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SUPERのIPL-ROM用DIP(32)→DIP(28)変換基板を作る




 ←直変換参考
X68000 SUPERのメイン基板で使われている外部IPL-ROM用ソケットはODD/EVENそれぞれ28ピンソケットが使われており、ピン配列はファミコンなどで使われている所謂マスクROM仕様となっています
SUPERのIPL-ROMで使用するデータサイズはSCSI用ROMの関係上、ODD/EVENそれぞれ128Kバイト必要なのですが、市販されているEP-ROMやFlash-ROMで128K以上の物は32ピン仕様が一般的です
27C301系は直付けでもそれほど手間では無いですが、大半のROMのピンアサインは27C1001系が多く、ピンの加工をするとか変換基板に載せるといった工夫が必要となります
SOP→DIP、PLCC→DIP変換基板は過去に作ってますが、DIP(32)→DIP(28)変換基板は作ってない(SUPER用ではw)ということで、ネタも無いし折角なのでユニバーサル基板で作ってみましょう、という事に
※27C301系のROMは今回製作する変換基板で動かす事はできません

データを書き込んだ後にEP-ROMやFlash-ROMの足を切る&配線などして、直接メイン基板に挿せばシールド板も使えてスッキリと使えるのですが、データのアップグレードなど変更があるとシールド板取れるまでバラす&ピンを修正して書き戻す等、何かとデメリットがあるので、ここではあくまで
・DIP-ROMのピンを弄らず使いたい
・シールド板は外しているor外しても構わない
という人を対象とします


SUPERのメイン基板のソケットは横並びとなっていて間隔も狭い(2.54mmピッチ)ため、ソケット1個分の横幅を一般的なROMサイズ(600mil)で作る必要があります
ODD/EVEN別々で同じ基板を2枚作るか、ODD/EVEN纏めた1枚の基板にするか、やることは同じなのでどちらでもよいですが、使い回しする基板ではないので、ここでは1枚に纏めた基板を作りたいと思います
通常27C1001系から27C301系の変換基板を作るには、2ピン(A16)⇔24ピン(/OE)といったスワップ処理をする事になるのですが、今回は32ピン→28ピンにする過程で、32ピンソケットの2ピンは特に弄らず配線のみで、24ピンだけ曲げて取り付けて配線(後述)します


【変換基板の作り方】


・材料
32ピンDIPソケット2個分の大きさに切った2.54mmピッチユニバーサル基板(横14穴×縦16穴、できれば両面スルーホール) : 1枚
32ピンDIPソケット : 2個
28ピンリードフレーム : 4個(秋月電子で50ピンの物が購入できます
適当な配線材 : 少量
※使用するピンですが、ピンヘッダや丸ピンを使用するとソケットのバネ板が開きっぱなしになる(=接触不良の原因となる)事があるので、できれば軟性のある上記リードフレームを使う事をお勧めです

・・・ちょっと言葉では伝えにくい(書き方が下手ともいうw)ので主に写真を参照して何とか理解してください(ぇ?

32ピンソケットの24ピンのみ、内側に2.54mm程度になるように曲げます
曲げたピンは元々の24ピンの1つ内側のスルーホールにはんだ付けして使います


28ピンリードフレーム(ODD/EVENの2個分)、32ピンソケットで言うところの24ピンに当たるリードフレームだけ、はんだ付け部を短く切ります
長いままだと32ピンソケットの24ピンとショートしてしまう可能性がある為ですが、ソケット側へカプトンテープ等で保護しておいたほうが安心かも?



はんだ付けする際、32ピンソケットは若干浮かせ気味にして、ソケットとリードフレームを一緒に、リードフレーム側からはんだ付けします
28ピンリードフレームは32ピンソケットの尻合わせ(16、17ピン側)で
リードフレームはバラバラにせず、繋がった状態ではんだ付けします
バラバラにしてからやると・・・ご想像にお任せしますw
ちょっとやりにくいかもですが、慎重に落ち着いて作業しましょう
配線の順番は無いので自分のやりやすいように


・32ピンソケットの2ピンと元々の24ピンの箇所を配線(=A16)
・ソケットの曲げた24ピン(/OE)は22ピン(/CE)と接続(=VIL≒GND)
・1,30,31,32を接続(=Vcc)
※1ピンはROMの仕様によりGNDへ繋げた方が都合が良い場合もあるので、使用するROMのデータシートを確認して適宜変更を

