鼠径ヘルニア(脱腸)2007年1月28日〜29日

お母さんの体内の男の子の睾丸は腎臓の近くで出来て下腹部のトンネルを通って体外へ出て下腹部の筋肉が成長してトンネルを塞ぐ仕組みになっています、女性では子宮を固定している靭帯が通過するトンネルが原因でヘルニアが起こることが多いそうです。穴は特殊な物を含めれば沢山あるそうで一概には言えませんが 上記のトンネルが再び開いてしまう、あるいは高齢化に伴い下腹部の筋肉に弱い部分が出来てその隙間のトンネルから飛び出るヘルニア、男性に起こる事が多いのですが弱くなって開いた穴からトンネルが出来てお腹の腸管や卵巣が脱出する病気です。

症状

下腹部に腸管等が飛び出してくるため大きく膨らんできます、横になれば引っ込んでしまいますが段々穴が大きくなって下腹部がコブシ大にもなります、戻す方向に力を加えれば戻りますし痛みは有りませんが変に足を組んだりで出るほうに力が掛かれば痛みが出ますが僅かです。最悪飛び出た腸管が戻らなくなり(この状態を”
カントン”と言います)激しい痛み、飛び出た腸が腐って大きな手術と言う事もまれにあるようです。

治療法

薬では直りません、治すには”穴”を塞ぐ以外に方法が有りません。
穴を塞ぐには手術以外に有りません。
塞ぐのも周りの筋肉を引っ張って縫い合わせる方法とメッシュシート(色んな種類があるようです)で塞ぐ方法。

お腹を大きく切開して塞ぐ・・・全麻 約一週間の入院が必要(抜糸後退院) 再発率平均20%
お腹を小さく切開して内視鏡等の手術・・・全麻〜局所 3〜6日の入院 再発率は低い
ソフトバンクの王監督が胃がんの全胃摘出をした”
腹腔鏡下手術”も方法の1つです。

腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(ラパヘル)に付いて簡単に説明します(私はこの術式で手術しました)。

お腹に5〜10mmの穴を3ッ開けて炭酸ガス(CO2)を吹き込んでお腹の壁を持ち上げ、テントのようにしてカメラ(電子スコープ)を入れてモニターにて確認しながら形状記憶のポリエチレン等のメッシュシートを丸めた状態で持っていって患部で開いてチタン制のホッチキスの針状の物で筋肉に固定する。
約1時間弱の全身麻酔による手術です。

メリット・・・・切開しないため体への負担が少なく 痛みも少ない、3ッの穴は液体ばんそこうのような物を塗るだけだから抜糸は無く傷口からの感染の心配が無い為当日からでも入浴OK、手術は1時間弱で済んで 入院も平均2泊、腹の中全体をカメラで見る事が出来る為他の弱ってる部分の確認が出来る為に再発の確率が殆ど無くなります

デメリット・・・・炭酸ガスを入れるために全麻が必要、難しい手術の為経験が無いと心配。

刈谷豊田総合病院では積極的にこの方法を取り入れてさまざまな病気に導入しています、特に鼠径ヘルニアに関しては日本中で一番の術例を誇っています。

私の場合

記憶?では 昨年10月頃から左下腹部が出っ張ってきたような?痛みも無い為にあまり気にもせずにいました。今年(2007年)になって凄く大きくなってきて足を組む時に手で押して引っ込めてやらないと少し痛みが出るようになり、かみさんに聞くと「脱腸・ヘルニアだと思うよ」・・・実はかみさん小さい時に手術をしてて良く分かってる(一週間掛かるよって 自分がそうだった)。

月15日
刈総の敷地内?に住んでる娘に朝一で外科へ診察券を入れてもらいNO1を持って外科へ
9.40 診察
先生・・・見るなり「脱腸・鼠径ヘルニアです、そちらの専門の先生が水曜日の午後診察してますから予約しますか?」
私・・・・・「はい、お願いします」
先生・・・パソコン入力しながら「17日水曜14.40の予約で良いですか?」
私・・・・・「はい、お願いします」もう切られるのは覚悟 まな板の鯉状態です。
娘のお陰で初診なのに10時少し過ぎには全て終了、孫達を連れて食事。

