■とても大きな座卓風の家具■
依頼主の池谷さんは、3年ほど前に自宅を新築し、今回の家具を据える部分は掘り炬燵風に床を下げて施工してあった。家具部分だけが見送りになっていたのを、今回据え付けることになり、ご自身で家具屋さんを見て回り気に入ったものを探してみえた。
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無垢材のものを希望しており、しかも平面サイズが180p角という大きさでなかなか気に入ったものが見つからずに困っていた。
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そんな時、偶然私の事務所の前を通り、外観デザインが気に入り相談してみようと思い、突然来所された。
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歴史小説を読むのが好きで、古い和箪笥や茶箪笥を洗いに出し、再生して使用されており、年齢の割に渋い好みで本物志向の方という印象であった。部屋もそれらの家具と調和するようにデザインされているようだ。残念ながら建物の設計は私ではないが、気さくな人柄と本物への拘りに惹かれ、引き受けさせて戴くことになった。
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現在の部屋の状況を詳しくお聞きし、建物の設計図面を参考に打ち合わせをした。いくつかの問題点を提示し、意向を再確認した後に、図面を進めた。
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樹種は楢材を想定し、甲板は6枚の矧ぎ合わせで仕上がり厚さ40o程度とし、脚の位置を決め、幕板の組み方、ぬきの組み方と高さを決定した。掘り炬燵形状の下段の床に据えるため、カマチからの上がり寸法やカマチ部へのかぶり寸法の検討には苦心した。
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家具の製作は森工房の森さんにお願いすることになった。今春、ギャラリーで見かけた森さんの家具に惚れ込み是非お願いしたいと思った。私の好きな楢材を使ったものが多く、どれも魅力的な作品だった。
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池谷さんに森さんを紹介し、3人で図面の内容の確認と細部の詰めをした。
材料調達の都合で甲板を仕上がり厚さ50o程のタモ材に変更すること、塗装の色・艶のこと、森さんの提案で甲板の2辺は自然の面を残すことなどを話し合い、その他のことは経験豊かな森さんにお任せすることにして、最終決定した。
あとは出来上がりを楽しみに待つことになった。
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10月24日搬入当日、立ち会いのため池谷さんのお宅に伺う。
暫くすると大きな荷を積んだトラックが着き、森さんの他に2人の若い男性が乗っていた。荷を見てなるほどと思った。
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池谷さんと合わせて5人で早速荷を降ろし、搬入にかかった。私は邪魔にならないようにあまり手を出さないようにしていた。荷を解き、甲板が見え全体の姿を確認をした池谷さんは納得したような表情であった。
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所定の位置に据え付け、早速座ってみる。甲板の「ちぎり」を見て満足そうな池谷さんの様子を見て、森さんもほっとしたようだ。私も図面で想定していた座り心地と、丁寧な仕事で綺麗な仕上がりを確認できて一安心。
奥様が入れて下さったコーヒーを味わいながら、木目の美しさと無垢の木の暖かさを再確認できて幸せだった。
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