(バリアフリー改装)


バリアフリーと言っても幅広く、視覚聴覚を初めとする様々の障害を持つ障害者のバリアーに対して、十分な知識を持っていないのが正直なところであり、それらにきめ細かく対応することは難しく今後の課題も多い。

今回の改装に関しては福祉・保健・医療関係者の意見を聴く機会があり、それらを参考にして対応することができた。

 

この事例は、足のけがにより車椅子を利用することになった高齢者の為の住宅改装です。
 
90歳を超える高齢者であるため家族の介助が得られることを前提に、主に車椅子での移動がスムーズに行えることが目的になりました。
幸いにして各室の出入り口の幅は広く、段差を除けば車椅子の利用にはさほど支障はありませんでした。

 最初にすることは寝室まわりの状況確認です。
寝室の位置を変えること も含めて検討され、トイレや洗面・浴室に近く、
居間・食堂にも遠くない和室を使用することになりました。
これで高齢者本人だけでなく家族の負担も軽くなります。
バリアフリーにすることは高齢者本人の為ではあるが、同時に家族を含めた介助者の為でもあります。



 

居間・食堂への移動は頻度が高くスムーズな移動が求められます。
寝室と廊下の段差55oには木製のミニスロープを設置し、居間・食堂と廊下の段差100oには長さ1mで緩やかな木製スロープを設置した。
幅は引き戸幅いっぱいに取り、車椅子がそれたり回転したりしないようにスロープ端部に輪留めを設けた。


トイレは段差60oであったが床がタイルで滑りやすい為に、できるだけ緩い木製スロープとして使いやすくした。
また便器まわりには水平手摺り2ヶ所と垂直手摺り1ヶ所を付けて車椅子からの移動を補助した。
何れの手摺りも位置や高さは実際に動作を確認して取り付けてもらった。

外出時は居間よりテラスへ降り、犬走りを伝わって駐車場へ移動する。居間とテラスの段差は350oあったが、持ち運び可能なアルミスロープを、必要なときだけ設置することにした。

駐車場は車を犬走りに横付けできるように、塀と植栽を撤去して新たに造った。
車を駐車したときに水平に停車できて、しかも乗降が楽になるよう車高ができるだけ低くなるよう工夫してある。
乗り入れスロープは車だけでなく、車椅子でも家族の補助があれば出入りできるよう配慮した。

バリアフリー全体からみれば僅かな、車椅子対応の改装事例でしたが、
考えさせられることも多く、たくさんの問題点を知ることができました。

障害者にとっては、住宅における生活がスムーズにできて家族との触れ合いが多いこと、また外出も容易にできてより多くの社会参加の機会が得られることが大切な事と感じました。
そして私たちにとっては、障害者に対する認識をより深めることが今後の課題であると思います。
                                 
  
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