花ことば物語

【サクラソウ】

 サクラソウは、魔女や妖精の害を防ぐ役を果たすといわれている土地もあり、古くイギリスでは、復活祭の教会の装飾にサクラソウが使われ、スコットランドでは、その日にサクラソウを丁寧に球形に束ね、その真ん中に6弁の白いアネモネを挿した花束を作る習慣があります。
 マン島では5月1日の前夜に、この花の小さい束を家や牛小屋の戸口におくならわしがあります。
 イギリスでは他にも、この花の頭の部分を煎じて飲むと、不眠症にかからないとか、きこりが山で小さな傷をつけたとき、即座にこの草をあてがうと、そのあとの手当ては不要だという話もあります。
 英名のプリムローズは、ギリシア神話では花の女神、フローラの息子パラリソスのことです。パラリソスは、美青年で、恋人のニンフに失恋したためにすっかりやつれ、ついには死んでしまいました。フローラは、そんなわが子をふびんに思って、春一番に咲くサクラソウの花の姿に変えたといわれています。
 春早く咲くサクラソウには「希望」という花ことばがぴったりです。
 花茶にして飲むとウツ病や不眠症によいといわれています。

花色:赤、オレンジ、黄、ピンク、白
開花期:12月から5月
花持ち:5日から10日程度
花言葉:希望
青春の始まりと悲しみ

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