代表質問内容と回答(平成21年3月定例議会)
 代表質問(3月4日)と一般質問(3月5日・9日)が3日間に亘り行われ、私は4日の代表質問に2番目に登壇をした。

【今回の質問内容について】
 代表質問は2回目であります。一般質問のように一問一答なら聞いている方も分かりやすのですが、一括質問、一括答弁後、一問一答になり、先回は「演壇からの質問が長かったかな」という反省から、壇上での質問を今回は10分程度短くし、一問一答での問答を少しでも多く持つようにしました。議員となり幾度となく本会議場で質問をしてきましたが、毎回緊張をします。

 質問の構成は、前年度の代表質問において安城市総合計画(平成17年〜26年の10ヵ年計画)の柱である6テーマを中心に質問をした。先回の代表質問内容から平成20年度の取り組み結果それに伴う反省を新年度にどのように反映しているかを柱に質問をした。

 質問と答弁内容は、概要であり詳細は「安城市インターネット放映」「議会議事録検索」で確認をお願い致します。

=市政運営について=
 市政運営に関しては、下記の4項目を質問しました。
ー質問1ー
 平成20年度施策の達成状況とトヨタショックによる事業展開の影響はどのような状況になっているか。

ー答弁1ー
 新年度の早い時点でマニュフエストの進捗状況を公開する。子ども医療費の拡大、妊婦健診の助成回数の拡大など概ね目標の達成ができた。しかしながらごみ減量は、昨年7月から古紙のステーション回収を実施してきたがその効果も頭打ちとなっているのが課題で、ごみ排出20%減量にテコ入れしていく。
 トヨタショックに伴う平成20年度事業影響は、昨年12月補正予算で債務負担行為をしたデンパークの北エリア整備事業の先送りぐらいで直接的な影響はなく、ほぼ当初予算計画通りの事業展開ができる。

ー質問2ー
 新年度予算編成に対しての経済変化における反映点と短期・長期的な対応をどのように考えているか。

ー答弁2ー
 企業行政の大幅な下方修正から法人市民税収の大きな減収を見込まざるを得なく、歳出は枠配分額の一律5%削減や実施計画採択事業の大幅な見直しなど事業費の削減をした。
 短期的な対応としては、常に質素倹約の精神を忘れず、経常経費の節減に努め、当面は基金と市債の活用により地域経済の景気底割れ防止に貢献していきたい。
 長期的には、今後の景気の見通しが不透で、将来の展望がきかない状況にある。的確な情報収集に努め、事務事業計画の見直しと、更なる行財政改革を図り、財政の健全化を維持していきたい。
 【再質問】
質問2−1ー
 県は税収の4割を占める法人2税の税収減から起債発行や基金の取り崩し、市町村の県単独補助金の3割カットが報道されているが本市への影響はどの程度あるのか。

ー答弁2−1ー
 県に確認したところ、全ての補助金の一律3割カットではなく、民生費の福祉関連の補助金は従来通りの計上で、土木事業や土地改良事業を3割削減の対象とされているようです。予算に掲げた補助金の確保に向けて最大限の努力をして参ります。

ー質問3ー
 急激な情勢変化から実施計画の見直しをしているが、公共事業の先送りだけでなく経常経費削減が必要でその対応と、実施計画の3ヵ年財政計画の歳入の市債額と歳出の公債費額が同額となっているが、この点をどう考えているか。
ー答弁3ー
 経常的な事業では事業効果を見極めスクラップをし、また発想の転換や創意の工夫などにより経費削減に努めてきた。義務的経費である人件費・扶助費・公債費は人口の増加や景気の悪化による対応などにより、全体的に年々膨らんでいる。今後は、ハードからソフトへの事業転換が求められ、ますます経常的な事務事業経費が拡大する傾向にあり、細部にわたる経常経費の節減について調査・研究するとともに工夫をして参ります。
 歳入総額から市債収入を差し引いた金額と、歳出総額から公債費を差し引いた金額のバランスをプライマリーバランスと言い、これが黒字であることが望ましい。平成21年度から23年度の間でプライマリーバランスは黒字としている。市債借入の適正額の考え方として「プライマリーバランスの黒字」を基本原則として対応していく。
 【再質問】
ー質問3−1ー
 トヨタ自動車は、世界販売台数700万台で利益の出る企業体質改善を目指している。また取り巻く企業も同様な対応が図られている。本市の健全財政を維持していくには、どの程度が身の丈にあった財政基盤と考えているか。

