「ブラッカムの爆撃機」 他短編
チャス・マッギルの幽霊・ぼくを作ったもの
ロバート・ウェストール/著 岩波書店/発行
金原瑞人/訳  
宮崎 駿 編+タインマスへの旅

表紙を宮崎駿が描いているので手にとって読んだ人も多いだろう。それが手である。内容は宮崎駿が手がけなくても読めるが、彼によって読者層が広まっただろうと予測する。私も「かかし」を書いた人だね〜と思った。「かかし」と共通する点でいうと、どこかしらに「恐怖」を感じるのである。恐ろしげな、怪しげな。
 主人公のゲアリーは、第二次世界大戦のイギリス軍の爆撃機に乗り込んでいます。同じ他の乗員達との戦場での仲間意識がなかなかいい。死を意識してびくびくしている時もあれば、仲間でふざけあったりもしている。彼ら乗員をまとめる上司の「オヤジ」の存在が彼らの死の恐怖の淵から少し遠ざけているようにも感じます。
毎回プロローグはどんな本であっても読まないようにしている。プロローグに重要な事が書いてある時もあるのだ、読む前からヒントは与えないで欲しい。この本も宮崎さんが絵で描いている。ヒントを読み取りたくない人は先に読んではダメだ。

2006年12月14日

※表紙掲載許可は岩波書店さんより得ています。