1月17日
外科へ受付すると刈総が発行してる”医心伝心”ってびょういん便りNo88 1.15日発行の4〜5ページに刈総の腹腔鏡下手術の現状ってのが載っていて読むように渡されて持つ間に(これは上手く行けは切らずに済むかも)って少し期待。
15.00過ぎてやっと呼ばれて 早川哲史先生の診察、で術式の詳しい説明を図を書きながらしてもらう。

先生・・・「で、どうしますか?手術しますか?」
私・・・・・「はい、お願いします」 是ばっかりです。
先生・・・「日にちは何時にしましょうか?」
私・・・・・「はい、何時でも結構です、でも 出来れば自営で月曜休みですので1日入れていただければ・・・?」
私・・・・・続けて「このびょういん便りでは2泊3日ってなってますが出来れば1泊で・・・・?」全然何時でも結構です何てうそばっかり 我が儘の言いたい放題。
先生・・・「・・・・・では、28日の日曜午後に入院して29日の午前中に手術して夕方まで様子を見て退院って事でどうでしょう?」
私・・・・ 「はい、助かります、宜しくお願いします」
先生・・・「で、今日これから少し時間を取れますか?」
私・・・・・「はいっ?」
先生・・・「手術の為の血液検査・心電図・肺活量等の検査をしていってください、異常があれば電話で連絡して手術日の変更等しますが大丈夫なら予定通りってことで宜しく」
先生・・・「手術は担当医がします、あっ 大事な所は私がします」
私・・・・・「・・・・・・????」まっ 良いか どうせ”まな板の鯉”

1月25日
病院から電話(わっ まずい検査が引っかかって予定変更かな?)
看護師・「日曜日入院になってまして麻酔医の説明が済んでませんので明日時間が取れませんでしょうか?」
私・・・・・な〜んだ 一安心「昼からで良いでしょか?」
看護師・「では14.00に外科の受付に来て下さい」

1月26日
まあ、分かりきった(偉そうに一回だけの経験の癖に・・・)全麻の説明を聞く。

1月28日
13.30に日曜だから緊急の受付に来て下さいと言われてますが13.25分まで仕事(毎度の事ですが 事あるごとに忙しくなる)10分ほど遅刻して受付へ 受付嬢の案内で病棟へ2棟4階16号4人部屋 2−416です、身長・体重測定 168.1(もっと縮んだって思ってたけど・・・)62kg(服を着てるからこんなもんかな?)トイレ・洗面所・お風呂等の説明、非常に親切です。
今日は普通に生活できます、21.30の消灯前に下剤を飲むだけです。手術は29日9.00の予定でしたが8.50に変更になり、水・お茶の摂取は5.40までだそうです。

