Milky Way  STORY







 
夏の夜、宵から夜半にかけて、銀河系そのものを観察したい。
それも、北上川のほとり、できれば岩手県花巻市、
かつての宮沢賢治が〈イギリス海岸〉と呼んで親しんだ
あたりから観察したい。長編『銀河鉄道の夜』の世界が、
今や眼下にある。現代はもう賢治の時代とちがって、
照明も多く、空気も濁っているが、しかし
まったく思いがけずに澄んでいることがある。

このあたりに立っていると、北上川というのはほんとうに大河だ。
そしてここでは、川は正確に北から南へ流れ、
南の地平線__水平線__では、水蒸気が立ち込めて、
茫々とかすんで見える見える。夜になれば、川は、
ここのあたりで銀河系と、天頂のあたりから南天にかけて、
なだれ落ちるようなあの銀河系・天の川と、まさに
「合体」するのだ。


一人、河原でカメラを、星空に向けていると、
星たちが雄弁に語りかけてくる。
まるで私をも、秀逸な詩人にでもしようと、ささやき、
そして〈誘惑〉する。


そんなカメラマン「コームラ」が長い長い間見続けた、
一瞬の夢の物語。


01 川の中へ

02 蛍がいる!!

03 えっ。コームラ?

04 流星群が見えるまで

05 夜中のピクニック

06 全部食べてね。

07 汽車に乗るんだ。

08 鼻水ババァ

09 中央アルプス

10 校外学習

11 見えない女の子

12 たらい

13 ユウジはここにいる。

14 今日は北上川かい?

15 花火の日に

16 灯篭流し そして…

17 プラネタリュ−ム

18 ユウジ君が見える

19 困りますね。勝手に…

20 今日はどこにいるの?

21 プラットホーム

22 銀河鉄道

23 誰を亡くされたのです?

24 「蠍の火」

25 結婚するの。

26 マチコが、マチコが…

26 僕が川に落ちたんだ。

27 長い夢をみてました。

28 カンパネルラの声が重なる。

29 プレシオスの鎖を解くんだ。

30 ほんたうのさいはい

31 自分の道である。

33 カーテンコール。。
写真撮影
Masayasu komura


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