2005-8 FrontPage


≪明治航空基地≫


東                      南

北                        西


我が棲息地愛知県安城市の南部、
一面田畑の広がる地域の一角にこの明治航空基地記念碑がある。
60年前の一時期、ここに海軍の零戦基地があったことを記念するものだ。

「明治」の名は当時の地名「明治村」に由来するもので、
現在の安城市東端町、根崎町、和泉町にまたがる200ヘクタールの平地だ。
当時急遽農地が国に接收され、昭和18年(1943)4月から突貫工事で建設が進められた。
そして翌年5月には半完成のまま使用開始されたという。

その年9月には第210海軍航空隊がここで開隊し、主に練成教育を任務とした。
分りやすく言えば「特攻兵の訓練育成機関」だった。
翌昭和20年(1945)8月の終戦まで、短命の施設だったが、
数多くの特攻兵を戦地に送り出したという。


現在はすでに滑走路など何の面影もなく、きれいに田畑に戻っている。
しかしその周辺にはわずかながら航空基地のあったことを示す遺構があちこちに残っているのだ。


燃料庫

格納庫基礎

弾薬庫

終戦後60年を経てなお、ひっそり残る古い傷跡に触れた一日だった。

・・・・

<参考文献>
「明治基地と海軍航空隊」鈴木丹(1995)
「戦争のなかに生きる」安城市歴史博物館(2004)

2005.8


零戦210-118号機