《将棊頭山》  Motaのホームページ
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将棊頭山


将棊頭山マップ 将棊頭山
   (しょうぎがしらやま):2,730m

◆所在地:長野県伊那市、塩尻市
◆山行日:2016年10月 7日(金)
◆メンバー:馬籠のKさん & Mota

〔登山コース〕
桂小場登山口―(25分)→ぶどうの泉―(55分)→野田場(休憩5分)―(15分)→横山道分岐― (10分)→馬返し(休憩5分)―(5分)→白川分岐―(20分)→大樽避難小屋(休憩5分)―(15分) →胸突八丁・信大ルート分岐―(25分)→六合目―(25分)→津島神社(休憩5分)―(35分)→ 七合目―(5分)→胸突ノ頭―(5分)→行者岩分岐―(5分)→分水嶺(休憩5分)―(35分)→ 将棊頭山(休憩45分)―(10分)→西駒山荘・水場―(20分)→分水嶺―(5分)→胸突ノ頭―(20分) →津島神社―(15分)→六合目(休憩5分)―(15分)→胸突八丁・信大ルート分岐―(10分)→ 大樽避難小屋―(20分)→馬返し(休憩5分)―(15分)→野田場―(35分)→ぶどうの泉 ―(15分)→桂小場登山口


〔所要時間〕 総時間=9時間00分  歩行=7時間40分  休憩=1時間20分

〔距  離〕  14km(32,000歩)    〔標高差〕  1,450m
 


 山の姿が将棋の駒に似ているという将棊頭山は、木曽駒ケ岳から北東に伸びる稜線上にあります。
2つの想いがあってこの山に登ってみたいと思いました。
一つは、私が人生最初に登ったのが木曽駒ケ岳で、今回の将棊頭山経由のルートでした。 登山口の桂木場に信州大学の研修施設があります。1960年ですから56年前のことですが、 ここで合宿研修をしていた時に登ったのです。それが私が登山を始めるきっかけになったわけです。
もう一つは、新田次郎の小説、『聖職の碑』 を読んだことです。 1913年(大正2年)、長野県中箕輪高等小学校(現在の箕輪町立箕輪中学校)の集団登山の遭難事故 を書いたものです。 小説ではありますが、著者が現地、そして生存者への克明な取材に基づいて描いたドキュメンタリーともいえる 作品です。それだけに遭難の様子は真に迫るものでした。 その中で修学登山という実践教育の重要性を伝えたかったのでしょう。100年以上前に思いを致して 彼らがたどった道をもう一度私も歩いてみたいと思ったわけです。
急なことでしたが、いい天気を見越して馬籠のKさんに声をかけ、一緒に行くことになりました。
桂小場駐車場登山口

伊那市側から西へ小黒川渓谷を詰めた桂小場に20台くらいとめられる駐車場があります。
馬籠のKさんとはここで待ち合わせました。
登山届を小屋内のポストに投函して出発します。

〔桂小場駐車場登山口 発=6:30〕
ぶどうの泉

出発して25分ほどのところにぶどうの泉という水場がありました。
おいしいですが、さすがにぶどうの味はしませんでした。
山ぶどうの蔦が絡まる森の山肌から湧き出てくることからなづけられたそうです。 独特な味わいのあるおいしい水だといいます。水筒の中の水道水は捨てて、この泉の水に 入れ替えることをすすめますと書いてありました。
〔ぶどうの泉=6:55〕
歩きやすい登山道

始めはヒノキの林の中、そして尾根道に出るとカラマツ林の道になります。
この先馬返しというところがあるように、馬でも歩ける緩やかないい登山道でした。

野田場

やがて野田場というところに出ました。
ここも水場ですが、ぶどうの泉と違ってちょろちょろとしか水は出ていませんでした。
丸太のベンチで小休憩します。

〔野田場=7:50~7:55〕
横山道分岐

野田場からも緩やかな登山道が続きます。
そして現れたのがこの案内標識。横山道分岐です。

〔横山道分岐=8:10〕
馬返し

ここまで確かに馬も安心して歩ける道でした。
しかし、ようやく馬返しの案内標識。 馬は返さなければならないので、これから先は歩くしかない ということですね。
ここには北へ向かう分岐があり、奈良井宿へ続く道のようです。

