花ことば物語
【フクジュソウ】
昔、霧がたちこめる北の国にクノウという名の美しい姫神が住んでいた。父の神が愛娘の結婚相手に選んだのは、地中深くに屋敷を構える金持ちだが醜いモグラの神だった。なによりも輝く太陽が好きなクノウには、この縁組は死ねといわれるに等しい。しかし父の命令にはそむけず、ついにその日が来た。
結婚式の儀式は進み、盛大な酒宴となったが、ふと気づくと花嫁の姿が見えない。クノウは荒野の雑草のなかに身をひそめていた。モグラの神は激怒し、彼女を激しく折檻して、天に帰ることを許さなかった。こうしてクノウは野に生える草となり、太陽が昇ると今も花を開いて故郷の天を仰ぐのだ。アイヌの人々はこの花をクノウノンと呼んでいる。
花色:黄、橙、白、緑
開花期:1月から3月
花言葉:幸せを招く