ー答弁3−1ー
 税収構造の変化や人口の増加、高齢化の中でどの程度が「身の丈に合った財政基盤」であるかを明確に示すことは出来ないが、予算編成の原則である「入るを量って出ずるを制する」を基本理念として、この不況を乗り切ることのできる強い財政基盤を有していると考えています。
ー質問3−2ー
 民間企業においては、今の経済状況から目に見える社員の意識改革が図られているが、職員の意識改革、意識付けをどのようにしているか。また厳しい時代を乗り切るために市長直轄のプロジェクトの立ち上げや民間人登用の行財政改革をしてはどうか。
ー答弁3−2ー
 平成19年度から全事業の行政評価に取り組み、常にコスト意識、業務のムダを省き、積極的な改善に努めている。ISO9001の推進を含めて、これから行政改革のツールをより充実することにより、更に意識改革や意識付けを図っていく。
 行政改革へのプロジェクト設置や民間人は、大綱の策定において有識者や市民代表者などの意見を取り入れており、現在のところ新たな組織は考えていない。平成19年度に経営管理課を創設しましたので、今後も当課を中心に行政改革を進めていく考えです。
 【要請】
 「身の丈に合った財政基盤は明確にすることは出来ない」という答弁に対して「家庭ならば収入が減れば食費や衣料費などの支出を押さえる」、行政もそうした考えで取り組んでほしい。
 民間人の登用の提案は、行政改革や改善をするのに市職員でできることに限界があるのではないかということで申し上げていることの理解をしてほしい。

質問4ー
 これまでの事業の拡大や施策の充実ができたのは、着実な法人市民税の増収がある。市内の中小企業がこの嵐から一刻も早く脱出を願うには、行政の支援や協力が不可欠であり、どのような対応を考えているか。

ー答弁4ー
 市内企業の経営状況の把握は、商工会議所を通じての情報収集と、2月中旬から私自身(神谷市長)も企業訪問をして、各企業の経営状況や雇用状況をお伺いしている。
 融資制度における信用保証料補助金は期限を来年3月まで延長する予定。更に、企業の信用保証料の負担軽減や、新規に国の原材料価格高騰対応等緊急保証制度についての信用保証料の見直しもする。
 【再質問】
ー質問4−1ー
 市内企業への融資状況はどのようになっているか。
ー答弁4−1ー
 信用保証料費用の支払い推移は10月申請分371万円、11月申請分436万円、12月申請分463万円、12月の借り入れが反映される1月分は1,070万円と急増している。全国緊急融資制度の資金繰りのための融資件数の増加が見込まれる。信用保証料補助の拡充を図り、市内企業への振興を図っていきたい。
 【要望】
 自動車関連の製造業においては、平成20年度の前期は過去最高の売上げを計上し、予定納税をしている企業が多くあります。資金繰りから一刻も早い還付金を待っている企業もあるようですので、年度会計を閉めたら、早い事務処理をして還付をしてほしい。

=教育行政について=
 市政運営に関しては、下記の2項目を質問しました。
質問1ー
 平成20年度の重点項目(いじめ・不登校問題の対応、特別支援教育の推進、教職員の資質と力量の向上)の達成状況と新年度の教育方針としてどのようなことを掲げているか。
ー答弁1ー
 「いじめ・不登校問題への対応」でいじめ問題は、調査報告を年1回から学期ごと年3回に変更し、各学校の実態把握と早期発見、早期対策に努めている。今後としてネットによるいじめも見られてきたことへの対応が課題と考える。
 「不登校」は、不登校児童生徒の状況を年度ごとの変化の把握・分析をしっかりし、個別指導や円滑な引き継ぎができるように努めた。学校と教育センター相談室との連携を強化し、相談員による引きこもり児童生徒への訪問指導を実施し、一人一人とのつながりがもてたことは成果ですが、不登校児童生徒数を減らすに至っていない。
 「特別支援教育の推進」は、各学校に特別支援教育補助員を配置し、サポート体制を築いた。今後は、実績の積み上げと内容の充実を目指したい。
 「教職員の資質の向上」は、若手教員に対して授業研究を取り入れた研修機会を設け、ベテランの指導員が担任のように受けもって指導相談にのるようにしてサポートしたりした。今後も若手教員の大量採用が続くと予測され、市教育センターの機能を一層活かして、研修・研究の充実をして教職員の資質向上を図っていく。
 新年度の引き続き重点取り組みをしていく。新たな新学習指導要領の移行に入るが、地道ではあるが進取の精神に富む安城教育の推進に全力で対応していく。
 【再質問】
ー質問1−1
 不登校問題の対応として、少人数学級のきめ細かな指導で問題が解決できると言われている。愛知県は新年度より中学1年生に導入するが、本市は県より先取りして中学1年生に実施しているがその状況はどのようになっているか。また、実態把握をどのように活用しているか。

