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鉄路の彼方へ
鉄路の彼方へ
春の旅路〈2〉
前の季節
穀雨 立夏の頃
次の季節
奥羽本線:山形〜北山形
大抵の日本人が心待ちにする
春の情景 ソメイヨシノの桜並木
個人的には何故かそれ程の思い入れ無し
それでも密かに憧れていた
霞城公園に数年越しの初訪問
奥羽本線:庭坂〜赤岩
岡山・長野・山梨・福島等々
適度な気候と水捌けの良い土壌
本来稲作に不向きな土地には
昔は桑畑が広がっていたという
産業の変換で今では何処も果物王国
奥羽本線:赤岩
この三十年で三度目の訪問
一度目は汽車で旅の途中
二度目は車でほんの寄り道
今回は腰を据えて重点訪問
改めて新たな魅力を感じとる 〜
名山の旅 付録ページ 吾妻山〈栂森〉
奥羽本線:庭坂〜赤岩
〜 鉄道情報には次第に遠くなり
いつの間にやらつい知らず
汽車も止まらなくなった赤岩駅
千分の三十八の急勾配を
苦も無く走り去る新幹線 〜
奥羽本線:赤岩駅
〜 三十年前に降り立ったであろう
プラットホームは未だ健在
当時の思い出はもう幾ばくか
記憶を辿る様に歩み彷徨う
微かな残像を追い求め 〜
奥羽本線:赤岩駅
〜 かつての駅舎は既になく
基礎にその面影を残すのみ
集落への踏切も跡形もなく
ただ残るのは保線用の東屋と
記憶などない末端の避難線隧道
奥羽本線:庭坂〜赤岩
板谷峠に至る福島側は
阿武隈川支流松川を遡上
そこに架かる橋梁付近は
幾度かの路盤変更による
歴史遺産散らばる魅惑の地
奥羽本線:庭坂〜赤岩
長い冬を耐え忍び
ようやく訪れた歓喜の時
無彩の冬枯れの斜面にも
日一日と命の息吹き
西日に照らされ光り輝く
季節の一枚 ページ
JAPANESE MODERN URBAN SPRAWL 《平成30年4月下旬》
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東北本線:福島〜東福島
及び
阿武隈急行:福島〜卸町
県庁所在都市とは言え付近一帯は
松川流域の氾濫原故比較的遅く迄
都市化を免れた長閑な田園の痕跡
昭和由来のアパート群を飲み込み
無秩序急速に増殖する戸建て近郊風景
福島交通:平野駅
路面電車や地下鉄で見覚えのある
「隣駅を発車しました」の電光掲示
情報量では近頃のデジタル表示機には
到底かなわないアナログ行灯式も
目立ち度見易さ味わい深さの三拍子!
ふるさとの赤い電車〈春色夏色〉 《平成31年4月下旬》
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名古屋鉄道:こどもの国〜東幡豆
色々ありまして前日急遽決断
今迄気にも留めていなかった
ミラーレスカメラへの切替を
懐の関係で既存の一眼レフは
僅か一年半でのお別れに 〜
季節の一枚 ページ
ふるさとの赤い電車〈街との繋がり〉 《平成31年4月下旬》
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東海道本線:蒲郡〜三河塩津
及び
名古屋鉄道:蒲郡〜蒲郡競艇場前
〜 そんな折に稀な好天に恵まれ
巷で話題の超大型連休突入もあり
混み合う移動は避けて最後の撮影
過去機材の関係で若干不満の残る
懸案だった地元風景を撮り直し 〜
ふるさとの赤い電車〈晩春の嵐〉 《平成31年4月下旬》
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名古屋鉄道:こどもの国〜東幡豆
〜 燦々と降り注ぐ眩しい日差し
しかし季節逆戻りの寒風吹き荒れ
普段は波静かな湾内も白く光る
