トルマリンのちょっと突っ込んだ話

トルマリン
(和名 電気石)

化学式 XY3Z6(BO3)3Si6O18(OH.O)3(OH.F)
モース硬度 7〜7.5
屈折率 1.63 +-0.01
比重 3.1+0.15-0.07
結晶系 三方晶系


とてもややこしい話ですが、まず鉱物は結晶構造と化学組成により分類され、そしてその
名前は国際鉱物学連合(IMA)の承認があって認知となります。トルマリンの場合端成分
(化学式XYZの部分)の各種元素で置換される13種が現在認知されています。

エルバイト
ホイタイト
オレナイト
ロスマナイト
ドラバイト
10
リディコライト
クロム・ドラバイト
11
ウーバイト
ショール
12
フェルバイト
ベルゲライト
13
未命名
ポーヴォンドラライト

宝石に最も多く加工されるのはエルバイトです。名前の由来はイタリアのエルバ島で美し
い結晶が産出された為なのですが、ヨーロッパでも有数の観光地でもあります。




    

最近人気のカナリー/パライバ・トルマリンについて

まずカナリー・トルマリンを例にしますと、カナリーは商取引上の名前で、宝石鑑別書では
イエロー・トルマリンです。そして鉱物名はマンガン含有エルバイト manganoar elbaite と
なります。つまり商品名・宝石名・鉱物名の三つの名前があるのです。(通称まで入れると
モットある!)

さてなぜ鉱物名がマンガン含有エルバイトなのか?独立名称があってもおかしくないです
ね、(あのイエローは個性的ですから・・)それは端成分の割合の決まりごとで50%以上が
必要なんです。実はこの種のマンガン発色のエルバイトが1929年にマダガスカル・ツィラ
ーイナで発見されたときにツィライサイトという独立名称を付けようとしたみたいですが、
20%程度しかない為認知されなかったようです。その後1980年代中頃のザンビア、そし
て現在人気のモザンビーク産にいたるまで、条件を満たした物は出ていないようです。

1987年に、ブラジル・パライバ州の元々工業用の鉱山から発見さされた今まで類のない
素晴らしい発色のネオン・ブルーのトルマリンが最も人気が有り、最も高価なパライバ・ト
ルマリンです。こちらも同様で銅含有エルバイトとなり、(含有しているのは正確には銅だ
けではないのですが)独立種ではありません。発見から約10年間供給がとても不安定
(大人の事情)で、幻のトルマリンとされていましたが最近ようやく解決されたようです。更
に2000年にナイジェリアでもほぼ同様のトルマリンが発見され、(アフリカン・パライバ)
と呼ばれています。宝石業界では産地によってパライバUやV等とも呼ばれる事もあり
ますが。これでようやく価格は落ち着くかと思いきや、せっかく高値のついた状況を崩す
訳もなく(生産調整?)相変わらず高価です。



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