ー答弁1−1ー
 中学1年生の不登校の実態は、本市の中学1年生の35人学級は平成17年度から実施しており、16年度2.29%に対して17年度2.38%、18年度2.16%、19年度1.84%とと少しずつ減少している。
 このことから、中学校1年生における少人数学級は「中1ギャップ」といわれる不登校問題に関して有効に働いているといえると思う。
 不登校児童生徒の実態把握したものの活かし方は、校内の共通認識や対応策の話し合いに活かしているが、家庭の問題などからなかなか手が打てないのが現状である。
ー質問1−2ー
 特別支援教育の補助員はどのような立場の方で、何名いるのか。

ー答弁1−2ー
 特別支援学級は、小学校16校、中学校5校設置してあり、39学級155名の児童生徒が在籍している。補助員は特別な資格は問うていません。健康で特別支援教育に理解と情熱のある方を面接により決めている。市内小中学校合わせて84名の方に活動していただいている。

ー質問2ー
 豊田市内での女子高校生の殺人事件、知立中学校教師傷害事件に対する対応と、近隣市教育委員会との連携はどのように対応しているか。
ー答弁2ー
 児童・生徒の安全に関して、愛知県教育委員会より配信される「学校安全緊急情報共有化広域ネットワ−ク」での訓練を実施し、いざという時に備えている。訓練の課題としては、ファクシミリーの伝達時間で、3分の2近くは10分以内に伝達されたが、30分以上かかった学校が2校あり、今後、より確実に、より早く伝達できる工夫が必要と考えている。
 近隣の教育委員会とは、日ごろから不審者情報などの情報交換をしている。


 その他の質問内容について
 =環境行政について
ー質問ー
 これまでの環境施策と今後の施策でどの程度のCO2削減ができると判断しているか。環境モデル都市の立候補を見送りした時の「環境都市プロジェクトチーム提案書」に提言されている環境施策の今後の反映をどのように考えているか。
ー答弁ー
 安城環境基本計画を指針として環境施策を推進しているが、CO2換算してその効果が計れる性質のものばかりでない。地球温暖化対策としてCO2削減目標設定は必要と考え、国の動向を見て検討していきたい。
 プロジェクトチーム提案施策は、厳しい財政状況から費用対効果を検証しながら推進したい。ダイエット30チャレンジモデル事業は提案施策である。

          「あんじょうダイエット30チャレンジモデル事業」について

 【再質問】
ー質問ー
 「環境都市プロジェクトチーム提案書」では、企業は企業で努力を願うものであったが、CO2削減は地域を取り込んだ展開が必要であり、企業との連携をどのように考えるか。

ー答弁ー
 企業と市が連携して共に考え、行動することでお互いにメリットを見いだせる取り組みが必ずあると思う。これまで議論をしていただく機会がなかったので、将来的に市内企業の連絡協議会的な組織をつくっていきたいと考えている。

 =福祉行政について=
−質問−
 第2期障害福祉計画の計画実現の進め方と障害者が地域生活するための支援策をどのように進めていくのか。福祉事業団と社会福祉協議会の統合によりどのような福祉サービスの充実が図れるか。
答弁−
 計画実現は、今後の計画から目標量の達成はできるものと考えている。障害者の地域移行は、市内の社会福祉法人などに働きがけをしており、すでに一部の事業所から来年度以降のケアホーム等の設立に向けた相談も受けている。
 福祉事業団と社会福祉協議会の統合により、民間事業者では対応が難しい処遇困難ケースについても対応が図れるよう、相談・支援体制の充実の検討をして参ります。