〔馬返し=8:20~8:25〕
白川分岐

白川分岐は馬返しからすぐでした。
このあたりから道は次第に急になっていきます。

〔白川分岐=8:30〕
大樽避難小屋

次第に登山道らしくなる道を登っていくと大樽避難小屋が現れました。
しっかりした、比較的きれいな避難小屋で、裏に簡易トイレがありました。 ただ、このトイレは袋回収式で、袋は避難小屋の中に備えられています。

〔大樽避難小屋=8:50~8:55〕
胸突八丁・信大ルート分岐

五合目(木曽駒ヶ岳への五合目)である大樽避難小屋から登って行くと、胸突八丁の標識がありました。
いよいよ急登の始まりです。

〔大樽避難小屋=9:10〕
六合目

桂小場からのルートは御嶽山への古道だそうです。
地元の中学校の学校登山に使われているからでしょうか、登山道はよく整備され 案内標識もしっかりしているので助かります。 ここは六合目です。

〔六合目=9:35〕
津島神社

急登とはいえいい登山道です。しかしながら、私の足がつってきました。 両足の膝上の筋肉が強烈に痛むのです。
これほど足がつったは初めての経験です。 たまらず津島神社で休むことに。
このあとも少し登っては休んで痛みを鎮めながら登りました。
津島神社には祠や鳥居を見かけませんが以前はあったのでしょうか。あるいは 岩の隙間の洞になってところを神社としているのでしょうか。
〔津島神社=10:00~10:05〕
胸突ノ頭

痛みをこらえ、休み休みですがようやく胸突ノ頭まで登ってきました。 同行の馬籠のKさんに迷惑をかけ申し訳ないことをしました。

胸突八丁は特別急登とはいえないものの長かったです。胸突八丁ならぬ胸突十丁に感じられました。                                                

〔胸突ノ頭=10:45〕
行者岩分岐

胸突ノ頭から緩やかになった道を行くと行者岩分岐の標識がありました。
茶臼山の行者岩へはこの分岐を右にとりますが、将棊頭山へは直進します。

〔行者岩分岐=10:50〕
稜線から見る行者岩

ようやく稜線に出ました。一気に眺望が開けます。
右手北方に見えるのが茶臼山の行者岩(2,658m)です。

分水嶺から木曽駒ヶ岳

稜線に出て左へ少し登ったところが分水嶺でした。
眼前にでっかい木曽駒ヶ岳がそびえます。
案内標識には分水嶺とあります。しかし、この稜線の西側は木曽川に、東側は天竜川に雨水は流れ込みます。 日本海側と太平洋側への本来の分水嶺はここから1kmほど北の方だそうです。
〔分水嶺=10:55~11:00〕
西駒山荘ルート・稜線ルート分岐

分水嶺の先で分岐があり、西駒山荘ルート・稜線ルートに分かれています。
稜線ルートの方は、《冬道》 となっていますが、景色のいい稜線ルートを行くことにします。

木曽駒ヶ岳・木曽前岳・麦草岳

分岐から将棊頭山へは約130mほどの登りがあります。
私の足のつりは治っていません。そこで、馬籠のKさんには先に行ってもらう ことにしました。
私は休み休みしか登れないぶん景色を堪能します。
というのは負け惜しみかな。

