刈谷市議会福祉経済委員会視察所管・・星野雅春
とき 平成16年10月6日(水)〜8日(金)
鳥取県西伯町(特別養護老人ホームゆうらく)
ゆうらくは厚生省の認可を受けた公共事業としては全国初の小規模生活単位型特養『個室ユニット』と呼ばれる運営方法をしています。従来の特養は1部屋4人程度の高齢者が同居して生活する形式ですが、個室ユニットは、入居者それぞれに個室があります。9から12名程度で1ユニットを形成し、それぞれにリビングや浴室、トイレが完備され、ここの入居者の生活リズムに合わせて食事や排泄、入浴などきめ細かな介護がされる仕組みになっています。『ゆうらく』は個室やユニットごとにリビング、トイレ、浴室などがあることから従来型の1,5倍ほどの広さが必要です。また職員配置も通常1対3ですが、ここでは1対1,45の配置になっています。新型特養である『ゆうらく』は公立であるため本来徴収されるホテルコストの建設費にかかわる部分は徴収されていません。その他のホテルコスト分はそれぞれの収入によって3000円〜18000円が徴収されています。建設コストや介護職員の配置が多いのにもかかわらず経費的には、毎年余剰金が発生し、町に寄付した費用で起債分を返済しているとの事。ここが一番の疑問でしたが明らかにできませんでした。刈谷市小垣江町に平成19年に開設される特養も新型特養ですが、民間事業主体になる事から4万円前後のホテルコストが見込まれています。従来型の徳用の費用は介護サービスの1割と食事代で5万円前後である事から。新型特養では9万円前後の費用がいる事になります。個室ユニットケアに対する明確な方針や職員の意識、ノウハウがなければ採算は難しいと感じました。更に、従来型の特養にもホテルコストを徴収できるように制度改革が進められている事にも大きな不安が伴います。高サービスには高負担は分からないわけではありませんが、低所得者対策は徹底しなければならないと感じます。
松江市(保健福祉ゾーン整備について)
完成が16年度から17年度になり、施設見学ができなかったのは残念に思います。市民が安心して暮らせるまちづくり歩進めるには保険、医療、福祉の連携は欠かすことのできない重要施策です。松枝氏には市立病院を持ち、老朽化に伴い建て替えに伴い保健福祉総合センターと一体的に整備し、保険、医療、福祉のサービス提供を充実させようとするものです。施設そのものが単体で存在するより目的をもった施設との一体計画することは運営上望ましい形態には違いありません。刈谷市の保健センターも建て替えの必要性が高く用地の検討中ではありますが、病院との一体運営を図るため、総合病院南側や、スポーツや健康づくりの新たな拠点になる刈谷市総合運動公園北側に計画するなどの発想は必要な事です。この際南部、中部、北部の枠を超えてしっかり検討すべき課題だと感じます。
神戸市(介護保健施設の入所システム事業について)
厚生省へ出向していたという職員の方の説明や質問に対する答えによどみがなく頼もしさを感じた研修でした。神戸市の介護保健施設の入所システム事業は特養の待機者の中には健康なうちに申し込みだけしておこうとする人や複数の施設に申し込みをする人が多数いたことなどから順番がきても入所しないというケースが続出するなど、特養は申し込み順との誤った認識を解消する事からスタートした事業でした。刈谷市の施設でもすでに申し込み順ではなく、必要な人が入所基準に従って選定委員会などで決定し、必要な時に入所できるシステムを実施しているものの、平成19年度に刈谷市小垣江町に開設される特養ができ、特養が複数になった時にはそれぞれの施設庁や介護職員などの選考委員会の設置が必要になってくると感じます。神戸市の取り組みである特養への入所申込者の評価基準(在宅サービスの利用率、本人の状況。介護者の有無等)を明確にし公正公平を基調とした入所システムは複数の特養を抱える自治体には必要な施策だと感じます。現在在宅からの入所基準だけだが、施設からの入所基準ができれば大いに参考になると思います。