焼山 2,400m、 妙高山 2,446m、火打山 2,462m |
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・日 時 平成20年7月11日(金)〜13日(日)
11日 碧南 13:20 = ランドマーク妙高高原 = 19:20 燕温泉12日 燕温泉 5:10 〜(道間違え15分ロス)〜 6:00 麻平分岐 〜 6:25 休憩(水場) 〜 7:45 黄金清水 〜 8:05 大倉池分岐 〜 8:50 長助池 9:10 〜 9:35 長助池分岐 〜 10:25 妙高山 10:45 〜 11:20 長助池分岐 〜 12:30 黒沢池 12:45 〜 13:00 休憩(水場) 〜 13:50 高谷池 ≪行動時間 8時間40分≫ 13日 高谷池 4:05 〜 5:15 火打山 〜 6:40 胴抜切戸 〜 7:45 焼山 8:10 〜 10:45 火打山 〜 11:55 高谷池 13:10 〜 13:55 黒沢池 〜 14:55 大倉池分岐 〜 15:05 黄金清水 15:20 〜 16:10 休憩(水場) 〜 16:55 燕温泉 17:15 = ランドマーク妙高高原 = 23:30 碧南 ≪行動時間 12時間50分≫ ≪合計行動時間 21時間30分≫
・山行記録
今年は7月上旬で早くも梅雨明け近しの雰囲気であるが、 わたぼうの願いも虚しく上空の寒気が次々と南下して雷雨が続く不安定な空模様になっている。 そんな中、今度の週末の土日だけはそこそこの天気が期待できそうで、 わたぼうは2泊3日プランを諦め、1泊2日の強行軍日程に組み変えて、金曜日の午後に燕温泉まで車を走らせる。 長野まで快晴の道程も、妙高インターに着いた途端に激しい雷雨の洗礼を受ける。 燕温泉に向かう山道では視界数メートルの深い霧に包まれ、山行の先行きの不透明さを暗示しているようだ。 わたぼうは燕温泉入口にある駐車場に車を停め、車中泊する。夜中に目覚めると雨は止み、星空が垣間見えている。 天気の回復にわたぼうは安堵してまた眠る…。
登山道の入口は惣滝遊歩道との分岐になっているが、遊歩道は崩壊のため通行止めである。 小沢の中の登山道を進むと、直ぐに沢を直進するコースと左岸の台地上に進む踏み跡との分岐になる。 どちらを通っても再び一緒になるに違いない…と、わたぼうは勝手に考え、 滑りやすい沢を避けて左岸台地の踏み跡へ進んで行く。 草が覆い被さった踏み跡は崩壊地を登っていく。わたぼうはコースが正しいか自信が持てないまま登って行ってしまう。 10分ほど登るとコンクリート舗装された遊歩道のような道に出る…??。 それでも進むと、正面遠く立派な滝がわたぼうの目に飛び込んでくる。 あぁ…大失敗!惣滝遊歩道の迂回路だった!!。初っ端からの15分のロスにわたぼうはかなりの精神的ダメージを受ける…。
登山道は荒れた雰囲気の大倉谷の河原に下る。目印を追いながら進んでいると、ツルッ!ドシン!!…。 わたぼうは濡れた河原の石に滑って思いっきりコケ、重荷に引きずられて岩の上から落ちそうになる。 大変な事態にわたぼうは渾身の力を込めて荷物を引き揚げ、危機を脱する。 でも、右腕とお尻をしこたま打ちつけて肉体的ダメージを受けてしまう。 転倒に懲りて慎重に歩いていくと、今度は巨大な雪のブロックが現れる。 流石に豪雪地帯だけあって標高1400mにも満たない場所に残雪がある。 雪のせいでコースが良く判らずにキョロキョロしていると、な…何と、雪のブロックを越えた対岸に道を発見する。 えぇ…!こんな危険な場所で徒渉するの…??。
