闇に唄う少女 |
2006年だったか、これは実は我が家での体験談である。 夜中…と言っても夜明けも近い3時頃だったか、尿意に目覚めた私はトイレに立った。 静まり返った中、外からだろうか? いや背後だろうか? 断定できない。 まさか寝ぼけている? 気のせい?? いや違う。気のせいなんかじゃない。耳を澄ますと静寂の中から確かに聞こえてくる。 『 ゆ う や 〜 け こ や け ぇ の あ か と ん ぼ …』 声の感じからすると小学校低学年くらいの女の子か? 少したどたどしく、ちょうど歌を覚えた女の子が独り言のような感じで唄っているいるようにも聞こえる。 何故こんな時間に? 誰? 我が家ということもあり、何の疑いも無く窓を覗いてみるが誰もいない。 やっぱり気のせい? いや、確かに聞こえてくるよなぁ…。 闇に消え入るような微かな声が… 少し気持ちが悪かったが、 部屋に戻るといつしか眠ってしまった。 暫くは忘れていたが、ある日ワンワンにこの話をしたら、 ワンワン曰く、もしかして「赤とんぼ」の歌じゃねぇ? うっそ…!!! 何故知ってる? まさにビンゴである。 と、いうのもワンワンが以前住んでた家は俗に言う”出る家”で その家に住んでいた頃に体験したらしい。 因みに事故物件でも何でもなく、新築一戸建ての建売だった。 その道に詳しい先生に視てもらったところ、 どうやら家ではなく、埋め立て整地に使った土砂に問題があったらしい。 現に以前、排水管工事に来た水道屋さんが掘ったところ、土の中からたくさんの 御影石(もしや墓石?)の破片を確認している。 これには家(土地)を買う時には十分な下調べが必要なようだ。 悪どい業者に掛かると何で埋められるか分かったもんじゃない。 そんな訳でワンワンは一冊の本が書けるくらい、その家で奇妙な体験をしている。 ●夜のうちに移動している人形とか、 ●寝ているうちに数が減っているタバコ。 不審に思ったワンワンが残りの本数を数えて、 朝になって再度確認すると確かに数が減っていて、灰皿の中の吸い殻の数が増えていた。 ●朝起きて、異臭に気づいたワンワンが慌てて台所に行くと 締めた筈のガスの元栓が開いていた。 もし電灯スイッチを入れたらドカ〜ンといく可能性もあった。 ●時折玄関の壁の中から空き缶を転がすような謎の音がする。 ●階段の壁のクロスに浮き出た、まるで血のような染み。 ●嫁さんがトイレに入っていると耳元で「早く出ろ」と囁かれたことがある。 ●家の中で飼っていた犬が、時折一点を見つめて吠えることが度々ある。 ●顔面血だらけの女性が玄関の外に立っているのを目撃した人が、 そのことが気になり、わざわざ家に訪ねて教えてくれたとか。 ●地震だ! と思ってTVを点けても何も速報は無く、気象庁のHPで確認しても地震の形跡は無かったとか。 揺れたのはワンワンの家だけだったらしい。 ●極めつけはワンワン本人が夜寝ていて、若くして白血病で亡くなった女性の霊に乗り移られたことがある。 などなど、私が聞かされ知っているだけでも書ききれない。 よくこんな所に長々と住んでいたなぁ…と驚く。(恐) でもワンワンが言うのには、最初の頃は何事も起こらなかったらしい。 ただ嫁さんが階段を踏み外して怪我をしたらしい。 私も引っ越しの手伝いで不可思議というか奇妙な体験をしている。 それは… 嫁さんが踏み外したという同じ場所で足をすくわれたように踏み外した。 幸い怪我は無かったが、両手ふさがっている時に限って… なお、荷物の運び出しは数日間に及んだが、 部屋のドアーは全て閉めて、玄関は施錠しておいた筈なのに、 不思議なことに翌日には部屋のドアーが全て開いていたという。 最も引っ越すことになったのは、視てもらった先生に 『一刻も早くこの家を出た方が良い。このままだと命を奪われる危険もある。』 そんな忠告を受けたからに他ならない。 まさに感謝だ。 話は戻るが、と言うことは… ワンワンの家にいた霊をワンワンが連れてきたのか(笑)、 それとも引っ越しの手伝いをした時に連れてきたのか?ということになるだろうか。(恐) その後、我が家も新築して新居に引っ越すまでの2013年まで住んでいたが、 こんな体験は後にも先にもこの1回だけである。 ついでにもうひとつ、ワンワンが連れてきた、と言えばもっとリアルなものが… ワンワンが長崎旅行から帰って来た夜のこと。 興奮したような声で 「ちょっと見て欲しいものがある」 と、私に電話が入った。 すぐさま飛んで行くと、見せられたものは玄関カメラの映像。 来客を検知すると自動的に録画されるもので、帰宅時は何事も無かったものが もちろん自分たちが写った確認済み映像の他に、新たな来客録画ありの表示が出ていたので テレビ画面のモニターで再生して見てみたところ、とんでもない来客が写っていた。 その赤外線カメラの捉えた映像とは、 淋し気な表情をした半透明の女性だった。 その体の向う側の景色が透けて見えていたのだ。 これには私も驚きと恐怖以外に何も無く、 帰りの車で後席に誰か乗っていないかと、前とルームミラーを交互に見ながらの 帰宅道中であったのは言うまでもないだろう。 |