北岳(きただけ) 3,193m

・日 時  平成30年7月13日(金)〜16日(祝)
13日  碧南 15:40 = ハイウェイ温泉諏訪湖 = 21:20 芦安駐車場(車中泊)
14日  芦安駐車場 8:05 = 広河原 9:05 〜 10:00 休憩(標高1750m付近) 〜
    10:55 休憩(標高1950m付近) 〜 11:20 休憩(標高2030m付近) 11:35 〜
    12:30 白根御池(幕営)
    ≪行動時間 3時間25分≫
15日  6:05 白根御池 〜 6:35 二俣 〜 7:30 休憩(標高2460m付近) 〜
    8:25 休憩(標高2690m付近) 〜 9:05 小太郎尾根 〜 9:40 肩ノ小屋 9:55 〜
    10:45 北岳 11:05 〜 11:45 肩ノ小屋 〜 12:15 休憩(小太郎山分岐) 〜
    12:40 草スベリ分岐 〜 12:50 休憩(標高2550m付近) 〜
    14:05 休憩(二俣) 14:25 〜 15:00 白根御池(幕営)
    ≪登り 4時間40分、下り 3時間55分、行動時間 8時間55分≫
16日  白根御池 7:10 〜 8:00 休憩(第2ベンチ) 〜 8:30 休憩(第1ベンチ) 〜
    9:45 広河原 = 芦安駐車場 = 湧暇李(ゆうかり)の里樹園 = JAこま野在家塚 =
    18:00 碧南
    ≪行動時間 2時間35分≫
≪合計行動時間 14時間55分≫
・山行記録
 海の日の連休は例年北海道行きを狙うわたぼうであるが、 妻が3連休を取れると言うので、北海道を諦めて一緒に幕営山行に行くことにする。 今年は梅雨明けが早く、今週初めから本州では猛暑日が続く代わりに、北海道は悪天が続いているので丁度良い。 特に今週末は梅雨明け後の晴天のピークになりそうで、天気に関しては申し分無さそうだ。
 行先は日本第二の高峰である北岳とし、妻の足を考えて白根御池で幕営2泊という楽々プランにする。 楽々プランということでわたぼうはザックに食料を大量に詰め込み、 テント、2人分の寝具、大樺沢雪渓に備えたアイゼン等を含め、ザックの重量は30kg近くになってしまう。 初日さえ頑張れば良いので、わたぼうは見直すことなく持っていく。
 3連休前日の金曜日は、妻が帰宅次第芦安の駐車場に出発する。
快晴の広河原から大樺沢
北岳(中央奥)をくっきり望む
途中、諏訪湖SAで入浴を済ませて、21時半前には芦安の登山者駐車場に到着する。 今晩は十分な睡眠時間が取れそうでわたぼうは安心する。 未だ駐車スペースは十分な余裕があり、わたぼう達はトイレの近くに車を置き、ビールで前夜祭を祝ってからシュラフに横になる。
 芦安の駐車場は標高が860mなのであるが、 13日夜の甲府の気温は28℃以上もあり、単純計算で24℃以上の蒸し暑さである。 夜中にわたぼうは汗だらけになり、エアコンを付けるために車のエンジンを掛けたりして寝苦しい夜を過ごすことになる。 3連休前だけに真夜中に拘らずどんどん車が到着し、駐車場はあっという間に満車になってしまう。

 初日は白根御池まで標準コースタイム3時間の本当に楽々コースのため、 周囲の人達が早朝出発する中、わたぼう達は5時半まで惰眠を貪る。 ゆっくりと朝飯を食べて7時に車を後にし、乗合タクシーの発着場に行く。 タクシーを待つ人は少なく、どうも前便が発車してしまったばかりの様である。わたぼう達は1時間も待ちぼうけを喰らうことになる。
テントの花咲く白根御池
わたぼうのテントは中央辺り
