青いリュックサックの老人





昔、剃るティーワンワンと付知川へ釣行する時の話。

夜中の2時くらいに家を出て、愛知県の小渡温泉の街並みを抜けて岐阜県に入るルートだった。

今なら下道であれば、R257からR19というルートを選ぶのが通常になってきたが、

あの頃、銀毛狙いに小渡(矢作川)へよく釣行した経験から、同じルートで串原へ抜けて明智というパターンが多かった。

そんなルートを走行して、明智辺りへ差し掛かった時のことだ。

あと1時間もすれば辺りは白々としてくる時間だろうが、まだ辺りは闇の中だった。

剃るティーワンワンが突然、「何でこんな時間におじいさんが田圃の中に立っとるだ?」と、

突然訳の分からんことを言い出した。

ハンドルを握る私は、ヘッドライトが照らし出す前方は良く見えていたが、

田圃の中の老人は全く見えておらず気付かなかった。

その時は別段気にすることもなく現場を通り過ぎた。



釣りを終えての帰り道、また例の場所へ差し掛かる頃剃るティーワンワンが、

確かこの辺だったと思うがなぁ・・・? 青いリュックサックを背負っておじいさんが立っとったのは・・・


あっ、ここだここだ!と思い出したように言った。


私は車を停車させ、僅かに後退すると、それらしい脇道に入ってみた。

私は急に恐怖を感じた。そこにあったのは一つの墓石。

それに関しては土葬が多かった昔は、特に山間部では墓地以外の所でもお墓はよく目にした。

問題はそれではない。

そこは前にも述べた通り田圃で外灯は無い。車のヘッドライトが照らし出す範囲からも逸れている。

それなのに何故、剃るティーワンワンは青いリュックサックを背負った老人と分かったのだろう?

ワンワン曰く、おじいさんだけ外灯で照らしたように浮かび上がっていた。と言うのだ。

それだけに剃るティーワンワン自身も、このことが気になっていたのだろう。















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