P-MODEL


IN A MODEL ROOM (WARNER/WQCL-173/CD)

まさかこんなモンが1979年に存在してたなんて誰が想像できようか?
周りのショボさを売りにしたテクノポップバンドと違い圧倒的な演奏力とセンスで最もパンク世代にアピールしたファーストがこれ。
ジャケットから既に心奪われてしまってる訳なんですが、1曲目の「美術館で会った人だろ」を聴いた瞬間に
このアルバムが名盤である事に気付くのにさほど時間はかからないはず。 そして続く2曲目「ヘルス・エンジェル」と、
間接的で攻撃的な歌詞とスピード感が絶妙なバランスをキープしつつ、一気に11曲聴かせてくれます。
とにかく衝撃的。 ピコピコ音に寛容な方であれば必聴。 これを「知ってる」のと「知らない」のとでは大違い。
多分それくらい「パンクに対する価値観の違いは出てくる」と言える重要な一枚。 これ聴いて4ヶ月しか経ってませんが(笑)。


美術館で会った人だろ (WARNER/K-17W/7'EP)

まさかこんなモンが1979年に存在してたなんて誰が想像できようか?…って、もう1回くらい言ったってバレねぇだろ。
それほどまでに深すぎる思い入れを表さずにはいられなくなるほどの曲って今までにそんなにはないぞ?
「出会ってよかった」と素直に思える1曲。 これがただのシングルカットだとしても。 
イントロのシンセ音だけで簡単にブッ飛べる。 それに続く全パートが常軌を逸してる。 80年代というのを抜きにしても。
ここを足がかりにその姿かたちを変え続けるP-MODELのスタート地点。 やはり平沢進は狂ってる。

KAMEARI POP (WARNER/K-23W/7'EP)

まさかこんなモンが1979年に存在してた…もうさすがにクドイと言われそうですが、「KAMEARI POP」と「ヘルスエンジェル」を
持ってこられちゃ言わずにゃいられねーよ! 「PTAのおじちゃんに ぼくのママは寝とられた」なんて歌詞、全然POPじゃねーし(笑)。
その歌詞の独創性は初期だけでなく平沢進の全活動に渡って見られるものですが、やはり初期のササクレ立った、
且つナナメから見下ろした視線は彼独自の路線ですね。 普通の生活しててあんな歌詞産み出せれる訳ねーもん!
当時のテクノポップブームに活躍してたバンドと比べると、彼らが特別な存在だったという事に気づかされるのは必至。


LANDSALE (WARNER/WQCL-174/CD)

前作より1年と待たずにリリースされたセカンドアルバム。 
更にヒネった歌詞と、音の引き出しの数も大幅に増やして前作に比べてより「パンク的」なこのアルバム。
確かに衝撃度はファーストの方が高いけれども、パンクレコードとしての名曲度はこちらの方が高いのでは?
後にリリースされる擬似ライブ盤(virtual live-2)での勢いはマジでトリハダもん! 特に最初の3曲は恐怖さえ覚える…。
このアルバムを最後に脱退する秋山勝彦も病的テクノポップの名曲「タッチ・ミー」ではボーカルをとっててカッコいいのですが、
92年の解凍時のライブを見るとナルシストの気持ち悪いオッサンになってて少し凹みます。


POTPOURRI (WARNER/WQCL-175/CD)

「脱・テクノポップ宣言」をしたか否かは定かではないですが、一気にダークでディープな方向に転換した3枚目。
およそ「テクノ」「パンク」というイメージからすっかり脱却し、プログレだった頃に先祖返りした様だけれども、
ヒネクレまくった、且つカッコいい曲の多さではディスコグラフィー中では最多を誇り、自分の中ではかなり好きな一枚。 
歌詞の内容は抽象的でほぼ理解不能。 アルバム中最もパンクな「いまわし電話」での平沢のボーカルは
ちょっぴり遠藤ミチロウに似てて「テクノなスターリン」を疑似体験する事も出来ます。 ジャケも陰鬱で素晴らしいのですが、
こんなアルバムを自分の彼女、彼氏が好んで聴いてたら絶対嫌ですけどね(笑)。

PERSPECTIVE (TOKUMA JAPAN/27WXD-119/CD)

レコード会社と決別し(あいそをつかれ?)、前作を更に昇華した4枚目のアルバム。
…なんですが、ゴメンなさい!! 俺はここまでは着いてこれねー(笑) そこまで守備範囲広くないし、もう難攻不落。
シュールの完全体と化したP-MODELに入り込む隙は俺には無いッス…。
全く意味を持たない歌詞(あるのかも知れないけど)、その歌詞と曲名が全然つながらない!!
もうすげーわ、平沢進。 普通の感覚じゃ追い着けない世界に旅立ってしまってます。 天才の域。 (本当の)マニア向け。

PERSPECTIVE U (TOKUMA JAPAN/TKCA-30335/CD)

