DAIWA Phantom PCF908U 9' #8
--- 1981年、何でもありのオールラウンダー ---









ハーフウェルズのコルクグリップにウッドスペーサーのアップロックシートが何となくオービスっぽく感じる。

シートのエンドキャップを外せばエクステンションバットが装着できる。


Reel OLYMPIC 9325
Reel TIEMCO ORACLE LARGE TROUT










ダイワ得意の大型フックキーパー。




「Daiwa Corporation U.S.A」の文字がどこか誇らしげに見える。(笑)




エクステンションバットを装着した状態。

Reel Shakespeare 2531




Phantom PCF908ll Bending curve ----- 嫌味の無いミディアムアクション。硬さは感じない。




Memories


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・本栖湖のスーパーブラウン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

もちろん簡単に釣れる筈の無いことなど百も承知だ。

でもいつか挑戦してみたい、というのが釣人の性というものだろう。


 そんな想いを叶えるべく’83年11月。私はワンワンと本栖湖の通称”長崎ワンド”に立っていた。

雨上りの湖面はうっすらと霧がかかり幻想的で、「如何にも!」といった雰囲気を醸し出していた。





みんなストリーマーとか洒落たフライを結んでいるのだろう。 

私は全く管理鱒釣場の如く、リーダーの先に私はウーリーマラブーを結んだ。(笑)

逸る気持ちを抑えて早速釣り開始。

たとえ釣れなくてもこんなロケーションで「釣り」ができること自体が楽しい。



 30分くらい経っただろうか。

タイプIIのシンキングラインをリトリーブするが、当然の如くアタリなんぞ無い。

まぁこれが現実なんだと思い始めた時に、15mくらい離れた隣で釣りをしているワンワンが「よしっ! 来たぁ〜!」と声を上げた。

私は「ウッソやろ〜? どうせ根掛かりやろが〜?!」と振り向くと、

ワンワンのスーパーパルサー9’#8が大きく根元から曲がっている。

そればかりか確かにロッドティップも叩くように揺れているではないか!


「おぉぉ〜! ついにやったなぁ〜♪!!!」と急いで駆け寄ろうとした時、

「あぁぁぁぁぁ〜、クソォ〜外れた!」と悲鳴のような声でワンワン氏…。


テンションの無くなったラインがロッドティップから虚しく湖面に垂れていた。

手繰り寄せたライン、リーダーの先に結ばれていたのは、

私と同じく本栖湖を完全舐め腐ったフライ、モンタナマラブー。通称モンタナビラビラ。(笑)

しかしそれはティンセルは切れてズタズタになっていた。

やはりヒットしたのはブラウンだったのだろうか。


ワンワンによると、やはり最初は根掛かりと思ったらしい。

でも動き出したので慌ててロッドを立てたからアワセが決まってなかったんだろな。ということだった。



 こんなにいい確率で釣れるのだろうか? まさかそんな筈はない。

それだったら「神話」になる筈がないのだ。


再びロッドを振り続けたが、二度と湖が微笑むことはなかった。 

以後もリベンジしたけれど、結果は言うに及ばず…(^_^;)

いつか我々から本栖湖も忘れられていってしまった。

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・・・・・・・・・・・・The Grandfather's Pond ・・・・・・・・・・・・


仕事から帰ると急いで晩飯を済ませた。

愛竿、ファントム908Uにリールをセット、ラインを引き出しガイドに通すと、

リーダーの先にウーリーマラブー#10を予め結んだ。

車のルーフキャリアーにセットしたロッドを載せると、急いで "ジジイの池" に向かった。

現場に着くと田圃のあぜ道を池の畔へと歩く。蛇だけが恐い。(笑)

日の長い5月といえども辺りはもう暗く、手探りでフォルスキャストを数回、適当なところでシュート。

暗くてどの辺りにフライが着水したかよく分からないが、ゆっくりとリトリーブを始めた。


すると1回、もしくは2,3回リトリーブするとラインを引く手にテンションを感じ、ロッドが絞り込まれる。

まるでブラウントラウトでも掛かったかのような重々しい手応え。

それがワンキャスト毎に繰り返された。即ちワンキャスト・ワンヒットだ。

時には「バフッ!」という音と共に、時には音もなくロッドが曲がる。


ただ掛けた時のファイトは楽しいが、煩わしいのはフックをラジペンで外す時。

暗闇でうごめく魚体は、その柄からしてニシキヘビみたいで少し気持ち悪い。(笑)

中には口腔奥にフライが呑み込まれ、リーダーを切ってリリースすることも暫し。

大体あの口である。運が良くても2,3匹釣ればフライは大抵ダメになる。

懐中電灯の明かりでフライ交換したこともあるが、さも無きゃゲームオーバー。


そんな短時間でこなせる身近なフィッシングターゲットだった。




・・・・・・・・・・・・SALT WATERに挑戦・・・・・・・・・・・・

秋の衣浦湾は半田港に、このロッドでシーバスにチャレンジした。

シーバスといえば聞こえはいいが釣れたのは幼魚であるセイゴ。(笑)

今でこそソルトフィッシングは確立した地位を持つ釣りとなったが、

この頃はルアーにしてもフライにしても全くの手探りの状態で、単に渓流が禁漁期となる

秋から冬場の楽しみとしての要素が大きかった。

我々も例外ではなく、好奇心からやってみようということになった。

何も知らない我々は、堤防から沖に向かってキャストしていた訳であるが、

足元までリトリーブして次のキャストに入ろうとピックアップしようとしたワンワンの竿が、根掛りでもしたかのように大きく曲がった。

そして次の瞬間、足元で完全スズキと呼べるようなサイズの魚がガバガバッとエラ洗いを見せた。

と、同時に曲がっていた竿のテンションが抜け、今のは何だったんだ?というような顔したワンワンが居た。

それがフライでソルトに挑戦して、初めて出会った交通事故的瞬間だった。

そして気付いたのが、ここの堤防は足元が抉れていて、そこに魚が付いているんだということ。

この日はそれだけで終わってしまったが、次からは誰も居なければ堤防と並行して投げたり、

通称「テクトロ」と言って、ラインを垂らしたまま堤防上をテクテク歩いてトローリングしたりして遊んだ。

しかしあんな立派なサイズに巡り合えるチャンスは起きることは無かった。

それでも例えセイゴと言え、フライに食ってきた時の喜びはルアーで釣った時の喜びの比ではなかった。

そしてまたひとつ、未知なる世界の扉を開けてしまったことにより、また8番ロッドが増えてしまう結果となった。(笑)







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