1月29日
毎度の事ですが 他所では殆ど寝れませんので何となく本を読んで済んでしまいました、朝大きなマグカップ(スープカップ)を持ってきたから「飲んでいいの?」「えっ・・・・・絶食?」「そう」「ごめんなさ〜い!」そんなこんなで 8.00までにお借りした寝巻き・エコノミー症候群対策のストッキング等準備万端、全麻用には飲み薬服用。
8.40
看護師が車椅子を持ってお迎え「薬を飲んでいて少しふらつきますから車椅子で手術室へ行きます」確か?「術室はいりま〜す」とか言いながら3棟へ移動・・・・2棟と3棟はフロアの高さが少し違い10mほど思いっきり勢いつけて押して3棟のエレベーターで3階の
中央手術室へ、一瞬すごーいと( ゜_゜;)右に第5〜第9手術室 左に第1〜第4?だったよな??ワンフロア全てが?やはり薬で記憶が曖昧、で 私は第4手術室へ・・・病院って関係者は4なんて・・縁起なんて・・気にしないのかな??何て思いながら広い手術室のベットへ あれっ 照明が違う是が最新式なのかな?同じく大きな丸い照明と小型の丸い照明ですが照明の中のレンズが丸い形でなくなってました、何てどうでも良いことだけ覚えてます、シーツ?を掛けられて看護師に「寝巻きを脱いでいただけます」って手伝ってくれます「腕も抜くんですか?」脱げって言われてるから当たり前でしょう・・馬鹿な事を聞いています。前回の個人病院の手術時と違い看護師がいちいち「○×させていただきま〜す」と五月蝿い事・・で 夢の中へ・・・・。
11.00
凄く色んな事を聞いたようですが覚えてるのは *今何時 *かみさんに「用事があるんなら行っといで」 *「イタイイタイ前の時より痛い」実の所何処にいるのか(手術室か病室か)分かっていない。
困った事は 口が渇いて飲み物が欲しいのに頼むかみさんが私の行っといでで居ない、流石プロの看護師何にも言わなくても直ぐに水差しを持って来てくれてます、お腹に全然力が入らないために付いてなかったベットの横の手すりがチャンと付いていて是に掴まり向きを変えようと思うが(><)きゃぁ痛い。

術後のかみさんの説明
11.00少し前に部屋のベットを押して例の10mほどのスロープを2人がかりで押して手術室へ迎えに行ったそうです、出てきた私は名前を呼ばれればしっかりと返事をして普通に会話をしてたそうです(本人何にも覚えていない・・前回の時もそうでしたが)痛がったら10分ほどで痛め止めを打って落ち着いたようです。看護師が何度も「トイレは大丈夫ですか?ガスは出ましたか?」そのたびに「まだです、まだ良いです」結局トイレに行ったのは14.00過ぎ、ガスの出たのは18.00過ぎでした。
兎に角 腹と傷口3ヶ所が痛くて力が入らないために寝返りはもちろん体の向きも変える事が出来ません、それと全麻時に喉まで入れた器具の為に喉が痛くてむせるから又お腹に響いて・・・もう気分は最高!のど飴を頼むかみさんは居ないし。
それでもウトウト寝たようです、14.00過ぎにかみさんが帰ってきて色々聞くと「
痛い前のときより痛いって言ってたけど苦しみ方は問題なく今度の方が楽そうだったよ、前は帰ってきた時ベットに縛り付けられて獣の唸り声のような声を出して苦しんで縛られた手も握り締めて爪で手のひらが切れるからタオルを握らせてくださいって看護師に言われたんだよ」「看護師に痛み止めを頼んだけど《麻酔が切れるまで打てません》って言われて45分後にやっと打ってもらえて落ち着いたんだよ」一緒に居てくれた下の娘があまりにも酷いから病院に向かってた孫ファミリーに携帯で「見せない方が良いよ、来ないで」って連絡したそうです、3年たって始めて聞いた・・・何て話しててそう言えば昼飯もらえなかったな、朝も抜きだったし・・・でも意外とお腹空いていないな?看護師にトイレを頼むと移動用の点滴台を持って来てくれて「これからはこの子を連れて歩いてください、さあ立ってみてください」こんな時には電動ベットがありがたいお腹に力を入れなくても座った格好に でも向きを変えるのが大変、立ちかけたら少しふらついたので看護師さんトイレまで付いてきてくれました。
18.00
夕食を頂いてると先生が部屋へ
「おっ元気そうですね、食事が終わったら退院にしましょう、手術時に体外の腸管が体内に戻らずに切りました(此処で手術時間が倍の2時間の意味を納得)、切った体外の腸管はそのままになってますが段々と水分になって消えていきます、気になってもあまり触らないようにしてください」「後で看護師に書類を持ってこさせますので2月16日に一度だけ来院して見せてください 予約を入れておきます」看護師が直ぐに色々持って来てサインをしたりで・・・「支払いは?」看護師「今日はもう受付終わってますから ついでの時に受付に寄ってください、16日でもいいと思いますが・・」
19.00前には家に戻っていました。