わたぼうは困り果て、徒渉場所を探しに危険ではあるがスノーブリッジの下に潜ってみる。 1箇所だけ手前の岩の方が高く、対岸が砂利浜になっていて、 思い切りジャンプすれば多少は水没しても渡れそうな場所を発見する。 わたぼうは手前の岩に足を掛けるが、やはり濡れているために踏み切りとしては非常に不安定だ。 えい!ままよ…と踏み切れば、濡れることもなく何とか無事に大難関を越えることができる。 大倉谷を渡ってしまったものの、帰りに同じ場所で飛び越えるのは不可能である。 帰りの適当な徒渉場所も見当たらず、わたぼうは大きな課題を抱えたまま左岸の急登を登っていく。 歩いていても帰りの徒渉のことが頭から離れず、 1泊2日の行程に変更したとき登山口を笹ガ峰に変えなかったことを大いに悔いるようになる。 わたぼうの精神的ダメージは相当なもので、登りの調子もさっぱりになる。
長助池が近くなると、しばしば残雪が登山道を覆い、 雪融けの林床にはシラネアオイ、サンカヨウ、エンレイソウといった花々が咲くようになる。 突然視界が開ければ長助池に到着で、風に揺れる一面のワタスゲを眺めながら辺のベンチで大休止となる。 ワタスゲの他にもハクサンコザクラ、イワイチョウ等が咲き、余りの雰囲気の良さにわたぼうのダメージは少しずつ回復する。 長助池に着いた頃から乾いた強風が吹きつけるようになり、同時に雲の隙間から陽射しが戻って来る。 多分、天気の変わり目の移流現象だろう。 わたぼうは一気に青空が広がるだろうと期待するが、雲と陽射しのせめぎ合いは一進一退で簡単には晴れないようだ。 吹き付ける風に寒さを覚え、わたぼうは休憩を切り上げて長助池を後にする。
わたぼうは天気回復に期待し、分岐にザックをデポして空身で妙高山を往復することにする。 登り始めは雪渓になっているが、雪面がスプーンカットになっていて、アイゼンなしでも登ることができる。 急坂を頑張って登ると、まずは三角点峰に登り着き、少し進むと最高点峰に達する。 雲が完全には取れずに展望が悪いものの、テガタチドリ等が咲く明るい山頂にわたぼうは満足して引き返す。 妙高山の往復で1時間の遅れを取り戻し、わたぼうは再び重荷を背負って黒沢池へ向かう。 途中雪渓があるものの、大勢の人に踏まれて確りとステップが出来、ここもアイゼンは不要である。 振り返れば、雲ひとつない空に妙高山が聳え立っている。わたぼうが下山した直後に劇的に晴れ渡ったようだ。残念…。
14時前に着いたのに、高谷池の幕営場はもう混雑している。 テント場の下半分は未だ残雪に埋もれ、上半分の乾いた場所には空きがない。 雪の上に張るしかないのか…わたぼうが諦めかけていると、親切な夫婦がテントを詰めて設営場所を空けてくれる。 本当に大感謝です…。 テントを張ったものの日光に照らされ暑くて中に入れない。 わたぼうはハクサンコザクラ咲く高谷池のベンチでゴロゴロして過ごすが、やはり陽射しが強くてジリジリ焼ける。 高谷池は水が豊富なので(ただし、生水飲用禁止)、16時過ぎにカレーライスを作って食べる。 18時には涼しくなったテントに入り、19時には眠りに就く。 夜中に用足しに起きると凄い星空である(でも、トイレが遠くてめっちゃ不便!)。
無人の火打山山頂に登り着くと、初めて目的の焼山が現れる。 嫌な感じで笠雲が懸かり、まるでねずみ色の帽子を被っているようだ。 まだ果てしなく遠くに見える山頂に、今日中に下山できるのかわたぼうは不安になる。 火打山山頂から先は長らく登山禁止になっていた領域で、登山道も荒れ気味のようだ。 わたぼうは気を引き締めて火打山を下っていく。 影火打までは、ハイマツの切開きやお花畑の中に意外と良い道が刻まれている。 人が余り入らないだけにコバイケイソウ、ハクサンチドリ、ミヤマキンポウゲ、ヨツバシオガマなどが咲き乱れる素晴らしいお花畑である。 一人ぼっちのわたぼうは、お花畑に囲まれては意気高揚したり、 稜線北側から吹き上げる強風に晒されては意気消沈したりして影火打を越えて行く。
わたぼうは青年に道を譲り、後に付いて薮を掻き分けていく。先行者ができたことで体力的にも精神的にも随分楽になる。 青年の他にも痩せ尾根の先に3人パーティが下っているのが見える。 青年のスピードに食い下がって付いていくと、間もなく幕営荷物の3人組に追い付く。 彼らは焼山を越えて杉野沢橋に下山するそうである。 胴抜キレットの最低鞍部を越えた草原で青年と一緒に一息入れてから、焼山の急登に取り付く。 登りになると流石に青年のスピードに付いていけず、わたぼうはマイペースの登りになる。 沢状のぬかるんだ道を登ると、そこそこ傾斜がある雪渓に出会う。 アイゼンを持っていない青年は木の枝に掴まって強引に登って行ってしまうが、 わたぼうは折角持ってきたアイゼンを使うことにする。
