花ことば物語

【アネモネ】

 花を咲かせる力をもつ心やさしい風の神ゼフィルスは、花の女神フローラの侍女、アネモネに恋をします。自分が愛されていると思っていたフローラがそれを知って怒り、アネモネを追放したので、フローラとの平和を保つため、ゼフィルスは仕方なくアネモネを花の姿に変えたといいます。
 また、こんな話もあります。美の女神アフロディアは、息子のキューピットの射た愛の矢で誤って傷ついた、美少年アドニスを恋するようになってしまいました。そしてアドニスが猟で死んでしまったのを見て、悲しみのあまりハラハラと涙をこぼし、その涙がアネモネになったというのです。アドニスの流した血から、女神アフロディアが花を咲かせたともいわれています。
 こんな話から「はかない恋」「恋の苦しみ」といった悲しげな恋のイメージの花ことばになったのではないでしょうか。
 ローマでは、アネモネはアフロディアの花といわれ、ビィーナスの神殿に多くささげられ、花冠や花環に用いられていたようです。

花色:赤・ピンク、青・紫、白、覆輪
開花期:3月から5月
花持ち:4日から5日程度
花言葉:はかない恋、恋の苦しみ、薄れゆく希望

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