花ことば物語

【ヒナゲシ】

 夜半、楚王の項羽は包囲軍からわきあがる楚の国の歌を聞き、それほど多くの兵士が敵にねがえったのかと、深い孤独に包まれた。腹心の部下と愛する虞姫を集めて最後の酒宴を開く。虞姫の瞳をひたと見つめて項羽は歌った。
 力は山を抜き 気は世をおおう
 時に利あらずして 騅逝かず
 騅逝かざるをいかにすべき
 虞や虞やなんじをいかにせん
 宴が終わると同時に項羽は剣で虞姫の胸を刺し通し、愛馬の騅に飛び乗って疾風のように城を脱出していった。のち、虞姫の血が流れた地面から真紅の花が咲きだし、人々は虞美人草と叫んで薄幸の美女の末路を悼んだ。

花色:桃・赤・白
開花期:4月から6月
花言葉:眠り

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