八堂山のお染狸 |
八堂山の中腹にはお染狸を祭っており「八堂大明神」の小詞がある。一時期は、それはにぎやかに参詣者が山坂を登って登山口から祠まで幟旗が立てられていた。 お染狸は雌狸で、また、反戦狸でもあった。熱心に祈ると、彼女は通力を発揮して、甲種合格の者でも、クジのがれするのであった。昔の壮丁は、甲種が多く入隊はクジ引きで決められたが、そのクジにあたって入隊しても原因不明の熱発にとりつかれ除隊になるということであった。ところがフラフラで帰宅したとたん、ケロリと憑きものが落ち元のように元気になる。また、戦場では弾の方が避けてとおったということである。 また、このお染狸には別の特技があった。懸命に願掛けしていると、灸ツボのあたりがだんだんムズ掻くなり、そこを見るとボッと薄赤く発疹している。そこへ幾火かの灸をすえ続けると大方の病気は直るという実に効験あらたかであった。 お染狸は、八等身のなかなかの美人だったと伝えられる。新居浜の一宮の小女郎狸とは、いとこであったという。後に、大井の美男狸(灸で有名)がお染狸にほれこんで婿入りしたともいう。 どうか、八堂山から、西条全体を眺めながら恒久平和を祈り続けてほしいものである。 |
(西条市生活文化誌 より) |
八堂山のお染さん |
大町の和三さんは、たいへん器用で。細工の上手な人でした。或夜、鎚やのみを使って細工ごとをしていました。すると戸口が開いて、人声がしたように思って後ろをふりむきましたが誰も見えませんでした。 |
(西条の民話と伝説 より) |
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