白昼の国道バイパス ---釣行で体験した不思議恐怖な出来事---




あれはワンワンとオービス氏と、駿河湾釣行の帰りの出来事だった。

不思議体験というよりも恐怖体験と言った方が正解だろう。

何故なら、咄嗟の行動が無ければ我々は死んでいたかもしれない。


いつものように夜駆けで釣り場に向かい、車中で仮眠して朝まづめを狙い、帰るという

ハードなスケジュールが当たり前になっていた。

そのため、自分がハンドルを握る時以外はウトウトしていることもあった。

ラッキーだったのは、この日、ワンワンの運転する車のナビシートで起きていたことだった。


高速道路を使えば快適で楽な釣行だろうが、毎週のことだから料金節約で”下道”を使うことが多かった。

デリカスターワゴンのリアシートではオービス氏が夢心地だった。

いつもなら私もウトウトするのたが、前に述べたようにこの日は起きていたことがラッキーだった。

静岡方面から浜松方面に向かう国道1号バイパス。

大井川を超えて左カーブ、上り坂を上ってトンネルが3つ連続してある地点。

確か牧之原第三トンネルだったと思う。 対面通行で、ゆるい右カーブになっていた。

その時だった。そのゆるい右カーブになったトンネルに入ってすぐ、

こともあろうにワンワンがセンターラインを越えて、

対向車線の大型トラックに向けてハンドルを切ったのだった。

尋常じゃない動作に私は慌てて助手席からハンドルを修正して 「おいっ! 眠っとるのかー?!」


惨事を免れて我に返ったワンワンは唖然として、

突然首の後ろというか後頭部に痛みと重苦しさを感じて、それから意識が飛んだと言う。

その後はケロッとしていたから何かの病気とは違うだろう。

運転を代わろうか?と言ったが大丈夫だと言うからホントに大丈夫だったのだろう。


冷静に考えて、トンネルはゆるい右カーブ。居眠りなら左の壁に向かうなら分かる。

それを突然、追い越しでもかけるかのように、急に不自然に反対車線に向かったからびっくりした。

幸いにして大型トラックまで距離があったから助かった。



その後、気味悪いなと思いながらも何度もここを通ったが、以後は何事も無かった。

ただ霊感の強いワンワンは、トンネルとトンネルの間で、誰かがこちらを見ているような嫌な感じはすると言っていた。

他にここでの曰くとか怪奇な話は聞いていないし、ネットで検索しても特にヒットしない。

ただ気になるのは、地図で確認すると付近に寺院や墓地などが点在する。

バイパス建設にあたり、墓地などを移設したりしていないだろうか?


それにしても、あの一瞬は一体何だったのだろうか・・・

今思い出しても背筋がゾクゾクするが、きっと守護霊に助けられたのかもしれない。














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