昔、南蛮船でキリスト教の宣教師が大勢渡来した時、キュウモウという古狸がそれに混じってやってきたという。
キュウモウ狸は、日本中を放浪したすえ、岡山の廃坑となった銅山の坑道に棲みついた。月夜の晩に牛鍬をの先を叩きながら、「サンヤン、サンヤン」といって踊りまわっていたそうです。
キュウモウ狸は、人間に化けるのがうまく、村人の田植えや田の草取りを姉さんかぶりで手伝ったり、盆踊りの時には奴姿でいっしょに踊りまわっていた。正体がばれると「すまん、すまん」と言いながら逃げだしたという。
また、いたずらが大変好きで、人家に入っては悪いことばかりしていました。困った人々は、キュウモウ狸のいたずらではないかと円城寺の和尚に狸退散の祈願をしてもらったところ、キュウモウは狸の姿に戻ってしまい、「これからは牛馬の難儀を助け、火難・盗難を告げ、善家一司を守りますから助けてください」と涙を流して頼みました。
翌朝、境内には大きなしめ縄が張ってあり、それきりキュウモウ狸はきえていなくなりました。
村人はそれからこの神社を「魔法様」と呼び、牛馬の守護神として祭ったと云い伝えられています。
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