←1個分の配線図
ODD/EVENの2個とも同じ方法で配線し、最後にリードフレームの繋がってる部分をニッパーで切り、ピンを整形すれば変換基板の完成です
念のため、テスターで各ピン(特に2ピンと24ピン)のチェックをしましょう

ピンアサインの意味&取り扱いを理解してる人は基板を少し大きくしてジャンパーピンを取り付けるなどすればROMの汎用性が増します
が、ここで書くとゴチャる(大変)ので各自試行錯誤していただくということで・・・


SUPERのメイン基板のソケットに尻合わせで取り付けて、メイン基板上のジャンパースイッチを1→2側へ差し替えておきます


【使えるROMについて】


ROM容量は最初の方にも書きましたが、ODD/EVENそれぞれ128Kバイト必要で、所謂JEDEC-STANDARD配列と呼ばれる一般的なROMであれば、256Kバイトや512KバイトのROMも使用可能です
使えるROMはROMライターのデバイスリストで29F010とか27C020とか検索すれば沢山ヒットするでしょう
問題は、近年ではDIP仕様ROMの入手が多少難しくなっているといったところでしょうか

・UV-EPROM : 紫外線消去できて書き換え可能なROM(HN27C301、27C1001等)
・(OT-)PROM : ワンタイムPROM、文字通り一度だけ書き込みできるROM(MX27C1000等)
・EEPROM : 電気的消去できて書き換え可能なROM(W27C010等)
・Flash-ROM : 電気的消去できて書き換え可能なROM(AM29F040B等)
※呼称は色々とあるので他とは異なる場合があります

ROMの応答速度は150nsより遅いものは(動くとは思いますが)使わない方がトラブル無く使えると思います
使いやすいのは当然繰り返し使えるタイプですが、Flash-ROMは消えやすいとか、使用する媒体や人によって敬遠される事がありますが、私個人的には突然消えるといった経験は一度も無いので好んで使ってます
普通に変な使い方しない限りは消えない気はしますが、人それぞれ使用頻度や使い方、考え方が違うので好みで使い分ければ良いと思います


【ROMデータの作り方、書き込みについて】

ここではXEiJで作成できるIPL-ROM1.6を使う前提で書きます
IPLROM1.6の内容やSCSI用ROMの出力されるデータはXVIと同じなのですが、SUPERを起動した際に機種名表記をSUPERにしたいので、下記コマンドでXEiJを立ち上げます
n:>java -jar XEiJ.jar -model=SUPER -rom=none -rom30=none -scsiinrom=none -iplrom=none -iplrom16=on -iplrom256k=on
起動の仕方以外のROMの作り方&書き込みはこちらを参考にしてください↓
XVI、CompactXVIでXEiJのIPL-ROM 1.6を使う

128KバイトのROMを使用する場合は抽出したIPLROMデータをそのまま書き込めばOKですが、256Kバイトや512Kバイト仕様のROMを使う場合、1,30,31,32を接続(Vcc) している関係上、IPL-ROMデータの書き込み時に少しデータの加工が必要となります
やることは簡単で、256KバイトROMを使う場合は2つのデータを、512KバイトROMの場合は4つのデータをくっつけます
※実際に読み込まれるのは一番最後のIPLROMデータなので、前半のデータはぶっちゃけどんなデータでも構いません

・AM29F040B(512K)を使う場合の例
IPLROMデータ(ODDとEVENそれぞれ、ファイル名は適宜置き換え)を置いたフォルダでコマンドプロンプト開いて下記コマンドを実行する
n:>copy /b ODD.DAT+ODD.DAT+ODD.DAT+ODD.DAT SUPERODD.BIN
n:>copy /b EVEN.DAT+EVEN.DAT+EVEN.DAT+EVEN.DAT SUPEREVEN.BIN
作ったSUPERODD.BINとSUPEREVEN.BINを用意したROMに書き込みます


あとはODD/EVENのROMの位置&向きを間違えずに変換基板へ挿し、ソケット付近にあるジャンパスイッチが2側になっているか確認して起動します


IPL-ROM1.6の情報が画面表示されれば成功です(←十中八九)

市販されている変換基板でSUPERに直接挿せるものは存在しない(ピンアサイン変更必要、基板が大きい、ピンが太い等)ので、買ったとしても自分で何らかの手入れは必須です
専用基板を作ったとしてもソケットとリードフレームはどの道はんだ付けしないといけないなど、この程度であればぶっちゃけユニバーサル基板で自作するのとそんなに手間は変わらないw
大して難しいことはしていないのでお持ちのSUPERをバージョンアップさせるためにも是非作ってみてください


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c 2016, えくしみえむLast updated 2024/06/22