ジャケはまるっきり同じですが、ミックス違い、2曲追加のカセット版としてリリースされたものの再発CD。
「Heaven」のイントロ部分が微妙に違うと感じただけで後はどう変わってるのかさっぱりわかりません…。
追加曲「Mercator」「Blumcale」に関しても俺がどうこう言える範疇ではないです。 お、恐ろしい…。


ANOTHER GAME (TOKUMA JAPAN/28JAL-2/LP)

「楽な姿勢で座り、目を閉じてください」と、自己啓発のテープのような語りで幕を開ける84年発表の5枚目のアルバム。
曲としての様相を成していなかった前作と違い、未だシュールながらも今回はしっかり形づくられてます。
解凍後にも演奏されてる「フ・ル・ヘッ・ヘッ・ヘ」や「ATOM-SIBERIA」などが顔を出すが、やはり全編に渡ってダーク。 
ピンクフロイドのカバーが唯一楽観的に聴こえるほど(笑)。 このアルバムでダーク路線は底を打つ事に。


SCUBA (CAPTAIN/CAP-1013/CD)

84年にカセットブックというフォーマットでリリースされた作品で、バンドブーム世代にはお馴染みのキャプテンレコードより
CD化された、ある意味平沢進のソロ的アルバム。 「ANOTHER GAME」と同じ時期だというのにここまでポップな楽曲を
どうやって産み出したのか、「平沢進」という人間の人格さえ疑問に思ってしまいますが、とにかく名曲揃いの名盤であり珍盤。
平沢のソロでも聴ける「FROZEN BEACH」、そして「コヨーテ」の基盤ともなった「BOAT」、キテレツテクノポップの「七節男」、
セカンドアルバムのオープニング「オハヨウ」のニューバージョン、美しいメロディが印象的な「FISH SONG」と、
ダーク路線とは打って変わって歌心に溢れた会心の一枚。 正規のアルバムではないにしろ重要作である事に違いなし。

KARKADOR (ALFA/ALCA-258/CD)

ジャケからも想像できるようにアーティスティックな印象を受ける6枚目のアルバム。
より技巧派な音造りと、相変わらず意味不明な夢世界を現した歌詞とが混在するスピリチュアルテクノポップの決定盤。
世界観がかなりイッちゃってるせいか、俺がブックオフで発見した際にはイージーリスニングのコーナーにありました(笑)。
凍結前P-MODELの大名曲「CYBORG」「LEAK」が収録されてるのと、バイオリンもこなすベーシスト横川理彦作曲の「OAR」も
異質ながらもその存在を知らしめてきます。 寝起きや徹夜明けのボーっとした時に聴くと最もハマる事うけあい。


ONE PATTERN (ALFA/ALCA-9135/CD)

幻のアルバム「モンスター」は結局日の目を見ずにこれが凍結前のラストアルバムとなった86年発表の7枚目のアルバム。
1曲目の「OH MAMA!」や7曲目「おやすみDOG」、続く「ANOTHER DAY」、今回から参加した中野テルヲによる「LICORICE LEAF」など
この時期のP-MODELの作品中で一番ロック度が高いアルバム。 ただしそれ以外は曲とタイトルとが一致しないほど
印象度に欠けるものがチラホラ。 しかしながら上にも書いた名曲と「ZEBRA」が入ってるだけでもヘビロテになる価値を持つ一枚。


三界の人体地図 (TESLAKITE/CHTE-0032/DVD)

88年4月に芝浦で行われたライブを収録し、同年ビデオとしてリリースした作品が2005年にDVDとして再発。
この年の末に活動停止する事になるんだけれども、メンバーの布陣や演奏から見ても黄金期としか思えないほどのテンションの高さ。
同じ曲でも「原曲を忠実に演奏する」ではなく、圧倒的にライブアレンジの方がカッコいい仕上がりになってて
「何故にこのメンバーで音源を残さなかったのか?」と、にわかファンでも疑問に思います。 
ロンバケで知った中野テルヲのベース姿も、出戻り初代メンバーの田井中貞利も、目つきが悪いキーボーディストのことぶき光も
メチャメチャカッコいいけど、やはり平沢進(当時34歳)の今じゃ想像できない暴れっぷりが堪能できるものであると同時に、
幻の「モンスター」収録曲を聴ける貴重なものとして、これからは家宝以上の扱いをしていく所存であります。

GOLDEN BEST (UNIVERSAL/UPCY-6022/CD)

92年の解凍と同時にリリースされた8枚目のアルバム「P-MODEL」と、翌年の9枚目「BIG BODY」をカップリングし、
2004年にベスト盤としてリリース。 俺がリアルタイムで聴いたのはこの頃で、一聴して思ったのは「壮大な電子ロック」って感じ。
戸川純を普通に聴いていたせいで平沢進に関して少しはカジっていたんだけれども、ここまでのめり込む事になろうとは…。
生演奏という言葉からは程遠くなってしまった感のある電子音の洪水と、ソロで培った人間臭さを併せ持った
独特の世界観を表現してます。 まさに「人類とコンピューターの融合」って言葉がピッタリ。 
ラストにはシークレットで、あの名曲「美術館で会った人だろ」の手法を使った「NO ROOM」を収録。 