波頭が作り出す異様な別世界
平成と共にさようなら D850
朝熊岳道と朝熊登山鉄道
「伊勢へ参らば朝熊を駆けよ 朝熊駆けねば片参り」
古来以来の信仰の山は何時の頃からか観光地
ついに大正期には急傾斜を力業で客集め
その文明の利器も開戦の軍事優先に依って
束の間の栄華も強制的に過去のものへと 〜
朝熊登山鉄道:第一隧道跡
〜 その東洋一と謳われた
角度にしておおよそ三十二度
山腹軌道の途中には隧道が二つ
勾配の均一化のために穿たれた
当時の先端技術と血と汗と 〜
朝熊登山鉄道:第二隧道跡
〜 更に登ると傾斜は増して
遮るものは何もない
視界は一気に広がって
当時の乗客の歓声が
第二隧道へと吸い込まれる 〜
朝熊登山鉄道:第二隧道跡
〜 無残に剥ぎ取られた線路
あたかもついこの前の事の様な
破片散らばる路盤には
暗い時代に突入する
人々の影も残された 〜
朝熊登山鉄道:朝熊岳駅跡
〜 とんでもない傾斜の上部軌道は
そのままの角度で終点に
小刻みな階段刻まれたプラットフォーム
いくら手軽快適な乗り物と言えども
乗客は研ぎ澄まされた平衡感覚必要 〜
宇治岳道と登山バス
〜 当初は麓の内宮から登っていた
登山バスはケーブルの開業で
山上の稜線バスへと様変わり
それらの道は今も現存も
当時の賑わいの面影は僅か
日中線記念館(国鉄日中線:熱塩駅跡)
木の温もりと油の香り
真鍮製の金具を引き上げ
風を感じた幼い日々
青色の座席に腰掛けて
春色の車窓に夢想の旅
日中線記念館(国鉄日中線:熱塩駅跡)
鉄路が無くなり
一時は荒れた終着駅
有志の熱意で蘇り
今では地域の憩いの場
当時を想い集う春
日中線記念館(国鉄日中線:熱塩駅跡)
喜びに満ちた開通の朝
悲しみに暮れた廃止の夜
時を見つめた桜並木
彼らは着実に育ち続け
今年も無事にめぐる春
驛 特設ページ 熱塩
奥羽本線:大沢〜関根
鉄道なんて当時にしてみりゃ
近代文明の象徴のようなもの
けれども今より温もりがある
先人が残してくれた
自然と暮らす賢い生き方
奥羽本線:大沢〜関根
茅葺の民家点在する大沢集落
里では桜は終わる時期
ここではまだまだ彩りは無い
長い長いスノーシェッド
新幹線が駆け下る
奥羽本線:大沢〜関根
残雪の吾妻山望む山村
散在する伝統的な曲がり屋
僅かな平地は一面の耕地区画
清らかな純日本的美景観も
近付いて観察すれば半廃墟への現実
名山の旅 付録ページ 吾妻山〈箕輪〉
奥羽本線:大沢〜関根
どこまでも行ってみたくなるような
気持ち良くなるきれいな林道
すくっと伸びた手入れされた植林
高くなった春の日差し
木立の合間に光り導く
奥羽本線:赤湯〜中川
置賜の桜の名所 烏帽子山
時期が合うので寄ってみました
南向きの木々はまだつぼみなのに
北斜面の並木は散り始め
賑わう山頂でしみじみ花見
飯田線:大嵐〜小和田
ほんの一駅だけれど汽車の旅
飯田線に乗るのは何十年ぶりか
存在さえ知らなかった半自動ドアと
学生時代の長い長い全線走破の思い出
汽車の旅はやっぱりボックスシートで
飯田線:小和田駅
佐久間ダムができるまで
各県の違いなんて関係ない
県境であっても谷は一体
瞼に浮かんだ先人たちの営み
経済の成長と引き換えに散り々霧散
飯田線:小和田駅
駅を降りても何もない
何もないのが良いのだけれど
一緒に下りたおばちゃん三人にはちょっと不満
折返しの汽車で次なる目的地へ
この独り占めの静寂がたまらない・・・
只見線:只見〜大白川
災害によって分断された只見線
ここは越後と会津の境
利用者などほぼ居らず
空気運んで三往復
けれど車窓は一級品
名山の旅 付録ページ 太郎助山
只見線:大白川駅
大白川駅の片隅で
歴史語る給水塔
幾年もの豪雪を耐え
風格さえ漂わす
