◆山上ヶ岳(大峯山)(さんじょうがたけ):1,719m
◆所在地:奈良県天川村
◆山行日:2015年 6月28日(月)
◆メンバー:単独
〔登山コース〕
清浄大橋駐車場登山口―(15分)→一ノ世茶屋跡―(25分)→一本松茶屋―(35分) →お助け水(休憩5分)―(20分)→洞辻茶屋(休憩5分)―(10分)→陀羅尼助茶屋―(20分)→ 鐘掛岩(休憩10分)―(15分)→西の覗き(休憩5分)―(5分)→龍泉寺宿坊―(5分)→ 大峯山寺(休憩15分)―(5分)→山上ヶ岳山頂(休憩5分)―(5分)→大峯山寺―(10分)→ 西の覗き―(5分)→平成新道分岐―(15分)→陀羅尼助茶屋―(10分)→洞辻茶屋(休憩10分)― (10分)→お助け水―(15分)→一本松茶屋(休憩5分)―(25分)→清浄大橋駐車場登山口
〔所要時間〕5時間20分(歩行時間=4時間20分、休憩=1時間00分) 詳細ルート地図はこちら 〔ヤマレコ・山上ヶ岳〕
大峯山系の山々を結ぶ大峯奥駈道は熊野古道とともに 『紀伊山地の霊場と参詣道』 として 世界文化遺産に登録されています。
大峯奥駈道の中で2年ほど前に八経ヶ岳と弥山に登りました。八経ヶ岳は大峰山系の最高峰です。
それに対して数々の行場を経て苦行を重ねながら歩く 『奥駈修行』 の聖地とされる山上ヶ岳にも 行きたいと思っていました。 山上ヶ岳は大峯山とも呼ばれ山頂に大峰山寺(山上蔵王堂)が建つ山です。
梅雨の晴れ間が広がるという天気予報を聞いて急きょ出かけることにしました。
国道25号線・針ICから370号線を南下、169号線・309号を走り洞川(どろがわ) 温泉へ。県道21号線に入って東に10分ほど詰めたところが清浄大橋・大橋茶屋駐車です。 〔マップコード 439 349 599 *58〕
駐車場に着くとおじさんが駐車料金1000円(1日)をとりにきます。 もらった駐車券を外から見えるようにダッシュボードの上に置いて置くように指示されました。
清浄大橋駐車場登山口
この日は日曜日ということもあって先客の車が20台くらいきていました。
広くてきれいなトイレを使わせてもらい出発。
赤い清浄大橋が登山口で、橋をわたったところにある のが 『発菩提心門(ほつぼだいしんもん)』 です。『発菩提心』 とは、悟りを求め仏になろうとする心を開くこと。 この地より大峯山に修業参拝する人が発心する門だそうです。〔清浄大橋登山口 発=7:45〕女人結界門
菩提発心門を過ぎるとすぐに 『女人結界門』 がありました。
大峯山は今なお女人禁制の山です。この門から先へ女性が立ち入ることを許されていません。
一ノ世茶屋跡
出発して15分ほど行くと一ノ世茶屋跡にでました。
かつてはあった茶屋はなく、現在は小広場になっていて祠が1つあるだけです。
〔一ノ世茶屋跡=8:00〕ヤマアジサイが咲く道
スギ林の中の登山道は勾配も緩く歩きやすい道でした。
道端にはヤマアジサイとコアジサイがいっぱい咲いています。
一本松茶屋
一本松茶屋に着きました。
まん中に登山道が通っている休憩小屋で、中に 『役行者神変大菩薩』 を祀るという 一本松行者堂がありました。
〔一本松茶屋=8:25〕お助け水
一本松茶屋を過ぎてしばらく行くと 『役之行者お助け水』 があります。
ひしゃくも備えられていたので冷たい水を1杯飲ませてもらい小休憩としました。
〔お助け水=9:00~9:05〕洞辻茶屋(どろつじちゃや)
ときどき下りてくる白装束の修験者と出会いながらさらに行くと洞辻茶屋にでました。
ここも登山道がまん中を通る休憩小屋です。
〔洞辻茶屋 着=9:25〕洞辻茶屋の内部
