この香炉は、羽ばたいて波際に立つ鴛おしどりの姿を形どった青銅器である。香炉の煙出しの部分は、開いた嘴くちばしで形造られる。鴛の翼の部分は香炉の蓋ふたとなり、跳ね上がった羽先を把手とってにして取り外すことができ、能動的な造形と堅実な器形が融合された優品である。 江戸時代に茶人が好んだものである。