「クリスマスの猫」
ロバート・ウェストール/著 坂崎麻子/訳
ジョン・ロレンス/絵

かかし」のロバート・ウェストールです。たまたま図書館で見つけたので借りました。数少ないウェストールの作品は数少ない名前でで借りる事ができる作家です。
クリスマスの猫は短編小説で癖のある登場人物が登場します。元気はつらつの主人公というパターンから外れている事がうれしい。主人公設定が上手いなあと思います。

1934年に11歳だったキャロラインが年老いて、孫に聞かせながらお話しが進んでいきます。
11歳のキャロラインは両親が外国へ行ったため、1人で牧師をしているサイモンおじさんの所へ行くことになりました。おじさんが贈ってくれる暗いイメージのクリスマスカードのようにおじさんの住む牧師館は冷え切っていました。寒くてもキャロラインの部屋には暖房を入れてくれません。おじさんも気が利かないが、最悪なのはなのは家政婦の存在でした。おじさんの教会の評判が悪いのも家政婦のミセス・ブリンドリーがしでかした事でした。牧師館に来るものを追い返し、教会をいのままに操るおばさんです。

ある日キャロラインが牧師館の高い塀の外から松ぼっくりが投げ入れられました。塀の外に住む少年ボビーの悪戯でしたが、2人はすぐに意気投合し、仲良くなりました。ミセス・ブリンドリーに見つからないようにこっそりと牧師館から抜け出したり、また牧師館にある古い馬小屋に住む子猫親子をかくまったり、でもある日、とうとうブレンドリーに見つかります。

このお話しはキャロラインの子ども時代だけに終らせず、きちんと話しをまとめて、彼女の幸福な人生の一遍を孫と一緒になって感じる事ができています。主人公はおばあさんになってもこの先も幸福な人生がまっている余韻を残すものとなっています。

2012年5月25日
※表紙掲載許可は徳間書店さんより得ています。