雪渓を縦断して登ると踏み跡は小尾根の上に出て、もう雪渓の心配はなさそうである。 わたぼうはアイゼンを外し、その間に再び青年が先行する。 道は相変らずの急登であるが、草付きの斜面を過ぎ、火山性の瓦礫斜面になれば頂上も近い。 最後の頑張りで火口の縁に飛び出せば、待望の頂上が待っている。高谷池から3時間40分、思った以上に遠かった…。 一緒に登った青年は地元長野市出身で、焼山には運動靴でトレイルランニングに来たという。 今朝は4時半に出てきたというから、わたぼうより30分も早く焼山に着いている。 今年はハセツネカップに挑戦するという羨ましい健脚者である。 わたぼうと同じく、昨夜は高谷池で幕営して今日中に燕温泉に下山するそうだ。
ネットの記録では噴気の音が物凄いとあったが、噴気の音はまったく聞こえず、煙も僅かに立ち昇っているだけである。 焼山の火山活動が沈静化しているのだろうか?。 道の整備も進んでいるのか西側の裏金山の稜線には刈り払いされた立派な道が見えている。 もしかすると金山に抜ける縦走路が整備されているのだろうか?…(未確認です。)。 本当に長居したい山頂ではあるが、帰りは往きより大変な薮道の登りである。 わたぼうは健脚青年に先に立ってもらい、後に付いて下山を始める。 ぬかるんで手こずった道も夏の陽射しで随分と乾き、歩き易くなっている。 アイゼンを脱いでいる3人パーティとすれ違うと、問題の雪渓であるが、 帰りは薮にしがみついて何とかノーアイゼンで下ってしまう。
影火打の肩のピークまで登れば薮漕ぎも一段落で、もうひと頑張りで火打山山頂に戻って来る。 今までの静寂が信じられないほどの大勢の人が休憩している。 小休止の後、わたぼうたちは焼山に別れを告げて高谷池まで戻る。 帰りも3時間45分掛かり、往復で7時間50分という長丁場の道程であった。 青年と燕温泉まで一緒に下山することにし、一旦別れて各自のテントを撤収する。 昼飯とテント撤収を済ませた後、青年とわたぼうは各々重荷を背負って燕温泉へ下山を始める。 今日はまだ4時間も歩かなければならないが、わたぼうは意外と元気が残っている。 今度はわたぼうが先頭に立って歩いていく。 陽射しのきつさは相変らずで、水場がある度に冷たい水をたらふくと頬張り身体を冷ます。
次第に大問題の大倉谷の渡渉が近付き、わたぼうは緊張する。 昨日と今日の晴天で谷の水かさが減っていることを祈るばかりである。 …果たして大倉谷に着いてみれば、暖かい陽気で雪融けが進んだのか往路に増して激流が渦巻いている。 青年も渡渉点の酷い有様を見て驚いている(彼は往路では重荷を背負って妙高山を越えている!)。 既に何人もがここを徒渉しているはずなのだが…。わたぼうはスノーブリッジの上を渡っている足跡が沢山あることに気付く。 えぇ!!、今にも崩れそうなスノーブリッジを皆渡ってるんだ!。わたぼうたちの荷物は重く、一人当たり体重80kg以上だろう。 前の人が渡れたかといって無事に済む保障はない。かといって、一気に流されてしまいかねない激流を渡る気にもなれない…。
もう難関は残っていない。往きでも休憩した水場で小休止してから一気に燕温泉まで下山する。 焼山往復にしろ、大倉谷の徒渉にしろ、一緒に行動できたお蔭で楽しく安心して歩くことができ、長野の青年には大感謝である。 わたぼう1人だったらまだ下山できていないだろう。名残惜しいけれもども燕温泉で解散とする。 朝4時に歩き出して13時間近くも行動しているが、わたぼうは未だ愛知県まで帰らなければならない。 ただ、天気と連れに恵まれた会心の山行にわたぼうは高揚気味で眠くはならない。 ランドマーク妙高高原でしっかりと汗を流してから高速をひた走り、その日のうちに無事に我が家へ戻る。 |