花ことば物語

【タンポポ】

 なまけものの南風は、いつも寝そべって野原をぼんやりと眺めていました。
 ある春の日、南風は野原で、美しい黄色い髪の少女をみつけ、ひと目ぼれをしてしまいました。実はそれはタンポポだったのですが、南風は胸をときめかせて、毎日黄色い髪の少女をみつめるようになりました。
 しかし、しばらくたつと信じられないことに、その少女が、白髪の老女になっていたのです。南風は悲しみのあまり大きなため息をつきました。すると、そのため息に飛ばされて、白髪の老女もいなくなってしまったそうです。
 そんなことから、「別離」という花ことばができました。
 また、綿毛の飛んでしまった花は、旧教のお坊さんの、剃った頭に似ているので、ドイツでは「坊主花(ポーペンブルーメ)」と呼ばれています。

花色:黄、白
開花期:2月から5月
花持ち:7日から10日程度
花言葉:愛の神託、別離

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