御嶽山と行者岩

岩に腰掛けて休み、振り返ると御嶽山と行者岩が寄り添うように見えました。

北アルプスもくっきり

行者岩の右手には北アルプスがくっきり見えていました。
穂高連峰の右手には槍ヶ岳の尖った穂先が天を突きます。

将棊頭山

冬道というだけあって稜線ルートは歩きにくい道でした。
踏み跡は薄く、ハイマツが生い茂って足の運びもままならないところがありました。
いくつかの岩塊を越えて行くと、前方に将棊頭山の山頂が見えてきました。

将棊頭山山頂(2,730m)

足の痛みで休みながら登ってきたので分水嶺から35分もかかってしまいました。
先に到着していた馬籠のKさんは25分で登ってきたそうです。
寒いくらいの西風を避け、伊奈側の日だまりで昼食としました。

〔将棊頭山 着=11:35〕
木曽駒主峰群

とにかく眺望が素晴らしい将棊頭山山頂でした。
まずは木曽駒。写真左から伊那前岳(2,883m)、宝剣岳(2,931m)、中岳(2,925m)、 そして木曽駒ヶ岳(2,956m)です。
写真手前から続くのは馬の背と呼ばれる稜線です。

宝剣岳

異様な岩峰・宝剣岳をズームアップしてみました。
今日は天気がいいので、人気の山頂は順番待ちの列ができているかもしれません。

西駒山荘と南アルプス

東側のすぐ下に見える赤い屋根は西駒山荘。
その背後、雲海に浮かぶ山並は南アルプスです。
くっきりと見えるので、左の甲斐駒ヶ岳から順に山座同定もできます。 写真ではわかりづらいですが、南アの奥には富士山も見えていました。
いつまでも見飽きない景色ですが行程が長いので下山にかかります。

〔将棊頭山 発=12:20〕
西駒山荘

将棊頭山山頂から眼下に見えている西駒山荘ですが直接下っては行けません。
山頂から南へ5分ほど行ったところの分岐を鋭角に戻るように行きます。
この西駒山荘の石室は学校登山遭難2年後の大正4年に建設されたものだそうです。
この石室は現在でもほぼ当時のまま使用され、このほど(2016年)、『登録有形文化財』 に指定されました。
〔西駒山荘=12:30〕
水場

水場は西駒山荘から北へ1分のところにありました。
天命水というそうですが、こんな山頂部にありながら、冷たい水がふんだんに流れ出ていました。

六合目

水場で天命水を飲み、ペットボトルにも入れて下山路をたどります。
足がつり、苦労して登った道ですが下るのは楽です。それでも7kmの道は長く感じられました。

〔分水嶺=12:50〕
〔胸突ノ頭=12:55〕
〔津島神社=13:15〕
〔六合目=13:30~13:35〕
桂小場駐車場登山口

胸突八丁を過ぎるといい道になるので快調に下ってくることができました。
しかしながら年はとりたくないもの。多くの人が木曽駒ヶ岳まで日帰りするコースですが、 今の私には無理な相談です。

〔駄口登山口駐車場 着=13:30〕

私が登山を始めるきっかけとなったコースをたどって、将棊頭山まで行ってきました。
同行の馬籠のKさんが快調に歩いてこられたのに対して、私は 足がつるし、痛むしで苦労させられました。それでも何とか登ってくることができてよかったと思います。 何の苦労もなく木曽駒ヶ岳まで往復した学生時代は懐かしい思い出ということです。
稜線に出た行者岩の鞍部(分水嶺)から将棊頭山までの稜線では西風が吹き付け、じっとしていると寒いくらいでした。 かつて同じコースを登った中箕輪尋常高等小学校の生徒たち。暴風雨に遭い、現在の宝剣山荘から 行者岩の鞍部にかけての稜線で、赤羽長重校長以下11人の生徒らが死亡したという状況を知ることができたように 思います。
そして、遭難はあったものの修学登山という実践教育の重要性が理解され、今でも毎年実施されているのは いいことだと思います。
いずれにせよ、この日は好天に恵まれ、思う存分眺望を楽しむことができ、満足の将棊頭山登山となりました。


     

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