で画期的である。)

第2場

Zacharie のテント。Mathison と、Zacharie はオーベルタールの父親が支配するミュンスターへの夜襲を計画する。ドルトレヒトの居城が既に灰燼に帰してしまったオーベルタール伯爵が現われ、アナバプティストに参加したがっているふりをする(実際は彼はミュンスターの彼の父のところ行こうとしていただけである)。アナバプティスト達は彼に気付かず、オーベルタール父子、すなわち、彼自身の父と彼自身を絞首刑にすることを誓わせる。突然、彼の正体がばれて Zacharie は即座の死刑を宣告する。オーベルタールは引き立てられる。ジャンは物思いにふけりながら入ってくる。彼は彼の反乱のための旗頭としてのにせ預言者の生活に既に疲れていて、特に彼が殺人者の一団を導いていることを気に病んでいる。彼は彼の母に会いたがるが、アナバプティスト達は拒否し、彼が預言者の役割に留まらなければ彼を殺すことを誓う。オーベルタールが連れて来られる。彼の胸は後悔の念で満ちている。彼はベルテが城の胸壁から川に身を投げたが救われ、今はミュンスターに居ることをジャンに話す。ジャンはオーベルタールの助命を要求する。ベルテが彼の運命を決定するだろう。ミュンスターは攻略されなければならない。

第3場

霧で覆われるミュンスター郊外の兵士のキャンプ。反逆者はミュンスターの攻撃の遅れのため、ジャンにいらついている。あるものは彼が偽の預言者ではないかと疑う。ジャンは彼らを再び集め、彼らは勝利の賛美歌を歌う。霧が晴れ、ミュンスターが見える。彼らはジャンに導かれ、聖戦の叫びを上げながらミュンスターへ行進する。

第4幕

第1場

今やアナバプティストが占拠するミュンスターの広場。右には市役所のドアがある。複数の通りが広場に至る。裕福な市民は、彼らの宝物を手放して反逆者の機嫌を取ることを強いられ、金銀の袋を持って階段を上がっている。低い声では、彼らは"預言者" を罵倒するが、パトロールが来ると声高に"預言者が長生きしますように!"と宣言する。今はこじきになっているフィデスが現れる。彼女は彼女の息子が死んだことを信じている。彼女はベルテに出会い、彼女らは抱擁する。フィデスはジャンの死をベルテに告げ、それを預言者のせいにする。ベルテは復讐を誓い、フィデスは許しと慈悲のために祈る。

第2場

ミュンスターの大聖堂。即位の行進が行われる。全員が今戴冠された王である預言者を称える。フィデスは群集に続いて教会に入り、預言者を殺すというベルテの成功のために祈る。子供のコーラスが続き、全員が預言者=王に礼をするよう要求する。ジャンは王冠を身に着けて階段を降りてきて、夢を思い出す。フィデスは式が終わってからやっと彼女の息子を認め、立ち上がる。群集の前で、彼女は彼に呼びかけ、彼の母であると言う。これは預言者に従う者にとっては不敬であり、彼らは老女を殺そうとする。ジャンは最初彼の母を抱擁するために走り寄ろうとしたが、Mathison に止められ、彼女に質問する。フィデスは彼女が主張しつづけるとジャンに破滅をもたらすことを理解する。彼女は、彼が彼女の息子であることを否定する。人々は今まで以上に魅了される。フィデスはベルテの殺人の意思を覚えている。

第5幕

第1場

ミュンスターの宮殿のアーチ形セラーの地下牢。それはまた火薬庫としても使われている。アナバプティストのリーダー達は秘密に会い、ミュンスターに行軍しているドイツ皇帝にジャンを裏切ることに決める。Zacharie は、"彼[ドイツ皇帝]は 我々が預言者を引き渡せば、我々と我々の宝物に安全通行権を提供する"と言い、3人は"天の意思は実行される" と答える。彼らが去ると、再び囚人となったフィデスが連れてこられる。彼女は死を覚悟しているが、ジャンが入って来て、許しを乞い、彼らは和解する。ベルテはトーチを持って現われる。彼女は預言者および彼の従者が真上の大ホールでの宴会に出席している時にセラーを爆破しようと計画している。彼女はジャンに気がつくが、彼が預言者であることが分かった時、彼女自身を刺して死ぬ。"Je t'aimais. . . toi que je maudis" (私は愛した。。。私が呪うあなたを。。。そして私はそのための自分自身を罰する!)  ジャンは絶望し、アナバプティスト達と彼自身を殺すために残ることにする。

第2場

宴会ホール。ジャンは宴会に参加することをふりをして、酒宴の歌を歌う。オーベルタールによって導かれて皇帝の軍隊が入る。敵全員が揃った時、炎は床から上がり始める。火薬が爆発し、宮殿が倒れる時にフィデスはジャンと一緒になる。

 

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