繋がれたホースは現役の証か
只見線:大白川駅
豪雪地帯を走り抜ける
只見線の峠の駅
光あふれる季節を迎え
斜面はブナが芽吹き始め
雪解けの流れ響き渡る
只見線:入広瀬駅
一日たったの四往復
その存在意義は皆疑問
けれど百聞は一見に如かず
朝夕大賑わいの入広瀬駅
そのほとんどは高校生だけどね
名松線:家城〜伊勢竹原
名松線車窓
(キハ11形気動車300番台)
名松線:伊勢竹原〜伊勢鎌倉
初めてこの地を訪れたのは
鉄路が不通になった直後の頃か
沿線の踏切は遮断機が取り払われ
地形図からも一時抹消
こんな日が来るとは感無量
名松線:伊勢竹原〜伊勢鎌倉
広葉樹に針葉樹
照葉樹くらいの区別はつくけど
詳しい樹名はさっぱり分からず
ただ美しいかそうでないか
それさえ感じられれば良いんです
名松線:伊勢八知〜比津
名松線車窓
(キハ11形気動車300番台)
名松線:伊勢八知〜比津
美杉の里は美しい杉の里
旧村名は多分そういう願い
日本各地で荒れ行く山林
それでも最近気づきだした
まだまだ元気な森もある
名松線:伊勢八知〜比津
名松線車窓
(キハ11形気動車300番台)
名松線:伊勢八知〜比津
視線を河原に向ければ
大岩がゴロゴロ転がる
洪水の度にこんなものが流れてくる
自然の猛威は屈強に制御するより
しなやかに受け流す知恵が必要
名松線:伊勢八知〜比津
美杉という地名を付けただけのことはあって
見渡す植林はすべて杉
材木のことは詳しくないけれど
愛知では檜もよく見かけるが・・・
いずれにしても手入れのされた森は美しい
名松線:比津〜伊勢奥津
線路に沿って走る県道からは
それに気づくのは難しかった
対岸の美しい緑の別天地
目指して下りた河原には
時代錯誤の木板の渡し
名松線:比津〜伊勢奥津
渡った先も時代は止まり
ぽつりと一軒古びた家屋
もう住人はいないであろう
朽ち行くままに任されて
無常引き立て 自然の息吹
名松線:伊勢奥津駅
国鉄時代の廃止対象路線ながら
地元の熱意と働きかけによって
その後の幾多の困難も乗り越え
この春よみがえった名松線
新たな乗客を笑顔で出迎え
名松線:伊勢奥津駅
蒸気時代の終着駅
構内には転車台と給水塔
かつての広い敷地は今では更地
線路もわずかに一本のみ
それでも辛うじて残った生き証人
ふるさとの赤い電車〈連休の潮干狩り〉 《平成28年5月上旬》
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名古屋鉄道:こどもの国〜東幡豆
のんびり在宅にたまたま来客
第一報は潮干狩りの混雑
潮汐表を急いで調べて
慌てて出掛けたいつもの山道
霞んでいるけど壮観な風景
大井川鐵道:青部〜崎平
じいちゃんばあちゃん
かあちゃんねえちゃん
ついでに友達連れてきて
一家総出の大型連休
春のお茶農家の風物詩
大井川鐵道:崎平〜千頭
新茶が芽吹いた畑の中で
鮮やかな若葉を背景に
ぽつんと佇む黄色い踏切
春の日差しをいっぱいに浴び
汽車が来るのを待っている
東海道新幹線:静岡〜掛川
絵心をもたぬ現代日本
景観無視の過剰設備に無秩序開発
人と自然が調和した
素朴な時代の置き土産
未来の世代に残せぬものか
春の旅路〈2〉
前の季節
穀雨 立夏の頃
次の季節
鉄路の彼方へ
早春の旅路〈1〉
早春の旅路〈2〉
春の旅路〈1〉
初夏の旅路〈1〉
初夏の旅路〈2〉
盛夏の旅路〈1〉
盛夏の旅路〈2〉
秋の旅路〈1〉
秋の旅路〈2〉
晩秋の旅路〈1〉
晩秋の旅路〈2〉
初冬の旅路〈1〉
初冬の旅路〈2〉
冬の旅路〈1〉
冬の旅路〈2〉
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