気づいたときには遅かった・・
唐突に明るく照らされた夜闇の中で、
タイヤと地面が派手に擦れる音をさせながら
鉄の塊が突っ込んでくる。
「・・・!!」
相手の驚愕に歪んだ顔がいやにはっきりと目に映る。
体に鋼の衝撃。
映画に出てくるスタントマンのように
軽々と吹き飛ばされる自分の体。
風を感じている余裕などあるはずもなく
地面に叩きつけられる。
感じるのは、腹部にある焼け付くような痛みと
冷たいアスファルトの感触、
そして
体からとめどなく流れ出る自分の命
そんな時女の人の声が聞こえた気がした・・。
そういえば最後まで女の子に縁がなかったなと思い
そんなことを考えている自分に少し笑う
そして、その間にも僕の意識は
だんだんだんだんと白闇に喰われていった・・。