          「社会事業団と社会福祉協議会の統合」について

 =安全・安心行政について=
−質問−
 治水対策として、恒久的な対策(河川の拡幅、調整池の整備)はコストと時間を必要し長期的な計画で取り組み、当面の対応として情報伝達の整備が求められており、その対応をどのように考えるか。火災防止として、火災警報器の設置が義務化されたが、聴覚障害者なり一人暮らしの高齢者宅の設置状況はどのようになっているか。
ー答弁ー
 
新年度から携帯電話に行政がメールを配信できる「エリアメール」というシステムの導入を検討している。また流域住民を対象とした「避難勧告等の判断・伝達マニュアル」の策定についても検討していきたい。また、地域住民がどのような情報を望んでいるかワークショップにより情報提供の方法を検討していきたい。
 火災警報器の設置状況は、衣浦東部広域連合のアンケート調査によると58%の住宅が設置されている。障害者全体の住宅用火災報知機設置事業の対象となる方の516名にアンケートをした結果、設置済みあるいは個人で設置予定が80%でした。今後も引き続き、住宅火災警報器設置の啓発を図っていきます。

          「エリアメール配信事業」について

 【再質問】
ー質問ー
三河地震から65年、伊勢湾台風から50年という節目と年であり、風化させないために市民参加の行事を考えてはどうか。
ー答弁ー
 歴史的な災害体験を風化しないように、市民団体が中心となり、貴重な体験を伝えるとともに、被災体験の教訓を活かした行事を計画しており、行政としても支援をしていく。

 =行政改革について=
 平成20年度に市内で起きた3つの出来事についての再発防止状況の質問をする。
ー質問ー
1.刈谷商工会議所に端を発した小規模事業所への経営指導実績の水増しによる不正受給で安城商工会議所も同様のことをしていたという指摘を受けたことに対する対応をどのようにしたか。
2.安城保育園建設の一時凍結の陳情と、御幸本町で計画している土地区画整理事業(更生病院の跡地利用を含め)に反対する公開質問状に対して、今回の出来事をどのように反省をして今後に活かしていくのか。
3.安城保育園の建て替えで3度目の入札で請負業者が決まった。その原因と再発防止をどのようにしたか。

ー答弁ー
1.商工会議所からは@組織見直しと役職員の意識改革A巡回指導員の育成と窓口相談指導チェック・フォロー及びその実施B経営指導員の育成と資質向上といった再発防止策が提出されており、適切に行われるように指導をして参ります。市の補助金は県への返還割合に乗じた額の201万円余の自主返納の申し出があった。
2.陳情や公開質問状を受ける事態を招いて多くの皆さんにご心配をかけ申し訳なく思っています。日々の業務に対する誠実な取り組みを積み重ねるとともに、大規模なものや長期にわたる事業は、各事業の節目や段階ごとに情報交換をする場を設けるなど、最新の注意を払うように努めて参ります。
3.安城保育園建設は2度にわたり入札不調になり、従来からの建築設計のあり方について愛知県に相談をし、職員で構成する技術審査会に設計審査を依頼し、問題点と抽出を改善を図った。再発防止のための対応を定めて、職員研修や関係職員に周知徹底を図った。
 【再質問】
ー質問ー
 商工会議所の出来事は残念な出来事である。補助金の目的・内容を精査見直す計画であったが、その状況はどのようになっているか。
ー答弁ー
 補助金は実態にあった補助制度に見直しをした。また県も今年度中に補助制度要綱を改正する予定と伺っており、県の要綱の改正内容を精査して上で、市の補助金についても再検討していく。

=おわりに=

 過日、大阪府の橋下知事がテレビ出演をされていて、「知事になって1年でありながら、大阪府の財政を11年ぶりに黒字にした」ことに対するコメントで、
 「黒字になったと言われるが、民間は儲けを伸ばして黒字にする。自治体は単に行政サービスを削って黒字にしている。職員が身を削らないと住民サービスを削る理解は得られず、職員の給与やボーナスカットをした」ということが話された。健全な財政があってこそ素晴らしい政策ができる。厳しい時代だからこそ職員と市民が一丸となって取り組み、大阪府のような対応を図ることのない財政運営の要請をして降壇する。


          

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