花ことば物語

【カキツバタ】

 上古時代の日本には、現在使われているような染料がありませんでしたので、「榛(ハリ)の実」とか「すみれ」とか「つゆくさ」とか「かきつばた」の花を直接衣にすりこんで染めていたことが、次の万葉集七巻の歌で知ることができます。
「すみの江の浅沢小野のかきつばた衣にすりつけむ日知らずも」
「かきつばた衣にすりつけますらおのきそい猟(かり)する月はきにけり」
「真鳥住む卯手(うなて)の神社の菅の実を衣に書付けきせぬこもがな」
という三首の歌にあるように「かきつばた」の花の紫色の液を「書付ける」は染めつけるということで、「かきつけばな」から、「かきつばた」の名が生まれたということです。

花色:紫
開花期:5月
花言葉:幸運の便り、良き知らせ、敬慕

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