花ことば物語
【ムラサキシキブ】
ムラサキシキブは、昔から日本の山野に広く自生していました。林とか切り通しのようなところに多く見られ、のこぎり葉のある楕円形の葉が特徴のひとつです。
ムラサキシキブの、先が4つに裂けた釣り鐘のような形をした小花は、6月ごろに咲きます。
フジ色の可愛らしい小花ですが、主に観賞するのは、花よりも晩秋につく、紫色の丸い実のほうです。
葉が落ちたあと、枝にはこの濃い紫色の実だけが残ります。
近ごろは白い実をつけるシロシキブ(ミラタマコシキブ)も出回っています。
花名のムラサキシキブは、実の美しさを紫式部に例えたものだという話もあります。
つまり、花ことばの「聡明」は、平安時代の日本を代表する古典女流作家、紫式部の聡明さだというわけです。
深まりゆく秋の気配の中で、花も終わり、葉も落としたところに、濃い紫色の実だけをブドウの房のようにつけているさまは、想像しただけでも、可憐で美しいものです。
花色:淡紫紅色、紫
開花期:6月から7月
花持ち:3日から4日程度
花言葉:聡明