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Orange life
輝きのカナダ
2004. 6.13〜 6.18
海外旅行は約1年半ぶりである。ひさしぶりの海外は、初夏のカナダにした。
大自然が残るカナダには一度行きたいと思っていたが、新聞広告で割安な6日間のツアーを見つけて申し込んだ。
今回のツアーは、ナイアガラ、カナディアンロッキーとバンクーバーを巡るものである。
旅行の感想をひと言でいうと、カナダは何でもでかい、そして何ごとも
いいかげんであり、適当な考えの人たちの国だということである。
例えば、西と東では時差が4時間半もあり、私たちが行ったバンクーバーから
トロントまででも約3200km、4時間半もかかる。トラックも大きいし、
貨物列車もやたらと長く、1編成100両以上全長2kmをこえるのではないだろううか。
もちろんカナディアンロッキーも壮大である。
時間の観念もルーズだ。飛行機も観光バスもカナダ時間で、遅れるのは当たり前。
エア・カナダの客室乗務員のおばさんは、熱いおしぼりを大きなピンセットで
つまんで「Hot Hot!」といいながら放り投げてよこす。
機内食を手渡すときに、パンが転げ落ちても全く意に解しない。
現地で案内をしてくれた日本人の女性ガイドが言っていた。「この国では
細かいことをいちいち苦にしていてはだめ。何ごともポジティブ思考でなけれ
ば生きていけません」と。
カナディアンロッキーへ行く観光バスが予定より30分以上遅れて
ホテルに迎えにきた。何でもタイヤに不具合があって取りかえていた
そうである。ガイドいわく「これもポジティブに考えましょう。出発前に
修理できてよかったですね。ロッキーの山のなかで故障したらたいへんでした。
なかなか救出にきてくれませんから」と。
日本の車は10万kmも走ればよく乗ったといわれるが、カナダでは10万kmからが本番だそうだ。
このあたりの観光バスは一日に400km以上走るので10日で4000km、一年で
10万kmを越えるのもあたりまえなのであろう。
ロッキーの中ほどにあるドライブインに立ち寄ったたが、「ここから次の
ガソリンスタンドまで153km」という大きな看板がかかげられていた。
《ナイアガラ、ナイアガラ・オン・ザ・レイク、アサバスカ氷河》
名古屋空港発は夕方6時だったので、午後から家を出ればいいという余裕の出発であった。
バンクーバーまでは約9時間、寝たか寝ないかわからないまま現地時間の
午前11時に到着。日本との時差は−16時間ある。
2時間ほどの国内線の乗り継ぎ待ちで、トロントへ約4時間半。この間の
時差がまた3時間ある。そしてトロントからバスに乗って約1時間半、
夜の10時半にようやくナイアガラフォールズのホテルに着いた。
トータル15時間、しっかり疲れる移動だけの一日目であった。
泊ったホテルは「マリオット・ナイアガラ・フォールズビュー」で、目がさめ
るとナイアガラの滝が間近に見える。きのうは天気がよくなかった
そうだが、今日は朝から太陽が輝いていて、最初からラッキーの予感がした。
今日の観光はナイアガラの滝からである。風向きによっては晴れていても滝の
しぶきがかかるので傘を忘れないで、とガイドさんは言っていた。
しかし、天気も風向きも問題なく、大迫力の滝を鑑賞することができた。
写真はナイアガラ・アメリカ滝である。
周知のとおり、滝の直下まで行く霧の乙女号“Maid of the Mist”からも
迫力のある滝が見られる。
青いポンチョを着て船に乗るのだが、滝のしぶきが嵐のように吹きつけるので
写真どころではなかった。
いつまでもあきない大迫力の滝をあとに、ナイアガラ川沿いを下って
ナイアガラ・オン・ザ・レイクの町へ向かった。
ナイアガラ・オン・ザ・レイクは1万5千人くらいの小さな町であるが、ビクトリア
様式の美しい街並が素敵である。
オンタリオ湖畔にあり、道路沿いにはいたるところに花々が植えられて
いて、美しくのどかな街である。こういうところには何日かゆっくり滞在するのがいいのであろう。
しかし、私たちは駆け足で観光地をまわる日本人のツアーである。この日は
カナダワインの産地でもある、ほど近いワイナリーで昼食をとり、トロント
空港からカルガリーへ。今日もまた約4時間の空の旅である。
飛行機の出発が遅れたこともあって、カルガリーから約100kmの高速道路
をバスが飛ばしてもバンフに着いたのは夜の10時過ぎであった。
ホテルは「バンフ・パーク・ロッジ」である。木造三階建ての古いホテルだった。
早速おふろに入ったのだが、お湯がぬるい! あとでわかったことであるが、この日
は日本人客が100人くらい泊ったそうで、みなさんが浴槽にお湯はりして入った
ためお湯の供給が追いつかなかったのである。
ヨーロッパなどの古いホテルでも、よくそういうことがあるという話を
聞いたことがあるが、実際に体験したのは初めてだった。
