行き止まりの吊橋


茨城県の北部、久慈郡水府村。
人口7000人弱の山間のこの村に日本一の橋がある。

何が日本一か?
長さが375mで歩道橋としては日本一だという。

それは竜神大吊橋


この橋はダム湖をまたぐように架けられた、橋脚間375m、巾3mの鉄製吊橋だ。
お値段も30数億円というから、これも歩道橋日本一だろうか。
湖面からの高さは100mもあり、周辺の景観を臨むのに絶好の位置にある。

ただこの大吊橋、変わったことに、行き先がない!
渡った先はなんと行き止まりなのだ。
この施設、なまじ「橋」という構造物であるが故に、
竣工(1994)以来、そのことがあれこれと批判のネタにもされるようだ。

つまり、
>橋なのに行き止まりでは、一体何の意味があるのか?
>こんなムダなものに巨費を投じるなんて、どう言う了見だ
>これぞ公共事業費、税金の無駄遣いの典型ではないか
等々。

この橋の総工費は33億とも37億とも言われるが、
県の「ふるさと創生資金」1億円以外は、ほとんど村が出資したと聞く。
それにしても人口7000人弱の村で30数億の出費を決断するには、
相当な覚悟があったことだろうと思う。


さて本題。
この橋の真の狙いは何なのだろうか。

察するに、この歩道橋は村興しのための純粋な「観光施設」なのだろう。
「橋」と思えば意味がないとか、無駄遣いだとかの批判も出るが、
人寄せの観光施設(吊橋型展望台)と考えれば納得もいく。
年間30万人の観光客がここを訪れ、渡橋料\310のみならず、
周辺の土産屋、蕎麦屋などに金を落していくのだ。

5月は700匹の鯉幟の谷渡りとか、電子カリヨン(鐘)の前での結婚式とか、
村はイベントの創出にも余念がない。
年々進む過疎化対抗策としては相応の効果があるはずだ。

秋の紅葉の季節にはまた一段と見応えがあるのだろう。
お近くの人は一度ここを訪れてみてはいかが。

19-Aug-2001


水府村は2004年12月1日を以って常陸太田市と合併したそうです。
竜神大橋の旧ページはこちら

2004.12.28


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