はり灸理論ノート1
1.鍼体
・長さ…10mm〜150mm。1寸=30mm,1寸3分=40mm,1寸6分=50mm
・太さ(直径)…0.10mm(10号)〜0.50mm(50号)。0番=0.14mm(14号),1番=0.16mm(16号),2番=0.18mm(18号),3番=0.20mm(20号)
☆中国鍼…太くなるほど、号数が小さくなる。φ0.22mm(35号=管鍼法4番)〜0.45mm(26号)
・材質
柔らかく肌なじみが良い…金>銀>ステンレス
耐久性・価格…金<銀<ステンレス(滅菌・通電可)
2.鍼尖の形状
・柳葉形…撚鍼法、中国古来
・スリオロシ形…打鍼法、安土桃山時代・御薗意斎『鍼道秘訣集』、主に腹部
勝曳の鍼、火曳の鍼、散ずる鍼、止める鍼、胃快の鍼、吐かす鍼など
・松葉形…管鍼法、江戸時代・杉山和一
・ノゲ形・卵形…疼痛・鈍痛を与えやすい。
☆古代九鍼…破る鍼(メスのようなもの)=?(ざん)鍼、ハ(ひ)鍼、鋒鍼
刺入する鍼=員利鍼、毫鍼、長鍼、大鍼
刺入しない針=円鍼、?(てい)鍼
☆皮内鍼…水平刺でテープ固定する3-7mmの留置鍼、赤羽根幸兵衛
円皮鍼…直刺でテープ固定する画鋲状の留置鍼、耳鍼にも使用
☆小児鍼…刺入しない。軽くつついたり、さする鍼。
接触鍼=集毛鍼、振子鍼、いちょう鍼(端の部分)
摩擦鍼=車鍼(ローラー鍼)、いちょう鍼(広い縁)、ウサギ鍼
3.鍼の術式
・前揉法…刺入予告、皮膚や筋肉の緊張を和らげる
後揉法…出血防止、遺感覚の緩和
・押手…左右圧=水平圧、母指・示指での鍼体保持
上下圧=垂直圧、刺鍼部位(皮膚)にかける圧
周囲圧=固定圧、母指・示指以外でかけ、刺鍼部周囲全体を安定させる。体動を防ぐ
刺手…刺入・抜去、スピードの調節
・刺鍼の角度…皮膚面に対して。直刺=90°、斜刺=30〜60°、横刺=0〜15°
4.手技
・管散術…鍼を使用せず、鍼管を当てて弾入動作のみ。
・単刺術…刺して抜くだけ。
・旋撚術…刺入・抜鍼時に鍼を左右に半回転ずつひねりながら行う。
・回旋術…刺入時・刺入後に鍼を左右どちらか一方向に回しながら行う。抜鍼時は逆方向へ(同数-1)回戻す。
・随鍼術…患者の呼吸に合わせ、刺鍼時は呼気=刺入・吸気=止、抜鍼時は吸気=抜去・呼気=止(迎随の補法)。
・間歇術…目的の深さまで刺入し、半分抜いてしばらく止め・前の深さまで刺入して止めを繰り返す。
・屋漏術…目的の1/3の深さまで刺入して雀啄、さらに1/3刺入して雀啄、目的の深さで雀啄。抜鍼時は逆。
・置鍼術…刺入後、しばらく放置してから抜鍼。
・雀啄術…刺入後、刺手で鍼体を上下動させる。
・内調術…刺入後、鍼柄を鍼管で叩いて動揺させる。
・振せん術…刺入後、鍼柄を刺手でつまんで振動させる。
・副刺激術…刺入後、刺鍼部周囲の皮膚を鍼管または指頭で叩く。気拍法。
・示指打法…一定の深さまで刺入後、再び鍼管をかぶせて弾入動作。
・細指術…刺入せず、弾入(切皮)のみを繰り返す。
・乱鍼術…複数の手技を併用。
・鍼尖転移法…鍼尖を皮下に止め、両手で鍼体と皮膚を縦横・輪状にスライドさせる。☆筋膜の外側を引っかく。
・刺鍼転向法…刺入後、鍼を皮下まで抜き別の方向へ刺入する。
5.艾
・採集…5〜8月
・成分…毛茸=葉裏の白い毛。線毛=芳香成分・精油(チネオール・テルペン類)
・直接灸用…散モグサ=ひねって使う。切モグサ=紙で円柱状にまとめてある。
間接灸用…粗悪モグサ。不純物が多く灰や煙が多いが、熱感が強く経済的。
・線香…原料はタブ・スギの葉などで直径3mm程度がよい。
6.灸術
・有痕灸
透熱灸=半米粒大〜米粒大。膿まないように注意。
焦灼灸=イボ・ウオノメなどを焼ききる。
打膿灸=小指〜母指頭大の直接施灸で火傷→化膿させ、身体の防衛機能を高める。小児・虚弱者不可。
・無痕灸
知熱灸=半米粒・米粒大で途中で消火(八分灸など)。または小指頭大などで熱感を感じたら取り除くなど。
温灸=モグサと皮膚の間に距離があり、輻射熱を利用するもの。棒灸、温筒灸、温灸器など。
隔物灸=モグサと皮膚の間に物を挟む。ニンニク灸、塩灸、ビワの葉灸など。
・薬物灸=モグサを使用せず、薬物を塗る。紅灸、うるし灸など。
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