はり灸理論ノート2

7.刺激量・感受性(強>弱)
・鍼…長>短、太>細、手技速>遅、動揺大>小、時間長>短
・灸…艾しゅ大>小、ひねり硬>柔、壮数多>少、手技(直接灸>間接灸)
・感受性(鋭敏>鈍感)…小児・老年>青年・壮年、女>男、虚弱>健康、栄養不良>良好、受療経験無>有、部位顔・手足>腰背部
・禁忌部位…鍼=新生児大泉門、外生殖器、臍、眼球、急性炎症患部。
  要注意=肺・胸膜、心臓・大血管、腎臓、中枢神経系(脊髄・延髄)など。
  直接灸=顔面部、化膿しやすい部位、大血管が浅いところ、皮膚病患部
・WHOガイドライン(1999,鍼灸禁忌)…妊娠、救急・要手術の場合、悪性腫瘍局所、出血性疾患

8.鍼療法の過誤
・気胸…病院での針穿刺・生検、鍼治療などで起こるのは医原性気胸。
  ☆自然気胸=やせ型の若年者に好発。外傷性気胸=交通外傷等。
 原因=背部、前胸部、肩背部、鎖骨上窩など胸膜まで近い部位の深刺
  ☆脊柱起立筋上Th5-9,女子第2,3肋骨、膀胱経2行線、肋骨角
 症状=突然の胸痛、チアノーゼ、咳、呼吸困難
 予防=胸壁が薄い部位での深刺は避ける。
 処置=安静。患者への説明要。軽度なら自然治癒もあり。安静でも増悪する場合は病院へ。
・折鍼…銀鍼に多い。
 原因=オートクレーブ滅菌、通電による腐蝕、製造不良、患者の体動など。
 予防=鍼の反復滅菌を避ける、ディスポ鍼使用、曲がったら交換、刺入時に鍼体の1/4-1/3を残す。
 処置=患者を落ち着かせ動かないよう指示、折れた鍼が見つかれば抜去。
  抜きにくい場合は周囲の皮膚を押し下げる、別の体位を取らせるなど。
  抜鍼できない場合は病院へ(外科手術要)。
・抜鍼困難(渋鍼)…無理に抜くと折鍼につながる。
 原因=体動時の筋収縮、鍼体の弯曲、過度の鍼回旋による筋組織の巻き付き、筋攣縮など
 処置=リラックスさせる、置鍼、副刺激術、示指打法、過回旋の場合は逆方向へ回旋、
  迎え鍼(周囲への刺鍼)
・脳貧血(脳虚血)…一過性の血管収縮による
 症状=顔面蒼白、冷や汗、悪心、嘔吐、血圧低下、失神など。
 原因=緊張している患者へ座位・立位で施術、全身状態の不良(空腹・不眠・疲労等)、粗暴な施術
 予防=刺激量の調節、十分な説明、患者の状態に合わせた体位の選択
 処置=ショック時同様(暖かくして仰向けで頭を低くして安静)、意識回復後一時間程度休ませる。
  返し鍼(四肢末端、合谷・足三里等)
・皮膚反応…発赤、膨疹、紅斑、皮膚膨隆など局所の炎症反応
・出血・内出血…内出血では皮膚隆起(血腫)→青あざ(1週間程度で消える)。
 予防=出血性疾患や糖尿病などの確認、前揉・後揉など
 処置=アルコール綿花での圧迫止血、後揉、時間がたってからは温める
・遺感覚…不良鍼尖、刺激過度、痛覚神経に富む血管の刺傷
 ☆得気との区別が必要

9.灸療法の過誤
・化膿…水泡形成→掻く→細菌感染
 原因=刺激過多、免疫力低下、消毒の不完全
 予防=消毒の反復、多壮灸では同一点に施灸、艾しゅを小さくする、掻破しないよう指示
 処置=化膿部分の施灸中止・消毒乾燥・軟膏塗布
・灸あたり…施灸直後〜翌日にみられる不快感。全身状態に対して刺激過多の場合起こりやすい。
 症状=全身倦怠感、疲労感、脱力感、頭重、めまい、食欲不振、悪寒、発熱、嘔吐など
 予防=刺激量の調節
 処置=安静臥床・睡眠、患者へ体調変化がある可能性の説明
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