花ことば物語


スイセン

 ギリシヤ神話に登場する美少年ナルキッソスは、その美貌ゆえに、たくさんの乙女たちの心をとりこにしましたが、いつも自分からは決して人を愛そうとはしませんでした。
 森のニンフ、エコーが仕事ができなくなるほど彼を愛した時もそれは変わらず、復讐の女神ネメシスはその冷たい態度を怒り「人を愛せないなら自分自身を愛すればいい」と呪いをかけてしまいました。
 たちまち、ナルキッソスは水面に映った自分の姿に恋をし、その恋の苦しみで、食事ものどを通らなくなり、だんだん顔色が悪くなり、やせ細って、1本の白いスイセンになったといわれています。
 こんな話から「うぬぼれ」「自己愛」という花ことばが生まれました。
 ギリシア語のナルキッソスは、ナルケーという語が語源で、「麻痺させる」「昏睡、無気力、無感覚」を意味しますが、これは、スイセンの球根に、こういった性質があるため。これは現代ではほとんど忘れ去られていて、一般には花の香りが強ので、そのために麻痺したり麻酔の意味があるととられているそうです。
 花ことばはあまりよくありませんが、花束にすると可愛らしい花です。


花色:赤・ピンク、黄・オレンジ、緑、褐色、覆輪
開花期:10月から4月
花もち:2日から5日程度
花言葉:うぬぼれ、自己愛、自尊心、気高さ、愛をもう一度
(黄)もう一度愛してほしい
(ラッパスイセン)尊敬

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