3日目はカナディアンロッキーの観光である。
はじめに書いたように、30分以上遅れての出発だったが、ロッキーの3000m
級の山々と美しい湖には感動させられた。
最初に行ったのはエメラルドレイク。ここは多くのツアーでメインコース
ではなくオプション設定になっている所のため、
静かなたたずまいが自然のよさを強調しているようだった。
名前のとおりのエメラルド・グリーンの水にロッキーの山を映すさまは
何ともいえないものである。
ここからアイスフィールド・パークウェイに戻ってコロンビア大氷原を
めざす。
高速道路の左右にはロッキーの山並がせまり、数々の氷河が姿を見せる。
冷たそうなボウ川の流れやモミやマツの林がうめつくす姿はカナダならではの風景だなあと思った。
道路わきには、日本でもよく見られる「動物注意」の看板がたくさん立っている。
4月までは鹿の絵だが、5月から7月まではクマの絵に変わるのだそうだ。
日本では動物注意の看板はあっても、実際にお目にかかったことはほとんど
ないが、カナダではほんとうに動物が出てくるのである。時々道路沿いに
車がとまっているのだが、クマや鹿を見るためにとまっているのである。
私たちのバスもクマなどがいると徐行してくれる。
この日私たちは合計13頭のクマや鹿に出会った。
カナダではこうした自然界の動物たちを大切に保護している。高速道路は
通常90km制限であるが、特に動物が道路近くまでよく出てくる場所では、速度
が70km制限に落とされる。そして、どの車も速度制限をしっかり守って走っていた。
帰り道で1歳くらいの子グマが1頭だけでさまよっているのを見かけた。
クマは3歳までは母グマと一緒にいるのだそうだが、もしこの子グマが
親とはぐれてしまったとしたら大変である。バスの運転手がすぐ公園管理者に
電話を入れて保護をたんのでいたが、こうした心遣い、動物愛護の気持ちはうれしい。
途中、ボウレイク、雪解け水がいく筋かになってつたい落ちる「涙の壁」
などを見ながらコロンビア大氷原の「アイスフィールド・センター」に到着。
昼食後、ここから雪上車でアサバスカ氷河へ行く。
雪上車の運転手が、観光客への挨拶をする。日本人のツアーなので、日本語
で話してくれるのだが、この若者「みなさんようこそいらっしゃいました。
私の背は195cmあります。私の名前は“イチロー・スズキで〜す”」とやった
ので一同大爆笑。やんやの喝采をあびていた。
日本人ガイドさんいわく「彼は知っている日本語全部使って話してしまいました
ので、このあと日本語で話しかけないでくださ〜い」と。
タイヤの直径が1.5mもある雪上車から氷河の上におりて周辺を散策した。〔右写真〕
昨日は吹雪で寒くていられなかったそうだが、今日は一部に青空ものぞいて全く寒さは感じなかった。
コロンビア大氷原は325平方キロメートルという広大なもの。そのうちアサバスカ氷河は
6平方キロメートルの渓谷流出型氷河で、その先端部で年間15mずつ流動しているそうである。
しかし、地球温暖化の影響もあって毎年後退し小さくなっている。この時
私が立ったこの氷河もいつかなくなってしまうのかもしれない。
《レイク・ルイーズ、バンフ、バンクーバー》
広大な大地と大自然のカナダの旅はまだまだ続く。
コロンビア大氷原・アサバスカ氷河を後にして、ふたたびアイスフィールド・
パークウェイをバンフへと戻る。
午後になってだんだん青空が広がり、ハイウェイの両側にそびえるロッキー
の山容が彩度とコントラストを増して迫ってくる。ロッキーの名のとおりの荒々しい岩山と残雪が太陽に
照らされて輝いて、雄大かつ美しい景色であった。
バンフへのハイウェイをひたすら走り、次は期待していた観光ポイントの一つ「レイク・ルイーズ」へ行った。
この湖の写真は、カナダのどの旅行パンフレットにも載っているといって
いいだろう。ロッキーの宝石といわれるだけあって、青緑色の水をたたえ、
その奥にビクトリア氷河が輝く景色は、言葉での表現を思いつかななかった。
また、湖畔には立派なホテルがあるが、ここに泊って湖畔を散策したりしてのんびり過ごせたらいいでだろう。
この日もバンフに泊った。翌日は出発時間に余裕があったので、早々に
朝食を終えてバンフの街を散策することにした。
バンフの朝は、寒いほどではないが、澄んだ空気が山や川、そして
街そのものを引き締めている感じがした。カナディアンロッキーの中
では最も街らしいバンフだが、人口は7000人ほどだそうで、全体が公園のような町である。
町のすぐ近くにそびえるカスケード山やランドル山、街中を静かに流れる
ボウ川、そして公園やいたるところ花で飾られた街並がうまく調和しているようだ。
まずはボウ川を渡ってカスケード公園へ行った。
冷たそうなボウ川の流れの向こうに、雪のロッキー山脈が輝いていて絵葉書のようである。
バンフを流れるボウ川(左写真)と、カスケード公園から見るランドル山