 8時過ぎになって漸く乗合タクシーに乗ることができ、広河原まで更に1時間近く乗車する。 ただ、これでも想定の範囲内で、9時過ぎの歩きだしでも13時頃には白根御池には着けるだろう。 わたぼうは超重荷を背負い、先ずは野呂川に架かる吊橋を渡る。 予報どおり広河原には真っ青な快晴の空が広がり、北岳が鮮やかに眺められる。
 梅雨明け前の大雨で大樺沢コースは閉鎖されており、今回も白根御池コースを行く。 重荷の歩行でわたぼうはあっという間に汗まみれになり、冷たい沢水をがぶ飲みする。 大樺沢コース分岐から本格的な登りが始まり、何時ものように抜かされまくられながらゆっくりと登る。 最初の休憩では未だ余裕があるが、次第に急登になって重荷が堪えて来る。
 白根御池コースは初めてではないが、梯子段を交えた急登のことは全く記憶がない。 それだけにわたぼうの精神的ダメージは大きく、次第に脚が上がらなくなる。 疲れ果てて2回目の休憩を取り、空腹に耐えかねてすぐさま3回目の休憩になる。
二俣から大樺沢、手前が右俣雪渓
奥が左俣雪渓で痩せている
最大の急登を過ぎると漸くトラバース道になり、先の見通しが付くようになるが、わたぼうの肩は限界近しだ。
 わたぼう達はやっとの思いで白根御池に到着する。未だ12時半であるが今日はもう歩けない…。 小屋の周囲や池の畔の幕営適地は既にテントがぎっしりで、わたぼう達は池の畔の2列目にテントを設営する。 取り敢えずはビールを購入し、長い午後をだらだらと過ごす。 日の当たる日中は暑くてテント内で過ごすことが出来ず、外の草地で昼寝である。
 16時頃から摘みにズッキーニと肉缶の炒め物を作り、ビールを飲む。 晩飯にはジャガイモ、人参、玉葱と肉缶の炒め物を作って食べるが、量が多過ぎて食べきれずに翌朝に持ち越しになる。 どおりで荷物が重い訳だ…。お腹が一杯になると疲れと前夜の寝不足から急激に眠くなり、19時には横になる。 日が暮れても暖かく、シュラフは掛布団である。

 流石に明け方は涼しくてわたぼうはシュラフに潜り直す。 それからも二度寝でぐっすり眠り、早く寝た割には目が覚めずに、周囲の物音で4時半に起き出す。
右俣左岸の草付きを登る
左奥は北岳バットレス
朝飯を食べていると出発が6時過ぎになってしまう。今日はテントをそのままに北岳を往復するだけだ。 わたぼう達は混雑する草スベリコースを避けて、人影が疎らな二俣へのコースに向かう。
 わたぼうはできれば八本歯ノコルから北岳に登頂し、草スベリを下山する周遊コースに行きたい。 八本歯ノコルの上部にはキタダケソウの群生地があるので、もう一度会いたいと思ったのだ。 樹林帯のトラバース道を進むと突如として目の前が開け、大樺沢雪渓の全景が広がる。 ただ、今年は猛暑で早くも雪渓は痩せ、シュルンドが大きく口を開いている。
 わたぼうは二股で少し躊躇うも、ここは安全を期して右俣コースから登ることにする。 右俣コースは右俣左岸の草付きを先ずは登る。 右俣の雪渓から涼風が多少は流れて来るが、如何せん陽射しが強烈過ぎてわたぼうは殆ど使った験しが無い帽子を冠る。 バットレスの荘観を眺めながら行くと、途中から右手斜面の灌木帯を九十九折れに登るようになる。
 右俣コースは急な登りが少なく、非常に歩き易いコースである。
稜線直下のお花畑を行く
シナノキンバイ、ハクサンイチゲが花盛り
妻も何時もより好調で、足が遅い高年の団体やペアを追い抜いて行く。 標高2250m付近の開けた緩斜面を過ぎると右手へトラバース気味に登って行き、標高2700m付近からはいよいよ森林限界になる。 わたぼう達は森林限界になる直前の日陰で休憩し、菓子パンとポカリで栄養補給する。
 標高2750mで草スベリコースに合流すると俄然人が多くなる。 シナノキンバイ、ハクサンイチゲなどのお花畑を縫って登れば小太郎尾根に登り着く。 甲斐駒、仙丈などの景観が開け、一気にアルペンムードが高まる所だ。振り返れば富士山も頭を雲の上に出している。 空は快晴のまま今のところ雲が湧く気配はなく、どうか北岳山頂まで持ってくれ…。