この洞辻茶屋は売店が営業していました。
中には修験者の方たちが休憩していましたが、この山でのあいさつは 『こんにちは』 では なくてすべて 『よう お参り』 です。
お互いに大峰山によくお参りにこられましたねと声を掛け合うのでしょう。
〔洞辻茶屋 発=9:30〕洞辻出迎上動尊
洞辻茶屋を出たところに 『洞辻出迎上動尊』 というのがありました。
山から下りてこられた修験者の方が読経しながらお参りをされていました。
陀羅尼助(だらにすけ)茶屋
洞辻茶屋から10分ほどで陀羅尼助(だらにすけ)茶屋にでます。
陀羅尼助は、千三百年の歴史を持つ胃腸の薬です。
1300年前、大峯山の開祖・役の行者が この薬を作り多くの人を助けたという胃腸薬だそうです。 古来より副作用の心配のない生薬として親しまれ愛用されてきたといい、 この茶屋で何軒かの店が商売をしていました。
〔陀羅尼助茶屋=9:40〕行場道・平成新道分岐
先ほどの陀羅尼助茶屋の少し上にもう一つの陀羅尼助茶屋があり、その先に分岐がありました。
左へ行くと鐘掛岩を登る行者道(本街道)で、右の道は鐘掛岩を避ける平成新道だそうです。
ここは行者道を選択します。
最初の鎖場
木の階段を登って行くと岩場に出ました。
鎖場となっていますが鎖に頼らずに登って行くこともできます。
そしてその先に2つ目の鎖の岩場もありました。
鐘掛岩(かねかけいわ)
木造の舞台がある鐘掛岩まで登ってきました。
ここは行場の一つで、転落死する人もいるので先達か案内人の指示に従って登るようにという注意書きが ありました。高さ15mほどの巨大な岩ですが、はじめてきたので登るルートがわかりません。
困っていると運よくあとから登ってきた人がいましたのでその人に教えを乞い、あとに続いて登ること にしました。 〔注〕鐘掛岩を迂回する道もあります。
〔鐘掛岩 着=10:00〕鐘掛岩の上から見下ろす
鐘掛岩はその中央部の割れ目に沿って登ります。
途中までは難なく登れましたが最上部のところが 手がかりとなる岩角がない難所でした。
先に登られた方の指示で最後のところは2本の鎖をつかんでよじ登るのです。
教えてくださった方に感謝。ありがとうございました。
鐘掛岩上の役の行者
鐘掛岩上に祀られているのは役行者でしょうか。
この場所は絶景ポイントだと思います。しかしながら天気予報とは裏腹に一面のガスのため せっかくの眺望はお預けでした。 まわりや下の方が見えなかったので怖いとも思わずに鐘掛岩を登ってきたのかもしれません。
〔鐘掛岩 発=10:10〕お亀石
鐘掛岩を過ぎて登って行くと 『お亀石』 というのがありました。
形が亀の背に似ている岩で、役の行者が大峯修業時にこの場所で座禅され、33回目のときに 真の悟りを開かれたという清浄な場所だそうです。
むやみに背に乗らないように石の柵で囲まれています。
〔お亀石=10:15〕山を下る修験者
山頂にある大峯山寺をめざして登って行くと霧の中から修験者が現れました。
『よう お参り』 と声を掛け合いますが、自分のトレッキングスタイルの朊装に 違和感を覚えました。
私は登山気分でやってきたわけですが、山登りではなくここは登拝し修業を積むためのお山なのです。
等覚門
先ほどの修験者が通って下りてきたのがこの等覚門です。
仏の心に近づき、仏に近い悟りを得たところを等覚の位というそうです。 すなわち正に仏に成らんとする段階が等覚ということ。
私自身喜寿を迎えるような歳になりました。悟りなどとても開けてはいませんが、 この門をくぐることで一時次の世に踏みいれるような気持ちになりました。
