太刀　銘　兼定たち　　　めい　かねさだ

　この刀は、1930年（昭和5）に桜井松平家の子孫桜井氏より、氏神の桜井神社が県社に昇格した記念に、奉納されたものである。作者は室町時代中期（16世紀）に活躍した濃州関の兼定である。

　刀身に1.9センチの反りがつく鎬造しのぎづくりの刀身であり、棟むねは菴棟いおりむね、切先きっさきは中鋒ちゅうほうである。地鉄は板目肌いためはだで、刃文は互の目に矢筈やはずが交じる。茎なかご（柄の中に差し込む部分）は鷹羽鑢たかはのやすりで、目釘孔めぬきあなは一つ。銘は「濃州関住兼定作」と刻まれる。

　鞘さやのつくりは太刀ごしらえにしており、漆塗うるしぬりに九曜文くようもんを付している。兼定の太刀は、熱田神宮にも、県指定のものが一口所蔵されている。