 稜線になると妻が苦手の岩場がしばしば現れ、やや苦戦するようになる。 足元を飾るイブキジャコウソウ、チシマギキョウ、チングルマなどに励まされて登れば肩ノ小屋に到着で、 ザックを降ろして大休止にする。小屋前のベンチは小屋のラーメンを食べる人などで賑わっている。 新築の有料トイレが出来ており、拝借してから最後の登りに取り掛かる。
漸く北岳山頂が姿を現す
左奥に富士山の姿が見える
 肩ノ小屋から岩場が多くなり、めっきりと妻のペースが落ちる。 それでもミヤマオダマキやチョウノスケソウなどが咲いておりわたぼうは退屈しない。 白根御池でわたぼう達の隣にテントを張っていた親子連れと山頂直下ですれ違い、11時前には山頂に立つことができる。 流石に東側は雲が湧いてしまったが、それ以外は最高の展望が広がっている。
 わたぼう達は暫し展望を満喫してから下りに取り掛かる。 岩場の下りが苦手な妻の足では抜かされまくりであるが、登りよりは多少ましである。 肩ノ小屋は通り過ぎ、小太郎山分岐まで一気に降りて来る。小休止した後、帰りも混雑を避けて右俣コースを下山することにする。 人影は矢張り疎らであるが、偶に登って来る人達は皆相当に疲れている様子だ。
 往きも休憩した森林限界下の日陰で休憩してからは、頑張って二俣まで一気に下る。 後半は妻の足取りが相当に怪しくなって来ているのが判る。 最後の休憩として二股の上部で沢の畔に降り立ち、雪渓の冷気を浴びながら氷のように冷たい沢水で顔を洗う。
北岳山頂は大展望
甲斐駒ガ岳(右)と仙丈ガ岳(左)
あ〜気持ち良か…。わたぼう達はコンビーフサンドイッチを頬張りながら長々と休憩に勤しむ。
 最後のトラバース道は登り気味になって、疲れたわたぼう達にダメージを与えるが、15時丁度には白根御池の幕営地に戻って来る。 隣の親子連れのテントは撤収され、既に下山してしまっている。 昨夜100張り以上あったとテントは半減し、落ち着いたムードになっている。 わたぼう達は登頂成功のお祝いに小屋の売店の生ビールで乾杯する。
 昨日より雲が多くなり、テントの中で過ごしていても暑くないので助かる。雷鳴が鳴り響いているが、こちらに来る様子は無さそうだ。 わたぼうは晩飯にパスタを茹でるが、パスタソースの外袋を捨てて来たため、 ソースの組み合わせがいい加減になって妻のひんしゅくを買ってしまう。 周囲が未だ賑やかな中、今日1日の疲れから19時には眠ってしまう。

 今朝もぐっすり、5時近くまで眠ってしまう。今日は広河原まで下山するだけなので、ゆっくりと朝飯を食べ、撤収準備を始める。 テント類は日光で十分に乾かしてから収納する。
テントが半分以下になった
白根御池の幕営地
事前のいい加減な準備もあって食糧が随分と余っており、そこそこにザックの重量はある。 多くの下山者に前後してわたぼう達も下山を始め、先ずはトラバース道を進んで行く。
 第1ベンチまで急坂ながらまずますのペースを保っていた妻であったが、第1ベンチの先は緩斜面にもかかわらずパッタリと脚が止まる。 最後は緩々のペースになって何とか広河原に到着する。 帰りも乗合タクシーに乗車で、今回は直ぐに乗ることができる。 寝不足の訳ではないが、居眠りしている間に芦安の駐車場に着き、無事に愛車に戻って来る。
 混雑を警戒して温泉は少し離れた湧暇李(ゆうかり)の里樹園に行き、食事も済ます。 白根インター横のJAこま野在家塚の農産物直売所に立ち寄って、野菜とワイン、そして大量の桃を購入して帰路に就く。 疲労から身体が甘いものを欲しがり、PAで舐めたソフトクリームが何とも美味い。 時間が早いので、3連休最終日でも概ね順調に自宅に帰る。