カスケード公園も広くてきれいな公園だが、花が咲きそろうのはこれからのようである。
私たちが行ったときも花壇づくりの真っ最中であった。
また、ここから見るランドル山は独特の形をしていた。
バンフは小さな街であるが、スーパーマーケットも高校もあり、そして
もちろん教会もと、一通りなんでもそろっている。
そして、どこのお店もハンギングフラワーやフラワーボックスで飾られ
ている。朝のしゃきっとした空気の中で、花もいっそう鮮やかに見える。
朝の散歩はすがすがしく、公園の街「バンフ」がすっかり気に入った。
今日はこれからカルガリー空港からバンクーバーに移動する。バンフから
カルガリーへは約100km。この間、高速道路をバスで行くが、そのまわり
はどこまでも続く大平原である。
見渡す限りの地平線で、牧場と牧草地がすべてといっていいであろう。北海道
も広い大地だが、ここはその比ではない。こういうところに生まれ
住んでいたら、おおらかな性格になるのではないかと思った。
空港での昼食までは順調だったが、やっぱり飛行機は遅れた。
この頃になるとあきらめの境地で、「また遅れるのかー、しょうがないなー」
という感じである。ただ、バンクーバーでの観光時間が少なくなるのは残念だ
なあとの思いであった。しかし、これは杞憂だった。
確かにバンクーバーには予定より1時間くらい到着が遅れたが、何せ
日が長いので観光時間への影響はほとんどなかったということである。
「クイーン・エリザベス公園」「バンデューセン植物園」を訪ね、「チャイナ
タウン」やバンクーバー発祥の地「ギャスタウン」などを車窓から観光。
周回すると10kmある広大なスタンレー公園に着いたのは午後5時を過ぎて
いたが、当然のことながら陽はまだ高く、たくさんの人たちが思い思いに楽しんでいた。
球技をする人、散歩やジョギングをする人、ローラーブレードをする人など
など、アフターファイブを楽しむサラリーマンや学生でいっぱいであった。
あとで聞いたのだが、アフターファイブにゴルフをするのがはやっている
とのことであった。仕事が終わってからでも充分1ラウンドまわることが
できる。逆に冬場はほとんどゴルフはできないようである。
ここスタンレーパークは景色の良いところでもある。バンクーバーの
ダウンタウンが良く見えるし、ノースバンクーバーも展望できる。
5日目、カナダ最後の日、ホテル出発は10時ということだったので、朝食前と
後にバンクーバーのダウンタウンを散策してきた。
スタンレーパークから見たダウンタウン(左写真)と、ロブソン・スクエア
カナダの街はどこへ行ってもきれいだが、トロント、モントリオールに次ぐ
人口第3位、約200万人都市のバンクーバーもきれいな街である。
バンクーバーのダウンタウンは半島の中にあるため、それほど広い範囲では
ないが、ロブソン通りというのがその中心部にあたる。その一角に、名古屋でいえばセントラル・パークの
ような公園になった「ロブソン・スクエア」がある。街中のオアシス的な場所といえるであろう。美術館も
隣接している。
泊ったのは「マリオットホテル・ピナクル」だが、その入口にカラフルな
イルカのオブジェがあった。実は、バンクーバーの街の中にはこうしたイルカのオブジェがあちこちに設置
されている。基本的に形は同じだが装飾の色やデザインはそれぞれ全部違っていて、見ていて楽しくなる。
中にはプレスリーの衣装をつけたイルカまであったが、街をこうして
楽しくデコレーションするのは、とてもいいことだと思った。
さて、今回のカナダ旅行は強行軍ながら密度の濃い旅であった。
特にずっと天気に恵まれたのがよかったと思う。
最初に書いたように、カナダはとにかく何でもでかい、そして何ごとも
いいかげんで、適当な考え方をする国だと感じたが、雄大な自然やきれい
な街にはたいへん感動した。大雑把にやってはいるが、それなりの調和を生み出しているのであろう。
例えば、公園の管理・芝刈りにしても、適当にやっている感があるが、全体的に見ればきれいだし、常に
管理しているのがいいと思う。
逆にいえば、日本人は細部の仕上げにこだわるが、全体がいつでもきれいになっているとはいえないのでは
ないでだろうか。
現地の日本人ガイドがいっていた「カナダの人たちは、適当な考えをする人種ですよ」という言葉が印象に
残っている。それをいい意味に受けとめてあげなければいけないと今は思っている。
今回の旅行行程
〔1日目〕名古屋空港→バンクーバー→トロント→ナイアガラ・フォールズ〔泊〕
〔2日目〕ナイアガラ・フォールズ→ナイアガラ・オン・ザ・レイク→トロント→カルガリー→バンフ〔泊〕
〔3日目〕バンフ→カナディアンロッキー→バンフ〔泊〕
〔4日目〕バンフ→カルガリー→バンクーバー〔泊〕
〔5日目〕バンクーバー→(日付変更線)
〔6日目〕名古屋空港
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