この香合は扇形の小品で、漆工芸の技法を用いる優雅な作品である。 綿密に覆うイガに対し、栗の実は丸く艶つややかに描かれ、葉の反りによって広がりを醸かもしだしている。その作風は、細工的・類型的に表面美を追っており、江戸時代後期(18世紀)のものであることを示している。