BITMAP 1979-1992 (POLYDOR/POVH-1027/VIDEO)

92年の解凍時のライブ映像と、過去13年の歴史を振り返る資料的映像集。
気持ちの悪い秋山勝彦はココで見られます(笑)。 「美術館で会った人だろ」「ダイジョブ」ではカッコいいのにな〜。
さて、92年のライブ以外はダイジェストで進む内容で少し物足りない気もしますが、1年ごとにものすごいスピードで
変化してくバンドの様子が手に取るように見れるのと、初心者にもわかりやすく解説したライナーがホントに素晴らしい!!
そのライナーを読みながら映像と照らし合わせていくと、あたかもP-MODELについて知った風な口を利きたくなります(笑)。
でも個人的にはライブでのヘッドセットマイクはあまり好きではないな…。 どうも目線に困ってる様で見てられない(笑)。

LIVEの方法 (DIW SYUN/SYUN-003/CD)

その後のP-MODELについてはまだ勉強中という事でひとまず置いといて、これは94年にリリースのセルフカバー集。
過去の楽曲を現在のライブアレンジ用に書き変えて新たに録音しなおしたベスト盤。 俺的には相当好きなアルバムです。
サードの「POTPOURRI」からラストの「ONE PATTERN」までの10曲(どれもが代表曲!!)をセレクトし、
当時ではまだ薄っぺらい印象でしかなかった曲をリアレンジ、実際のライブでの音声をサンプリングしたものをミックスし、
あの名曲の密度がメッチャ濃くなって帰ってきて過去を知るものにとっては嬉しい悲鳴。 歌も上手くなってるし。

ASHURA CLOCK (TESLAKITE/MAGL-5001/CD)

95年の「改訂」の2年後にリリースされたシングル。 これと「LAYER GREEN」を合わせた後に「電子悲劇/^ENOLA」に
続く訳ですが、もうここまで来ると俺の低い感性ではついていけなくなってます…。
「荒々しさ」とは無縁の存在になってしまってるのが理由ではなくて、「美しい楽曲と呼ぶには少し弱い」という点で。
これならば、ことぶき光がいた「解凍」時代の方が俺的には好きな曲が多い。 テクノポップ志向だから仕方が無いけど。 

LAYER GREEN (TESLAKITE/MAGL-5001/CD)


電子悲劇/~ENOLA (TESLAKITE/MAGL-5001/CD)


音楽産業廃棄物 (TESLAKITE/MAGL-5002/CD)


VIRTUAL LIVE-1 [P-MODEL Live at Roppongi S-KEN Studio 1979] (TESLAKITE/MAGL-5001/CD)

これはねーイマイチ正体がよくわからんのですよ。 「ヴァーチャルライブ」という事は「仮想ライブ」って事でしょ?
「音楽用ソフトを使って仮想ライブ空間を作り出した」って言ってんだけど、どう聴いてもホントのライブ音源にしか聴こえない…。
たしかに観客の声はウソだってわかるんだけど実際の演奏なんてホンモノじゃねーのか!? だとしたらすごいテクノロジーだ(笑)。
まーその辺は抜きにしても「IN A MODEL ROOM」から選曲されたセットリストで構成されるライブはまさに感動。
「KAMEARI POP」も歌詞が違うし、曲間でのMCも悪態ついてるしで初期P-MODELはマジでパンクですよ。 

VIRTUAL LIVE-2 [P-MODEL Live at SHIBUYA Nylon 100% 1980] (TESLAKITE/MAGL-5003/CD)

で、こちらは「LANDSALE」からの選曲のもの。 原曲に比べたら2割増しでテンポアップしてるし、
ライブでのテンションの高さは「LIVE-1」よりもこちらの方が高い。 「タッチ・ミー」が入ってないのは残念だけれども。
「LANDSALE」のとこでも触れたけど、最初の3曲「ダイジョブ」「ラヴストーリー」「ミサイル」の勢いはホント〜に凄まじい!!
更に加えると「ワンウェイラブ」「リトルボーイ」ではコブシ突き上げますよ、テクノポップなのに(笑)。
このシリーズは「LIVE-3」まであるんですが、ご察しの通りダーク路線に入った「LIVE-3」はあまり食指が動かないという理由で
まだ入手しておりません。 シリーズ共通して平沢進自身による全曲解説が涙を誘うほど素晴らしい文章力。 

VIRTUAL LIVE-3 [P-MODEL Live at kyodai seibu kodo 1982] (TESLAKITE/MAGL-5004/CD)




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