西の覗き分岐
等覚門を抜けてさらに進むと西の覗き分岐にでました。
山頂・大峯山寺は左ですが右への道をとり西の覗きへ立寄ることにします。
西の覗き
鐘掛岩が第1の行場(ぎょうば)でこの西の覗きが大峯山第2の行場です。
西の覗きは無我の境地、すなわち心の行を行うところ。
昔は口に六文銭をくわえて今までの罰業を懺悔し、終わった時に口を開けて六文銭を落としたといいます。 それは三途の川の渡し賃を意味するそうです。
〔西の覗き 着=10:25〕西の覗き
ここが行を行う西の覗き岩です。
行を行う者は後の岩に取り付けられた太い縄の先端の2つの輪に両腕を通し、介助者が両側から 足をつかんで岩から身を投げだすのを支えます。
岩に固定された2本の鎖があります。その鎖は介助者が落ちないように取り付けるためのものです。
〔西の覗き 発=10:30〕大峯山寺本堂
菩薩行を満願成就し、無事、菩薩の最上位に位置することができた者が辿りつく最後の山門・ 妙覚門を通って大峯山寺まで登ってきました。
大峯山寺本堂は役小角(役行者)を開祖とする修験道の寺院で、山上蔵王堂とも呼ばれる 間口・奥行きが23m×約19m、高さ約13mの大きな堂です。
〔大峯山寺本堂=10:40~10:55〕頂上お花畑
本堂前にいた人に聞くと山上ヶ岳の山頂は本堂正面の小高い丘の上だそうです。
直登する道はなく、100mくらい本堂正面の道を登って行くと頂上お花畑という石碑と山上ヶ岳 1719.2mという標識のところに出ます。
お花畑といっても花はない笹原で、山頂へは笹の中に付けられた小道を登って行くのです。
山上ヶ岳山頂・湧出岩
少し本堂の方へ戻るように緩やかな道を登って行くと石柱の柵で囲まれた湧出岩に出ます。
湧出岩がある柵の外に1等三角点が設置してありました。ここが山上ヶ岳の山頂です。
さて、この山頂も眺望はありません。大峯修業もすませたということで下山することにしました。
〔山上ヶ岳山頂=11:00~11:05〕清浄大橋駐車場に戻る
帰りはお亀石の下の分岐から平成新道に入って陀羅尼助茶屋へ下り、以後は往路を戻ってきました。
急坂ではないので快調にとばし山頂からちょうど2時間で清浄大橋駐車場に着きました。
〔洞辻茶屋=11:50~12:00〕
〔お助け水=12:10〕
〔一本松茶屋=12:35~12:40〕
〔清浄大橋駐車場=13:05〕
鐘掛岩で会った人に聞いたところ山上ヶ岳は眺望のいい山だそうです。晴れていれば鐘掛岩や 西の覗きなどから足元の断崖絶壁の向こうに絶景眺望が広がって見えるとのことでした。 しかしながらこの日はすべて霧の中。そのため恐怖を感じることもなかったので良し悪し だということです。
それはともかく、この山上ヶ岳・大峯山は登山する山というよりも修験道の行場であり信仰の山 という意味合いが強い山だという印象です。
霧でかすむ中、幽玄の門をくぐって次の世を体験しに行ってきたような感じもしました。
この山は今なお女人禁制です。そのため女性には一人も出会いませんでした。女性はダメという ことに関してはいろいろな考えや意見があると思います。 毎年9月23日の戸閉め以降5月3日の戸あけ前までは山頂の大峯山寺も閉まってしまうので 女性が登ることを黙認されているようです。 女人禁制は 数百年続く文化・伝統であり、修験を信仰する人たちや地元の人たちの中には 女性の入山を快く思ってない方もいるでしょうからその辺は含んでおいた方がいいのではないでしょうか。
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