入院費用(5日に支払いに行ってきました)
診察費合計 ¥394,550(手術¥255,560 麻酔¥81,380 DPC〔診療報酬〕¥53,540 他)食事¥1,280
負担額   ¥118,890(国保30%負担) 高額医療で約¥37,000弱戻ります。

2月7日 術後9日目の感想
体を切開しないって事は本当に体に負担をかけない方法だと思います、仕事は次の日から出来ました(流石に動きはゆっくりですが)2日間だけ痛み止め(ロキソニン)を使用しましたが3日目には普通に仕事も出来るようになりました、ありがたいことです。
聞けば毎日店に来てくれる親父の代からのお客さんも刈総で昨年肝臓癌・一昨年胃癌と二回腹腔鏡下で手術を受けたそうです、今では一週間に1日は浴びるほどお酒を飲んでいます(良いことでは無いと思いますが飲める事事態が凄いと思います)仕事もゴルフも普通にやっています、切らないで済むって事は凄い事です。

二回目の全麻手術をしての感想は今回が普通の手術なのかな?普通に痛かったし普通の切り傷のように3日目ぐらいから楽になってきたし、無理をすれば出来るが体は正直って感じです。
前回は今回の事を思うと術後麻酔が完全に切れた45分後以降は点滴等にも常に鎮痛剤等が入れてあったんでは?で なければ次の日から普通にしていられるわけが無い、あれだけの手術をしたんだから劇薬でも使わなければあんなに普通にベットで読書なんてしてられないよね、どちらが良いのかは分かりませんし手術事態の程度の差がありますが体への負担は雲泥の差。
ありがたいことに医学の医療の進歩は目覚しい物があります、腰椎椎甲板ヘルニアの手術用顕微鏡下の手術でも腰骨にそって筋肉を剥離していく方法(この時どんなに注意深くしても神経に接触したりの弊害が出ます)から背中側から背骨を真っ二つ 二枚下ろしにして治療して骨をまたくっつける・・・とんでもない方法が出来るようになったようです(まだまだ何度もの術例が必要だと思いますが・・・)三度目何ってことはやりたくないんですが 子供・孫達にもしもの時には辛い思いをさせないで済むようになって欲しいですね。

2月16日 術後18日目 術後の確認の為の診察
予約での診察、刈総もオンラインになり便利になりました、診察券を入れると出てきたNOは3番でした、始めの患者が年配の男性何処か?が不自由のようで奥様らしき人が付き添ってました この人に時間がかかり30分ほど待たされてしまいました(是ぐらいの
時間を掛けて手術前に詳しく質問等して納得するのが本当なんでしょうね!)PCを見ると術後のレ写真が(意識が戻る前に撮られたらしい、こんなのを見ると何か怖いね)で 腰椎のチタンがあまりにも綺麗に写っていてそちらばかり見てると左下腹部へカーソル持っていってUP〜UP チタンの丸いワッパ3個が斜め一列に並んで写っています、メッシュシートは写らないようです。

先生・・・・「この3ッツで動かないようにシートを止めてシートはもう体内に癒着して取れません、チタンは金属探知機等には反応しませんから心配要りません、何か気になる事はありませんか?」
私・・・・・・「別にありません」
先生・・・・触診しながら「はいお腹に力を入れてみて・・・ツッパリ感はありますか?」
私・・・・・・「別にありません」
先生・・・・「この傷口がごわごわするのは内側で縫ってあって3〜6ヶ月で元通りになるから」
私・・・・・・ふ〜ん 外に塗る接着剤みたいな物だけで縫わないと思ってたのに?「このままで良いんですよね?」
先生・・・・「筋肉と同化して手術前と同じように戻ります」
先生・・・・「気になる事とか何かあったら他所で見てもらってもこの手術は此処でしかやってないから分からないから直ぐにこちらに連絡して見せてください、知り合いに同じような症状の人がいたら教えてあげてください」
私・・・・・・「はい分かりました、有難う御座いました」

これで、
今回の”鼠径ヘルニア(脱腸)”は完治・全快です!