●経済財政諮問会議について
郵便局の公社化、道路公団の改革、地方財政における「三位一体改革」など、現在行なわれている大きな改革は、大部分が、内閣府に設置されています「経済財政諮問会議」の方針、及び答申に基づきながら行なわれており、「経済財政諮問会議」はひじょうに重要な任務を背負っているといえます。
「経済財政諮問会議」について、経済財政諮問会議のホームページなどを参考にしながら、その主な概要をまとめてみました。
(1)名 簿
名 前 | 備 考 | |
議 長 | 小泉純一郎 | 内閣総理大臣 |
議 員 | 福田 康夫 | 内閣官房長官 |
同 | 竹中 平蔵 | 経済財政政策担当大臣 |
同 | 片山虎之助 | 総務大臣 |
同 | 塩川正十郎 | 財務大臣 |
同 | 平沼 赳夫 | 経済産業大臣 |
同 | 福井 俊彦 | 日本銀行総裁 |
同 | 牛尾 治朗 | ウシオ電機(株)代表取締役会長 |
同 | 奥田 碩 | トヨタ自動車(株)取締役会長 |
同 | 本間 正明 | 大阪大学大学院経済学研究科教授 |
同 | 吉川 洋 | 東京大学大学院経済学研究科教授 |
(2)会議回数
平成13年度35回(1月6日初会合)
平成14年度42回
平成15年度14回(6月18日現在)
(3)「経済財政運営の基本方針(2001年作成)」(骨太の方針)
7つの骨太の方針とその背景等をまとめてみました。
@地方財政
2001年度予算で国の税収見積もりが52兆円に対し地方は36兆円で、その比率は3対2である。しかし、地方交付税などにより、実際の歳出段階ではこれが2対3と国と地方の比率が逆転する。こうした不均衡を改善する。
A不良債権処理
不良債権問題は2つの意味で日本経済の足かせになっている。第1は、銀行にとって、多額の不良債権を抱えたままでは経営が圧迫されるので貸し出しを抑制する。第2は、借り手の企業にとって、銀行からの過剰債務が重荷となり、新たな投資に二の足を踏む。
銀行は、融資先が実質的に破綻していたり、破綻に追い込まれる懸念が強い場合、その不良債権を2〜3年以内にバランスシート(貸借対照表)から落として最終処理を済ませるようにする。
B道路特定財源見直し
道路等の特定財源(ガソリンにかかる揮発油税、車検の際にかかる自動車重量税などで、2001年度、約5兆8000億円)について税収の使途を特定することは、財政の硬直化を招く傾向があることからそのあり方を見直す。分野ごとの長期計画など公共事業関係の計画は必要性そのものを含め、見直しを進める。
C特殊法人・郵政3事業の民営化
「民間でできることは、できるだけ民間に委ねる」という原則のもとに、特殊法人等の見直し、民営化を強力に推進し、特殊法人等補助金を削減する。郵政事業の民営化問題を含めた具体的な検討、公的金融機能の抜本見直しなどにより、民間金融機関をはじめとする民間部門の活動の場と収益機会を拡大する。
D老人医療費の伸び抑制
医療費、特に高齢化の進展に伴って増加する老人医療費については、経済の動向と大きくかい離しないよう、目標となる医療費の伸び率を設定し、その伸びを抑制するための新たな枠組みを構築する。国民医療費は高齢化の進行や医療コストの上昇により、1985年(16兆円)から1999年(30兆円)と14年間で約2倍のハイペースで伸び続け、国民所得の伸びや、経済成長率を大きく上回っている。
E科学技術創造立国
IT(情報技術)革命が進展するなかで、自然との共生、高齢化社会の到来など、出来合いの答えが用意されていない課題に直面している。社会的ニーズに新しい技術を結びつけるために、市場の整備など社会的な取り組みが必要。特に、生命工学(バイオテクノロジー)、IT、環境、ナノテクノロジー(超微細技術)の4分野を重点的な研究開発部門と定めた。
F財政健全化
国、地方が抱える借金が2001年度末で666兆円に達することから、財政健全化の第1歩として、国債発行を30兆円以下に抑制することを目標とする。その後、プライマリーバランス【税など借金以外の歳入 - 歳出(過去の借金返済を除いた分)】を黒字にすることを目標として政策運営を行なう。